〔3〕 CA辞めますか?(第1回『花火』)
第1回『花火』
※この小説は、大阪・京都・神戸;関西の婚活に創業18年、約5,000組の成婚実績のある結婚紹介所エムロード
のサイト上で、連載しているブログ小説『マリッジ・コンサルタント優子の結婚(婚活)物語(大阪・京都・神戸;関西)』
のアメブロ版として、連載しています。
![]()
■前回のお話はこちら → 〔2〕母親の理想と娘の本音
■今回のお話はこちら ↓ 〔3〕CA辞めますか?
あれから三度ほど、恵にお見合いを勧めた。
ドクター。弁護士。会計士。
一般的に人気の高い職業の人たちを紹介しても、恵は気のない返事をした。
関西近郊で内科病院を開業しているドクターには会ったものの、やはり恵は首を縦には振らなかった。
「お母さんはきっと気に入られると思うけどねえ」
優子はため息をついた。
「恵さん、これだけは譲れないという絶対条件を一つだけ教えて」
「この間、言ったんですけど」
「え」
「私、ちゃんと恋をしたいです。ときめく人がいい」
「... 」
優子は気づいた。
すでに年収もステイタスもある仕事をしている彼女にとって、高収入高学歴はたいしたことではないのだと。
彼女はもっと違う価値観を求めているのだと。
「二人でゆっくり話さない?」
優子は恵をオフィスに呼んで話すことにした。
普段着の恵は、化粧も薄く、洋服の好みも地味だった。派手な職種には見えないが、この間のバッグといい、時計といい、持ち物は高級だった。
優子は誘い水をかけてみた。
「CAって好きなもの買えていいわね。海外でいいものが安く買えるんでしょう。高くてあんまり行けないヨーロッパもあちこち旅行できて。楽しい仕事でしょ。うらやましいわねえ」
恵は切羽詰まったように言った。
「そうなんです。楽しいですよ。でもね、お金遣っちゃうし、体はきついし。休みも不規則で、デートもしづらいんです。だいたい、辞める人は30歳前に結婚して辞めちゃうんです。そういう人は幸せそう。40代とか50代になってパーサーまで登り詰めた先輩を見ていても、私は続けていくタイプじゃないのかなってこの頃思っちゃって」
優子は恵の素直な瞳をまじまじ見つめた。
「仕事、お辞めになったら」
「え」
「スチュワーデス。CA、もうお辞めになったら」
「... 」
恵は優子の顔を呆然と見た。そして右左にちょっと目線を泳がせた。
「そうですね。それもありですね」
「うん。結婚したかったら、先に辞めてしまうのもありかと思うわよ」
「考えてみます」
恵はきれいなお辞儀をして帰っていった。手元のバッグはこの間のとは違っていた。
優子はため息をついた。
1人でそこに座っていると、郁子がさっき恵に出したコーヒーを片付けにやってきた。
「結婚の素晴らしさ、語ってあげたんですか」
「いや、CA辞めたらって言ってあげたの」
郁子はびっくりしてお盆の上のカップをひっくり返した。
「なんでですか」
「結婚したいんだったら、それに集中したほうがいいと思うの」
「辞めますかねえ、彼女」
「辞めるわよ、きっと」
優子は眉間をぐりぐり押しながら言った。
数日後、恵から電話がかかってきた。
「優子さん、私、CA辞めます」
優子は受話器の前で笑顔をつくりながら、心の中では自分を引き締めた。
「あなたがそこまでホンキなら、絶対に大丈夫」
恵は穏やかに言った。
「ええ。私、結婚したいです」
受話器を置くと、同時に「責任」という重圧に押しつぶされそうになりながら、優子は小さく「よっしゃ」とつぶやいた。
※この小説は、大阪・京都・神戸;関西の婚活に創業18年、約5,000組の成婚実績のある結婚紹介所エムロード
のサイト上で、連載しているブログ小説『マリッジ・コンサルタント優子の結婚(婚活)物語(大阪・京都・神戸;関西)』
のアメブロ版として、連載しています。
![]()
始めたばかりですが、アメブロでもどうぞよろしくお願いいたします。
↓2月のお話のバックナンバーはこちらです↓
2月のお話はこちら→『言葉にできない 』
読者は現在お一人です。
いつもありがとうございます。
■最初から読む → 〔1〕キャビンアテンダント 羽田恵 ※昨日のアクセス数は44でした。