婚活小説(大阪・京都・神戸;関西)『マリッジ・コンサルタント優子の婚カツ(コンカツ)物語』 -59ページ目

〔3〕 CA辞めますか?(第1回『花火』)

第1回『花火』



※この小説は、大阪・京都・神戸;関西の婚活に創業18年、約5,000組の成婚実績のある結婚紹介所エムロード のサイト上で、連載しているブログ小説『マリッジ・コンサルタント優子の結婚(婚活)物語(大阪・京都・神戸;関西)』 のアメブロ版として、連載しています。


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■前回のお話はこちら  → 〔2〕母親の理想と娘の本音
■今回のお話はこちら  ↓ 〔3〕CA辞めますか?



あれから三度ほど、恵にお見合いを勧めた。



ドクター。弁護士。会計士。



一般的に人気の高い職業の人たちを紹介しても、恵は気のない返事をした。



関西近郊で内科病院を開業しているドクターには会ったものの、やはり恵は首を縦には振らなかった。



「お母さんはきっと気に入られると思うけどねえ」



優子はため息をついた。


「恵さん、これだけは譲れないという絶対条件を一つだけ教えて」

「この間、言ったんですけど」

「え」

「私、ちゃんと恋をしたいです。ときめく人がいい」

「... 」


優子は気づいた。


すでに年収もステイタスもある仕事をしている彼女にとって、高収入高学歴はたいしたことではないのだと。


彼女はもっと違う価値観を求めているのだと。


「二人でゆっくり話さない?」


優子は恵をオフィスに呼んで話すことにした。

普段着の恵は、化粧も薄く、洋服の好みも地味だった。派手な職種には見えないが、この間のバッグといい、時計といい、持ち物は高級だった。


優子は誘い水をかけてみた。


「CAって好きなもの買えていいわね。海外でいいものが安く買えるんでしょう。高くてあんまり行けないヨーロッパもあちこち旅行できて。楽しい仕事でしょ。うらやましいわねえ」


恵は切羽詰まったように言った。


「そうなんです。楽しいですよ。でもね、お金遣っちゃうし、体はきついし。休みも不規則で、デートもしづらいんです。だいたい、辞める人は30歳前に結婚して辞めちゃうんです。そういう人は幸せそう。40代とか50代になってパーサーまで登り詰めた先輩を見ていても、私は続けていくタイプじゃないのかなってこの頃思っちゃって」


優子は恵の素直な瞳をまじまじ見つめた。


「仕事、お辞めになったら」

「え」

「スチュワーデス。CA、もうお辞めになったら」

「... 」


恵は優子の顔を呆然と見た。そして右左にちょっと目線を泳がせた。


「そうですね。それもありですね」

「うん。結婚したかったら、先に辞めてしまうのもありかと思うわよ」

「考えてみます」


恵はきれいなお辞儀をして帰っていった。手元のバッグはこの間のとは違っていた。



優子はため息をついた。



1人でそこに座っていると、郁子がさっき恵に出したコーヒーを片付けにやってきた。


「結婚の素晴らしさ、語ってあげたんですか」

「いや、CA辞めたらって言ってあげたの」

郁子はびっくりしてお盆の上のカップをひっくり返した。


「なんでですか」

「結婚したいんだったら、それに集中したほうがいいと思うの」

「辞めますかねえ、彼女」

「辞めるわよ、きっと」


優子は眉間をぐりぐり押しながら言った。


数日後、恵から電話がかかってきた。


「優子さん、私、CA辞めます」


優子は受話器の前で笑顔をつくりながら、心の中では自分を引き締めた。


「あなたがそこまでホンキなら、絶対に大丈夫」


恵は穏やかに言った。


「ええ。私、結婚したいです」


受話器を置くと、同時に「責任」という重圧に押しつぶされそうになりながら、優子は小さく「よっしゃ」とつぶやいた。




※この小説は、大阪・京都・神戸;関西の婚活に創業18年、約5,000組の成婚実績のある結婚紹介所エムロード のサイト上で、連載しているブログ小説『マリッジ・コンサルタント優子の結婚(婚活)物語(大阪・京都・神戸;関西)』 のアメブロ版として、連載しています。





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