今日の一曲!BUMP OF CHICKEN「Stage of the ground」
乱数メーカーの結果:174
上記に基づく「今日の一曲!」は、BUMP OF CHICKENのセクション(170~189)から「Stage of the ground」です。詳しい選曲プロセスが知りたい方は、こちらの説明記事をご覧ください。
収録先:『jupiter』(2002)
ご多分に洩れず「天体観測」(2001)のヒットを受けてファンになったので、同曲が収められている本作が初めてリアルタイムで買ったバンプのアルバムです。中一という多感な時期と重なっていたこともあり、全曲に何かしらの思い入れがあると言っても過言ではありません。
それでも敢えて数を絞って当時の感性で好みのナンバーを列挙すると、「Stage of the ground」「Title of mine」「キャッチボール」「ハルジオン」「メロディーフラッグ」「ダイヤモンド」がヘビロテの対象でした。対してここから20年が経過した現在の感性に照らすと、今回紹介する「Stage~」と「Title~」が自作のプレイリスト(バンプは20*3の全60曲編成)の上位20曲まで、「ダイヤ~」と「ハルジ~」と「メロディ~」が上位40曲まで、「キャッチ~」が上位60曲までに残っており、依然お気に入りの儘であることがわかります。
過去に「平成の楽曲を振り返る」企画に於ける平成13年の楽曲として「ハルジオン」をピックアップしたことがありましたが、その際には「書かなきゃいいものを…」な誰得自分語りと青春パンクバンド界隈へのディスを盛り込んだため、抵抗がないという方は下掲のリンクカードから参照してください。
歌詞(作詞:藤原基央)
何処のフレーズを切り取っても非常に勇気付けられる内容で、引用箇所に迷うほどです。"飛ぼうとしたって 羽根なんか 無いって/知ってしまった 夏の日"と立ち上がりこそショックな気付きからですが、"飛べない君は 歩いていこう/絶望と出会えたら 手をつなごう"と地を往く者ならではの矜持を胸に展開していくため、飛べないことを何時までも悔やんでいるような若しくは羽根を持つ存在を妬むようなネガティブさが感じられない点をまず高く評価します。
表題はサビの結びに"君が立つ 地面は ホラ/360度 全て 道なんだ/Stage of the ground"の形で登場し、地表にも無限の可能性が広がっていることが示されます。この「ステージ」の要素は終盤で敷衍され、"君をかばって 散った夢は/夜空の応援席で 見てる"や、"あの月も あの星も/全て君の為の 舞台照明"は、輝くための準備は万端とわかればこそ確信を持って歩を進められるという背景描写でしょう。
メロディ(作曲:藤原基央)
アルバムの幕開けを飾るに相応しいキャッチーさを有していると思います。イントロの前途洋洋な勢いのままに走り出すAメロは、どうしようもない現実を笑い飛ばすかのように軽やかな音運びです。ゆえに切り替えも早くBメロはテンポ良く展開していき、"哀しい夜を越えて"のラインにのみ少しの湿っぽさが過るものの、尾を引かず持ち直し"笑おうとするなら/唄ってやるよ ルララ"と明るい展望でサビへの引きが作られます。
"君"の正しさを全肯定する励ましのサビメロは都度印象が異なり、敢えての途上感を残したと思われる1番のそれを基本として、2番では翳りのCメロに繋げるための変化に驚かされ、ラストでは先に覚えし発展の予感に報いるフルサイズのメロディにカタルシスを感じられるという応用力が光る旋律です。
アレンジ(編曲:BUMP OF CHICKEN & MOR)
久々に聴いたからなのか記憶よりだいぶインディーズっぽかったと言いましょうか、ミックスにもっとメリハりがあったような気がしていたので意外に感じました。上でBメロに言及した際に「切り替えも早く」と表現したのも一例かもしれませんが、とりわけメロからメロへの移行部に仰々しさがないのが特徴的です。
この理由をバンドの技量やエンジニアの手腕に求めるのは簡単だけれども、何か意図があってのことだと解釈すると「地続き」のサウンドスケープかなと思いました。"君が立つ 地面は ホラ"を受ける1番の"360度 全て 道なんだ"およびラスサビの"365日いつだって/Stage of the ground"に鑑みると、行く先に道の途絶があっては"散った夢"の文字通り立つ瀬がなくなるので、敢えてさっと次のメロディに移れるような編曲にしたのだろうと聴き解きます。
備考:ポキレツ知恵袋
初回版に封入されている「ポキレツ知恵袋」と題された用語カードについて、僕の手元にあるのは03のスペースシャトルです。解説文には当時の運用機体の名前が載っていますが、ご存知の通り現在は全て退役というかスペースシャトル計画自体が終了しており、懐かしさと切なさが込み上げてきました。