
今日の一曲!Underworld「Confusion the Waitress」
【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 2.0の第二十一弾です。【追記ここまで】
本日の出目は【10, 4, 9, 3】だったので【1stの500番】の楽曲、Underworldの「Confusion the Waitress」を紹介します。
Second Toughest in the Infants/Underworld

¥価格不明
Amazon.co.jp
「Confusion the Waitress」(1996)はアルバム『Second Toughest in the Infants』(邦題:『弐番目のタフガキ』)の収録曲です。個人的にはアンダーワールドのトラックの中でも屈指の格好良さを誇る神曲だと思っているので猛プッシュしていきます。笑
何が格好良いってこのストイックさよ。僕は時たま音楽に対する形容として「ストイック」という言葉を用いますが、これだけだと曖昧なのでもう少し具体的に説明しますね。まずこの場合の「ストイック」の意味ですが、ストア派云々の哲学用語としてではなく、日本語訳として据りの良い「禁欲/克己的な」程度の意味で使っていると思ってください。
では「音楽が禁欲的」とはどういうことか?それは「最低限の構成要素のみで成立している」ことだと捉えています。もっと砕けて言えば「アレンジに過度の装飾が無い曲こそストイックだ」と認識しているということです。
これはもう「Confusion the Waitress」を聴いて直接判断してくれ!と丸投げしちゃいますが、聴けば僕の言わんとしているストイックさについて何となくはご理解いただけると思います。…ですが、一応言葉で説明しようと努力してみますね。
ともすれば「地味」と感じる人も居るであろう程に制限された土台の上を、カールお得意の「意識の流れのようなボーカル」が揺蕩っていくというシンプルさながら、どうしてここまでグルーヴィーで高揚感のあるダンスミュージックに昇華されているのかが不思議で堪らない、まるで「暴発寸前の禁欲状態」を思わせるところこそがこの曲のストイックな魅力である。…と、長い一文になりましたが表現するならこんな感じです。
ボーカルを除くとドラムとベース(に相当するような音)のみで構築されていると表現してもいいくらい音数が少ないと感じるんですよね。まあそれ自体は電子音楽(特に古いテクノ)に於いては別段珍しいことでもない気がしますが、所謂ウワモノと表現出来るような目立つ音が無いことや、ドラムパターンやベースラインが派手なフレージングになっていないところに抑制の感があると思います。
こう書くとただ地味な曲だという印象を与えてしまうかもしれませんが、決してそういうわけではないというのが「Confusion the Waitrass」の凄さであると主張し、以下その点を補強していきます。
急に感覚的な話になりますが、この曲めちゃくちゃお洒落だと思いません?間違っているかもしれませんが、ジャンルとしてはテックハウスになるんじゃないかな(「かなりストイックな」という枕詞をつける必要はありそうですが)。後年にリリースされた「Bird 1」(2010)も似たような傾向の曲だと捉えていますが、個人的にテックハウスはお洒落サウンドの代名詞だという認識なので。笑
内省的或いは哲学的な趣はあるんだけど、きちんとダンスミュージックとして外向きのエネルギーも放っているというところに、ナードもパリピも綯い交ぜにしたような面白さが宿っているとも思う。暗い人が内に秘めていた激情の片鱗を覗かせた時とか、軽薄な人が不意に核心を突くような発言をして本質を顕にした時とか…そんなざわざわ感を覚えるというかね。
直上のパラグラフは謎発言になっている気がするので曲自体に話を戻しますが、この曲の魅力は何もアレンジのストイックさだけではなく、ボーカルのメロディラインも歌詞も非常に素敵だと言えます。
アンダーワールドではお馴染みのフレーズ"She said"が頻繁に登場し、それを軸にすることで独特のフロウが生み出されているのが素敵です。こういうのは英語詞ならではの韻踏みだと思うので新鮮。曲に合わせて歌ってみると、如何にこの主旋律が恍惚的かを実感出来るはず。
歌詞の内容もそのまま捉えれば結構ポジティブで好きです。"She said you can"で始まる冒頭の数フレーズは、中学生レベル(今の時代は小学生レベルとすべきかも?)のシンプルな英語で「あなたが如何に自由か」が歌われていて、"She"に思わず気を許してしまいそうになります。笑
中盤からは段々と歌詞が抽象化していき意味がよくわからなくなってきますが、妙に印象に残るのは"She said he loves you but can you name me his children"という人称がこんがらがりそうな一節です。なんかだ得も言われぬ怖さがありませんか?
