今日の一曲!ドレッシングふらわー「トンでもSUMMER ADVENTURE」 | A Flood of Music

今日の一曲!ドレッシングふらわー「トンでもSUMMER ADVENTURE」

 

乱数メーカーの結果:1290

 

 上記に基づく「今日の一曲!」は、プリティーシリーズのセクション(1268~1297)からドレッシングふらわーの「トンでもSUMMER ADVENTURE」です。詳しい選曲プロセスが知りたい方は、こちらの説明記事をご覧ください。

 

 

収録先:『プリパラ ドリームソング♪コレクション -SUMMER-』(2015)

 

 作品題の通りTVアニメ『プリパラ』の2ndシーズンに於けるサマードリームグランプリに関連付けられた一枚で、今回紹介する「トンでも~」は言わばそのリードトラックです。メッセージとインストを除くと実質的な収録曲数は三曲で、このうちふわりのソロ曲「コノウタトマレイヒ」とシオンのソロ曲「絶対生命final show女」については、下掲の特集記事の中でレビューないし言及しています。

 

 

 前者は小見出しを立ててがっつり語っているのでともかく、後者はリミックス音源「絶対生命final show女 (KAZBONGO Zettai Electro Remix)」(2017)を評価する文脈で、「原曲ではロックに委ねていた激しさを~(中略)~アッパーに生まれ変わったタイプのリミックスも好み」と、全般的且つ比較的にふれただけに過ぎません。従って、「絶対~」のみにフォーカスした短評をここに載せます。

 

 原曲は確かにロックのマナーに則ったつくりだけれどその実サウンド面では電子的な音も目立つので、両要素をより強く結び付ける親和性の高いジャンルとしてリミックスにエレクトロが採用されたことは納得です。ただ元来女児向けの作品にそこまでの派手さは求められていないでしょうから、オリジナルではシオンのストレートな格好良さが立つ編曲に、オケの過剰な装飾でボーカルを邪魔しないよう配慮されているとわかります。

 

 

歌詞(作詞:三重野瞳)

 

 本曲がアニメで初登場する第56話「走れ!サマドリグランプリ!」は、セレブリティ4から逃れに逃れて遂には残る5人で崖から川へとダイブ、ファイト一発な展開を見せ絆が深まりチームの結成が承認されるも、トリコの不幸パワーのダメ押しもあって結局滝に落ち激流に呑まれてしまい、しかし流れ着いた先が広場の噴水であったため何とかエントリーに間に合いライブへ…というお話です。

 

 そんな大冒険を受けての楽曲なので歌詞内容も曲名通りアドべンチャラスで、放送日が8月1日というメタ的な点も考慮するとこれから夏休み本番を迎える子供たちへ向けたエールにもなっています。"夏が来たぞい 冒険するぞ/知りたいコトなら 山もりもりあるもんっ"の野心を胸に、"宝の地図は暗闇でGet/突然出会ったあれはデカスイカ!?"といきなりぶっ飛んだ世界観になるのは実にプリパラらしいというか、看板に偽りなしの「トンでもSUMMER ADVENTURE」ですね。笑

 

 一方で2番の歌詞はその回顧的な内容から大人にも刺さる言辞で綴られており、別けても"豊かな時代です/でもねその分お悩みは…増えちゃう/探るべき場所は私の胸の中 ピンポイントで!"が気に入っています。世間の荒波に揉まれて冒険心を忘れた大人たちよ、初心のときめきを思い出せ!と発破を掛けられたような金言です。

 

 

メロディ(作曲:hisakuni)

 

 旋律にはメンバーの個性が反映されているとの認識で、性格上シオンとドロシーのアクティブさとらぁらのキュリアスさは冒険がテーマの楽曲にマッチしやすいと言えるため、印象に残るのは寧ろテイストの違うレオナとふわりのパートです。

 

 レオナとドロシーはやはり相互補完するラインに特色があり、後行の"山もりもりあるもんっ"でも先行の"絶景かな?"でも、レオナには常にキュートなメロが宛がわれています。末尾の撥音+促音または疑問符の存在で音声学的にやや特殊な振る舞いとなるので、換言してそれらによる曖昧さが旋律に可愛らしい質感を与えているのかもしれません。

 

 ふわりのラインではそのナチュラルっぷりが上手く活かされており、"突然出会ったあれはデカスイカ!?"も"エイヤー!ヘイヘイ!踊ろう"も、良い意味で気の抜ける天然なフレージングが耳に残ります。本曲はギャロッピングなビートに合わせたポップなメロディを基本としているため、アッパーなノリのまま"真剣挑戦泳ぐぞ~ GOGO!"で旋律的には綺麗にオチているサビの終わりに、悪く言えば蛇足にも思える"(スイスイミング スイスイクロール スイスイスイ浮き輪でスイスー)"のコミカルなラインが来ても、ふわりのパートが伏線となって自然に受け容れられるのが技巧的です。歌詞的にもスイス(パルプス)ネタで得心がいきます。

