6月に京都に来た時に訪問した、嵐山の福田美術館と嵯峨嵐山文華館
今回もまた立ち寄ってしまいました
別の企画展を共同でやっているというのもありますが、真夏の灼熱の京都で倒れずに過ごすには、涼しい美術館は貴重だから
涼しい上に、嵐山の雑踏を忘れさせてくれるほどに、閑散?としたところが好きです
さて今回の企画展は、福田美術館が「福田どうぶつえん」、嵯峨嵐山文華館は「嵯峨嵐山かちょうえん」
ということで、親しみの湧くようなタイトルで、攻めています
二館共通券のチケットは、2300円と200円お得になっています
まずは福田美術館の「福田どうぶつえん」へ
いろいろな動物画を楽しめますが、圧巻なのは、トラです
明治中期から昭和前期の画家、大橋翠石(すいせき)が写実的で迫力あるトラの絵をいくつも描いています
大橋翠石は特に京都に所縁がある訳ではありませんが、
1895年に岡崎で開催された第四回内国勧業博覧会に『虎図』を出展して「虎の翠石」と呼ばれるようになったそうです
その後、パリ万博 (1900年) で日本人で唯一の金牌を受けて、欧米でも高く評価されました
≪乳虎渡渓図≫
≪猛虎之図≫
二条城の襖絵などに描かれている狩野派のトラは、想像して描かれたものですが、ホンモノを実際に観察して写実的に描かれたトラは格別な迫力が伝わってきます
トラの絵といえば、岸駒(がんく)が京都に縁のある絵師として有名ですが、本展では鹿を描いた作品が展示されています
≪福禄寿図≫
鶴と鹿を描いた吉祥画ですが、2頭の鹿の表情と仕草は、実物を見て描いたんだろうなと想像できるほど、写実的です
犬や猫を愛らしい存在として絵に描くことも、江戸時代から増えてきました
こちらは「円山派」の祖、円山応挙が描いた子犬がたわむれる姿です
≪竹に狗子図≫
応挙は写生を重視した画家で、その流れは近現代の京都画壇に繋がります
次に嵯峨嵐山文華館の「嵯峨嵐山かちょうえん」へ向かいます
植物と鳥が描かれている作品ばかりを展示していますが、ここの展示で工夫されているのは、描かれている鳥の鳴き声を、QRコードをスキャンすることで、スマホで聴くことができる点です
こちらは今尾景年の作品
≪巻丹錦鶏図≫ ≪牡丹唐山雀図≫
今尾景年といえば、明治から大正にかけて活躍した四条派の日本画家で、南禅寺・法堂の蟠龍図が有名ですね
もうひとり京都にゆかりの深い日本画家は、橋本関雪
≪俊翼≫
オオタカが飛翔しているダイナミックな作品です
花鳥画としては、こういうのは珍しい
これらの作品を、広い畳敷きの展示会場で、ほぼ独占して鑑賞できます