三つ子の魂百まで。

 

人というのは、思春期ごろに愉しいと思ったことを、幾つになってもやり続けるものである…というのが僕の説。別の言い方をすると、人ってそんなに簡単には変われないよね、っていう。

 

生徒には日ごろから言っている。言い方には気をつけなければいけないのだけれど。

 

さて、僕の「いまだに変われないこと」と言えば、レコードからのダビング録音をするという趣味。いまはダビングではなく、レコード音源をPCに取り込む作業に魅せられている。所謂「板起こし」というやつである。

 

普段はとても無理だが、まとまった時間が取れると音楽を聴きながら、そういった趣味の方向にガッと一挙に向いちゃう瞬間がある。今日がそうだった。

 

 

カラヤンの1977年のチャイコフスキーは、輸入盤の交響曲全集も所有しているが、今日は敢えて国内盤の交響曲第4番の板起こしを試みる。

 

この曲の思い出話などは下記のリンクから。

 

 

 

上流から見ていこう。まずは音源を整える。

 

ターンテーブルは、Victor QL-Y33F、カートリッジはTechnics EPC-270C、レコードクリーナーはNational BH-662、針先クリーナーはNAGAOKA Hi clean 801を使用。

 

National BH-622については下記リンクから。

 

 

 

単体フォノイコライザーなどという高級な代物は、所有したこともないので、インテグレーテッド・アンプの内蔵のフォノイコを使う。Technics SU-A900が、いまのメインのアンプ。ここ最近では、最も音の良いフォノイコを内蔵しているマシーンだと認識している。

 

アンプのREC OUTからRCAケーブルをTASCAM US-100(USBオーディオインターフェース)に繋ぐ。US-100が「ADコンバーター」の代わりとなるのだ。USBケーブルを経由してPCにデジタル信号が送り込まれる。

 

 

PCは、Panasonic Let's Note CF-SZ6である。古い機種だが、音声を取り込んだり波形編集したりするだけなら、まったく問題がないスペックを有している。

 

 

録音ソフトは、波形編集の無料ソフト「Sound Engine」を使用。ずっと昔から使っているので、慣れてしまっていて、他のソフトを使えなくなった。上掲写真の波形は「チャイ4」の冒頭部である。録音レヴェルは、50/100を基準にして、レヴェルメーターの振りを見ながら調整する。毎回、おおよそ「50」近辺で適正なゲインとなるようだ。

 

全曲(もちろん両面)を取り込んだら、曲頭にマーキングをする。今回は第2楽章以降の頭に3か所、「マーク」を付加する。これによりファイルを「4つ」にして分割保存ができる。これをしないと、交響曲がまるごと一曲として保存されるため、頭出しに不便になってしまう。

 

 

TAGの管理がしやすいように、「Sound Engine」で完成したWAVファイルを、FLACに変換する。変換には無料ソフトの「MediaHuman Audio Converter」を使っている。あっという間に変換が終わるので感動する。これにより、ファイル容量を稼ぎ、再生ソフトで便利に使えるようになる。

 

 

PC音楽再生ソフトの「Music Center for PC」。ソニー製で日本語表記なのがいい。

 

指定のフォルダに先ほどのFLACファイルを格納すると、勝手に楽曲解析をしてくれる。うまくいかない場合が多いが、今回はバッチリ、「Herbert Von Karajan: Berlin Philharmonic Orchestra/Tchaikovsky: Symphony #4」というタイトルを自動でつけてくれた。タイトル入力の手間が省けてラッキー。いくつかうまくいかないところがあったので、手動で修正する。上掲の写真は、その修正がすべて済んだ後のスクショである。

 

 

タグ編集に使う画面。英語表記なので、残念ながら自動では「Berliner Philharmoniker」(独)とはならない。

 

 

今回はアートワークも変更した。自前のジャケット写真をデジカメで撮影してトリミングし、ソフトに取り込む。

 

以上で終了だ。

 

これで、いつでも、PCから「レコード音源」を再生できる。再生、つまり「DAコンバーター」には、取り込んだ時と同じTASCAM US-100を使う。「WASAPI排他モード」にすると格段に高音質となる。

 

こうして取り込んだ音源、厳密には「デジタル化」されてしまっているわけだが、音源がレコードだからか、うまい具合に情報が間引きされるようで、結果的に柔らかくて、温かい音に聞こえるから不思議だ。

 

モニターにはヘッドホンを必ず使う。特にTOCナンバーの頭打ち(前述のマーキング作業)の際には、厳密さと慎重さが要求される(自分で勝手に要求している)。

 

 

SONY MDR-7506も良いが、こういう作業には、Victor HA-MX10(廃番)の方が、僕にはふさわしいと感じる。

 

という感じで、これらの行程、合わせて100分ぐらいで完成。これを「面倒臭い」ととるか「愉しい」ととるか。人それぞれであるのだろうとは思う。

 

(追記2023.8.12)

記録メディアだが、PC内部にはデータを置かず、外付けのHDDとSDDに納めている。不安な面がないわけではないが、失われたときは「またCDを買えばいいや!」ぐらいの気持ちでいる。所詮クラシックの中古CDなんて108円なんで。