 

 サビの締め方について更に掘り下げると、2番では最後の"ホリ~"を駆け足の音運びにして強引にCメロに雪崩れ込む展開で、ラストではまさに上述した綺麗なオチ方("GOGO!"で終わってビートへ戻る)で共に変化を付けており、これは楽典上生じるかもしれない違和感を逆手に取って、1番からひねって2番で異なるひねり方をして最後に王道で安心させるという、hisakuniさんの高度な作曲術による賜物です。

 

 

アレンジ(編曲:hisakuni)

 

 ドリームチームはメンバーが流動的なのが新鮮な魅力で、そのお披露目のワクワク感を"らぁら!ふわり!ドレシオ!『ハ~イ!』"とコール&レスポンスの形で提示する立ち上がりの巧さをまず絶賛します。この点は先掲の特集記事でも言及していて、イントロの神懸かりっぷりを説明する流れで「HAPPYぱLUCKY」(2014)のそれをトップに据えた次点に本曲の名前を出していました。これは冒頭のC&Rについてだけではなく、続く間奏部のグルーヴまでを含めた評価です。

 

 跳ね感のあるビートメイキングとスティールパンのトロピカルなイメージから、ジャンルとして意識されているのはソカだと思います。日本では湘南乃風の「睡蓮花」(2007)やMINMIの「シャナナ☆」(2007)で有名なアレです。同じアイドル作品界隈からなら、ラブライブ!シリーズの「Mermaid festa vol.2 ~Passionate~」(2012)やアイカツ!シリーズの「夏色バタフライ」(2016)を例示出来ます。

 

 歴史的側面や音楽的様式を細かく言い出すと本曲も含めて「○○はソカじゃなくない?」との異論もあるかもしれないけれど、英語版Wikipediaにもあるように現実的には「its loud, fast percussive beats」の聴こえを取っ掛かりとして、そこに夏を前面に感じさせる或いは野外フェスで映えそうとの印象が加われば、ソカ認定を受け易いと僕の独自研究では捉えています。本曲はBメロで一旦それらしいビートが途絶えてしまうためやや疾走感を欠いている気はするものの、チルセクションを設けたと解せば依然夏フェスらしさ全開なので問題なしです。

 

 

 
 

備考:現時点での作品鑑賞状況

 

 昨年1月末に特集記事をアップした段階に於ける僕のアニメプリパラ視聴歴(TOKYO MXでの再放送分)は第64話あたりまででしたが、今週には第121話が放送されたので随分と作品知識も付いてきました。この間にガァルマゲドンの更なる虜になってしまったのと、まだ120話で結成されたばかりとはいえ古参の間でノンシュガーの人気が非常に高いことは既に腹落ちしかけています。このまま観続けてエピソードが積み重なれば、僕の中でも最も好きなチームに躍り出そうなハイポテンシャル具合です。

 

 音楽面でも更に沼ってまして、自作のプレイリストに照らすと「プリティーシリーズ」のセクションは今まで20*3の全60曲編成だったものが、現在では30*3の全90曲編成にアップデートされています。新たに30曲分の枠を設けたがゆえに下位列から繰り上がった楽曲もあるけれど(「トンでも~」もその一例)、中にはリスト外からいきなり最上位列に食い込んだスルメ曲も幾つかあり、とりわけ特筆性があるのは「ピュア・ハート・カレンダー」(2019)です。なぜこの神曲を以前の僕は上位60曲までにすら入れていないのかと我ながら不覚で、特集のアイドルランドプリパラ編でレビューしなかったことを後悔しています。

 

 【追記:2024.4.5】 本記事の最後にリンクした「プリティーシリーズのₙC₅」で「ピュア・ハート・カレンダー」をレビューしました。 【追記ここまで】

 

 また、去年の秋ぐらいから自分のヲタ活観に変化があって同人誌漁りも趣味のひとつに加わりました。当然プリパラ本も買いまくっており、上掲リンク先ではプリティーシリーズという書き方にしているけれども、その内訳は都合57冊中プリパラが45(全年齢:27|R18:18)冊、プリチャンが11(全年齢:2|R18:9)冊、プリマジがR18:1冊です。加えて、よろず本にもプリパラメインのものが2冊あります。R18よりも全年齢の購入数が上回るのは、自分にとって相当に作品そのものが好きであることを示す一種のバロメーターです。当該作品の本を買っている時点で一定水準以上で好んでいるため、下回っているからと言って愛がないわけではありませんよと念のためフォローしておきます。