ボーカルにかけられた空間処理も含めて、最も格好良いと思うのは終盤で再び"She said you can"を含むフレーズが登場するパートです。特に最後も最後の"just pick up the phone"は、カールの歌声があまりにもセクシー過ぎて男なのにゾクゾクするくらい。脳内をハックされたような感覚に陥る。
まだまだ細かいツボを挙げようと思えば挙げられますが限が無いのでここまでにします。最後に一点付け加えるなら、後年のリイシュー盤(2015)の音源よりもオリジナルの方がこの曲の魅力を存分に堪能出来ると思います。
ここまでに示している通りストイックな楽曲;言い換えれば繊細なトラックなので、マスタリングによる影響が大きいと感じるんですよね。リマスター盤の音源は個人的にコレジャナイ感が…ま、好き好きでしょうけど。
本日の出目は【10, 4, 9, 3】だったので【1stの500番】の楽曲、Underworldの「Confusion the Waitress」を紹介します。
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「Confusion the Waitress」(1996)はアルバム『Second Toughest in the Infants』(邦題:『弐番目のタフガキ』)の収録曲です。個人的にはアンダーワールドのトラックの中でも屈指の格好良さを誇る神曲だと思っているので猛プッシュしていきます。笑
何が格好良いってこのストイックさよ。僕は時たま音楽に対する形容として「ストイック」という言葉を用いますが、これだけだと曖昧なのでもう少し具体的に説明しますね。まずこの場合の「ストイック」の意味ですが、ストア派云々の哲学用語としてではなく、日本語訳として据りの良い「禁欲/克己的な」程度の意味で使っていると思ってください。
では「音楽が禁欲的」とはどういうことか?それは「最低限の構成要素のみで成立している」ことだと捉えています。もっと砕けて言えば「アレンジに過度の装飾が無い曲こそストイックだ」と認識しているということです。
これはもう「Confusion the Waitress」を聴いて直接判断してくれ!と丸投げしちゃいますが、聴けば僕の言わんとしているストイックさについて何となくはご理解いただけると思います。…ですが、一応言葉で説明しようと努力してみますね。
ともすれば「地味」と感じる人も居るであろう程に制限された土台の上を、カールお得意の「意識の流れのようなボーカル」が揺蕩っていくというシンプルさながら、どうしてここまでグルーヴィーで高揚感のあるダンスミュージックに昇華されているのかが不思議で堪らない、まるで「暴発寸前の禁欲状態」を思わせるところこそがこの曲のストイックな魅力である。…と、長い一文になりましたが表現するならこんな感じです。
ボーカルを除くとドラムとベース(に相当するような音)のみで構築されていると表現してもいいくらい音数が少ないと感じるんですよね。まあそれ自体は電子音楽(特に古いテクノ)に於いては別段珍しいことでもない気がしますが、所謂ウワモノと表現出来るような目立つ音が無いことや、ドラムパターンやベースラインが派手なフレージングになっていないところに抑制の感があると思います。
こう書くとただ地味な曲だという印象を与えてしまうかもしれませんが、決してそういうわけではないというのが「Confusion the Waitrass」の凄さであると主張し、以下その点を補強していきます。
急に感覚的な話になりますが、この曲めちゃくちゃお洒落だと思いません?間違っているかもしれませんが、ジャンルとしてはテックハウスになるんじゃないかな(「かなりストイックな」という枕詞をつける必要はありそうですが)。後年にリリースされた「Bird 1」(2010)も似たような傾向の曲だと捉えていますが、個人的にテックハウスはお洒落サウンドの代名詞だという認識なので。笑
内省的或いは哲学的な趣はあるんだけど、きちんとダンスミュージックとして外向きのエネルギーも放っているというところに、ナードもパリピも綯い交ぜにしたような面白さが宿っているとも思う。暗い人が内に秘めていた激情の片鱗を覗かせた時とか、軽薄な人が不意に核心を突くような発言をして本質を顕にした時とか…そんなざわざわ感を覚えるというかね。
直上のパラグラフは謎発言になっている気がするので曲自体に話を戻しますが、この曲の魅力は何もアレンジのストイックさだけではなく、ボーカルのメロディラインも歌詞も非常に素敵だと言えます。
アンダーワールドではお馴染みのフレーズ"She said"が頻繁に登場し、それを軸にすることで独特のフロウが生み出されているのが素敵です。こういうのは英語詞ならではの韻踏みだと思うので新鮮。曲に合わせて歌ってみると、如何にこの主旋律が恍惚的かを実感出来るはず。
歌詞の内容もそのまま捉えれば結構ポジティブで好きです。"She said you can"で始まる冒頭の数フレーズは、中学生レベル(今の時代は小学生レベルとすべきかも?)のシンプルな英語で「あなたが如何に自由か」が歌われていて、"She"に思わず気を許してしまいそうになります。笑
中盤からは段々と歌詞が抽象化していき意味がよくわからなくなってきますが、妙に印象に残るのは"She said he loves you but can you name me his children"という人称がこんがらがりそうな一節です。なんかだ得も言われぬ怖さがありませんか?
ボーカルにかけられた空間処理も含めて、最も格好良いと思うのは終盤で再び"She said you can"を含むフレーズが登場するパートです。特に最後も最後の"just pick up the phone"は、カールの歌声があまりにもセクシー過ぎて男なのにゾクゾクするくらい。脳内をハックされたような感覚に陥る。
まだまだ細かいツボを挙げようと思えば挙げられますが限が無いのでここまでにします。最後に一点付け加えるなら、後年のリイシュー盤(2015)の音源よりもオリジナルの方がこの曲の魅力を存分に堪能出来ると思います。
ここまでに示している通りストイックな楽曲;言い換えれば繊細なトラックなので、マスタリングによる影響が大きいと感じるんですよね。リマスター盤の音源は個人的にコレジャナイ感が…ま、好き好きでしょうけど。
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