水谷豊/松田美智子『水谷豊自伝』

(2023.7,新潮社)

 

 

一気に読んだ。

 

昔からのファンとしては、第3章「地味にいい仕事」の章が最も印象的。水谷さんの「貴重な証言」が揃っていると思う。

 

個人的には、離婚後すぐの時期の水谷さんは、どこか本領を発揮しきれていないところがあると感じていた。今回、この自伝を読んで、なるほどと納得した。

 

『浅見光彦ミステリー』については、新境地ということで、タイミング的に蘭さんとの新しい生活の時期と重なっている。

 

一方、『熱中時代』スペシャル(1988年~3作品制作)については、あまり乗り気でないような発言が、かつてのラジオ出演時にあったのを覚えている。案の定、当『自伝』にも、まったく言及がない。よほど印象が薄いのであろう。

 

しかし、この本をよく出して下さったと思う。

 

水谷さんは、何を演っても、何を歌っても、ブレることなく「水谷豊」なのである。それが素晴らしい。そして、尊敬する。

 

何かをがむしゃらに求めたりしない…といった水谷さんの行き方には、(畏れ多くも)共感するところがある。

 

この本を読み、僕は知らず知らずのうちに、水谷さんの生き方から影響を受けているのかもしれないなあ…などと改めて感じられたということこそが、実は、とても幸せなことなんじゃないかと思っている。

 

 

それにしても、けっこうマイナーな作品についても、たくさんの言及があって、本当に読みごたえがあった。『うまい話あり』なんて、数年前までは、ウィキペディアにも載ってなかったのに。(『うまい話あり』で岸部一徳と共演していた記憶は飛んでいたようだったが…)

 

 

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