μ's「もぎゅっと"love"で接近中!」レビュー。「愛してるばんざーい!」。コンプリートベスト | A Flood of Music

今日の一曲!μ's「もぎゅっと"love"で接近中!」~ₙC₅解体-5~

 

 ※ 「ₙC₅解体」の意味および趣旨説明はこの記事の前置きをご覧ください。

 

レビュー対象:「もぎゅっと"love"で接近中!」(2012)

 

 

 今回取り上げる楽曲は、初代『ラブライブ!』からμ'sの「もぎゅっと"love"で接近中!」です。いきなりですが本曲に関しては『μ's Memorial CD-BOX「Complete BEST BOX」』(2019)での鑑賞を推奨します。初出シングルの音源は未所持なので大本とは比較出来かねるけれど、翌年リリースの『ラブライブ!μ's Best Album Best Live! collection』(2013)に収録のそれですらオケに粗があると感じるからです。シンセベースの帯域が干渉を起こしているような、またはキックが歪み過ぎているように聴こえます。BOXのは幾分マシです。

 

 

 上記はあくまで僕の耳と使用機器がそう捉えただけに過ぎないものの、AV Watchのイヤモニレビューで本曲がまさかのリファレンスになっているのを発見したので、客観性担保のため紹介しておきます(外部リンク)。Westone・Wシリーズの当時最上位モデルW40を使用してDAPはAK120、e-onkyo music配信のハイレゾで本曲を鑑賞したケースです。

 

 曰く「音が重なる部分でも、キャラクターの声と打ち込みの電子音がゴッチャにならず、質感の違いが丁寧に描写されている」で、やや文脈が異なりますが「音がぶつかっている」との所感は共通しています。

 

 ご存じの通りハイレゾにも色々あってしかも本件は10年以上前の話であるため、各種聴き比べをしている方が「曲毎にベストの音源が違う」と主張するのもありがちです。従って安易にハイレゾが最適解とは決め付けず、取り敢えずリリース年の新しい音源つまり先述のBOXに手を出してみてはとサジェストします。

 

 なお、編曲者であるA-beeさんのワークスは本曲以前から『POLYPHONIC CITY』(2008)にて馴染みがあり、同盤に照らすと確かにその音作りにはラフな印象を受けるけれど、ギラギラとした勢いが味になっていて決して不出来には感じていませんでした。従って軽々にアレンジャーの責任とはせず、エンジニアとの相性もありますからねとフォローしておきます。

 

 

 いきなりニッチなところを攻めてしまいましたが、こういった音質論争的な話が出来るのも10年以上シリーズが続いているからこそと歴史に思いを馳せまして、漸く音楽そのものへの言及です。

 

 本曲についても昨日取り立てたラブライブ楽曲と同様メロディに惹かれており、殊更に落ちサビ+ラスサビのセクションを好んでいます。サビメロはそれ単体でもポップで可愛く、ピコピコしたトラックに上手くマッチしてアイドルソングとして申し分ありません。これに一層の奥行を生んでいるのは歌詞にないバックコーラスのハートウォーミングなラインで、そのサラウンドな女神の歌声に「もぎゅっと」のガチ恋距離感を覚えたならもう虜です。

 

 AメロもBメロも含めて歌い継ぎや掛け合いが徹頭徹尾上出来で、歌い手の多さを活かした曲作りの観点ではμ'sの楽曲が最も優れていると2025年になっても思います。

 

 

収録先:『もぎゅっと"love"で接近中!』(2012)

 

 

 本曲は表題曲なので収録先は同名のシングル『もぎゅっと"love"で接近中!』です。c/w曲は「愛してるばんざーい!」で、歌声と旋律の素直さを前面に出したコーラスソングライクの作編曲が耳に残るナンバーと評せます。