今日の一曲!ランカ・リー=中島愛「ランカとBrand New Peach」【’18・マクロス編】 | A Flood of Music

今日の一曲!ランカ・リー=中島愛「ランカとBrand New Peach」【’18・マクロス編】

 【追記:2021.1.5】 本記事は「今日の一曲!」【テーマ:2018年のアニソンを振り返る】の第二弾『マクロスシリーズ』編です。【追記ここまで】



 今年はシリーズ最新作である『マクロスΔ』の映画作品『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(2018)が公開されたので、当ブログでも関連シングルのレビューとあわせた感想記事をアップしました。完全新作の劇場版の制作も決定し、まだまだ『Δ』世界の広がりとワルキューレの活躍を楽しめそうで何よりですが、新譜としては『ワルキューレは裏切らない』(2018)以降のリリースはなかった形となります。…これでは本記事で新たに取り上げる対象がないのでは?と思ってしまいそうですが、今年は前作にあたる『マクロスF』関連ディスクの発売もあったため、振り返り用の弾として今まで温存していました。

 『F』のTVアニメは2008年の放送だったので、実に10年もの年月が経過していることになりますが、その間にも映画作品の公開に伴ってコンスタントに関連CDはリリースされており、『F』がメインに据えられている盤としては、『マクロス30周年記念 超時空デュエット集 娘コラ』(2014)以来となるはずです。それでも4年ぶりということで、久々であることには変わりません。厳密にはシェリル・ノーム starring May'nの「ゴ~~ジャス」(2017)が去年に配信されていますが、フィジカルリリース準拠で考えています。



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 ということで、『F』10周年記念盤『Good job!』(2018)から、c/wのランカ・リー=中島愛「ランカとBrand New Peach」を中心にレビュースタートです。楽曲制作を手掛けたのは、勿論菅野よう子さん。

 本曲は現実ではアプリ『歌マクロス』の1周年記念曲という立ち位置ですが、設定上は(=歌詞カード記載の文章によると)紛失状態にあったお蔵入りのマスター音源が長い時を経て発見され、そのうちの一曲という扱いになっています。あまり詳細に書くのも憚れるゆえ簡単な解説に止めますが、本曲への言及は元々多くありません。


 そんな中で唯一本曲に対して用いられている形容は、「超時空シンデレラの名にふさわしいシズル感」です。意味する範囲の広い言葉、シズル感。音楽に使われているのは珍しい気がしますが、ここでは「ランカというキャラクターが持つ愛らしさ」と、「Brand New Peachという曲名から来る瑞々しさ」を、それぞれ意識した用法なのではと推測します。

 作品およびキャラのことを把握している人が…いや、もしかしたら何の予備知識がない人でも同様かもしれませんが、本曲を初めて聴いた時に出てくる感想の大体は、「あざとい but 可愛い」に収束するのではないでしょうか。「めっちゃ狙ってる感はあるんだけど、こういうのでいいんだよ」的なことを言いたいわけですが、これをしてシズル感と表現しているのであれば、非常に端的で得心がいきます。


 サビ始まりのほんの数秒を聴いただけで、この先に展開されるキュートネスを予見するには充分なほどで、このガーリー且つキャッチーな立ち上がりは、文字通りの「つかみはばっちり」ですね。

 敢えて初回のみ英語表記ではない歌詞も技巧的で、"ちょ ベリベリグッ/ベリグッ ベリグッ/リリリリ グッ/トゥリ トゥリ ランチャー"の字面は、英語としての発音に忠実にしたというよりも、舌足らずな印象を優先させた可愛さアピールに映ります。曲以外の部分で更なる補強をするなら、『歌マクロス』に於けるダンスモーション(とりわけ"ランチャー"の部分)もあざとさ全開で好みです。


 サウンドとしては、程良い電子感とディスコライクなストリングスが印象的で、ベースラインの心地好さも含めてダンサブルなナンバーだと言えます。"Dance Lucky Dance"にも納得。

 歌詞も面白く、"飛んでる 記憶は 困ったちゃん あなたが/本命です 格別です"や、"Say! 野生 でっぱってる ドキドキ"など、独特な言い回しながらとにかく好きな気持ちは伝わって来るフレーズを素敵に思います。日⇔英の言葉遊びが光る、"Say! 野生"(You sayもしくはYo say?)と、"明日まで 前のMerry!"(前のめり?)もお気に入りです。


 メロディについては、これまた「キュート&ポップな感じ」と、ふわふわした方向の感想でまとめたくなりますが、肝は「時折センチメンタルな趣が顔を覗かせるところ」だと考えていて、その最たるものはCメロに見られる畳み掛けの旋律であると主張します。2番サビ終わりからシームレスで"記念日把握して"~と続き、"tu tu lu,,,,"で更につないで、不安を滲ませた歌詞の落ちサビへ入るという流れが、逸る恋心のようだと感じたからです。

 "いきなり白紙で/一番乗りして"で急接近してからの、"ちょvery very bad/very bad very bad/おしゃべりは いけないデンジャー"で自制心を見せられると、絶妙な距離感が伝わってきますよね。それでも夢見て、"二人は Brand New Peach"と未来志向で終わるのは、乙女らしくて…ひいてはランカらしくて良いと思います。





 『Good job!』収録曲の中では「ランカと~」が最も好みであったため、紹介の順番が前後してしまい恐縮ですが、表題曲の「Good job!」もなかなかどうして良曲です。

 Van Halenっぽいイントロのワクワク感もさることながら、やはりシェリルとランカ(May'nと中島愛)の歌声が重なると、何とも言えない高揚感が湧き出てきますね。設定上は求人情報サイトのCMに使われるはずだったナンバーですが、これは確かに鼓舞する意味で効果的な応援ソングだと言えます。



 もうひとつのc/w「ゴ~~ジャス」はシェリルのソロ曲で、冒頭にも書いた通り、去年配信でリリースされていたものがCDに初収録となった形です。

 ホーンセクションとアラビアンテイストのサウンドが特徴的な楽曲で、このギラギラ感と挑発的な歌詞のマッチングは、「シェリル・ノームの健在」を喧伝するのには申し分ないものでした。


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