今日の一曲!Daft Punk「Digital Love」 | A Flood of Music

今日の一曲!Daft Punk「Digital Love」

 【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 2.0の第四弾です。【追記ここまで】

 本日の出目は【6, 1, 8, 6】だったので【3rdの193番】の楽曲、Daft Punkの「DIGITAL LOVE」を紹介します。ダフトパンクの楽曲の中ではかなり有名だと思いますしレビューも氾濫しているでしょうが、せっかくなので改めてこの名曲に迫ってみるとします。

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 「Digital Love」(2001)は2ndアルバム『Discovery』に収録されている楽曲で、同年のうちにシングルとしてもリリースされました。アルバムに関しては日本盤のこのジャケットが有名だと思うのでAmazonリンクもそれに。といってもこれは1stプレスのものではないので肌の色が違います。

 絵柄ですぐにわかると思いますが、これは松本零士さんによるワークスです。ジャケ裏には地球をバックにダフトパンクの2人と松本さんが映っている写真が載せられています。笑 両者のコラボについて詳しく書き出すと長くなってしまうのでここでは割愛しますね。




 確認バッジが無いので公式chかどうか些か不安なのですが、YouTubeに[Official Audio]として音源がアップされていたので埋め込みます。


 まずイントロ…というかトラックの軸となっている温かみのあるフレーズですが、これはサンプリングで、George Dukeの「I Love You More」(1979)のイントロが大胆に取り入れられています。聴き比べてみると面白いですよ。

 元ネタの方も素敵ですが、こちらも美しいメロディに素直な愛のリリックがのせられているので、「Love」を冠しているのも納得ですね。ボーカルにかけられたエフェクトも心地好くて素敵なのですが、これが「Digital」感の演出なのかなと思います。

 前半で特に好きなのは、2回目の"Ooh I don't know what to do"の後のファンファーレっぽいキュートなフレーズです。ハッピーな感じがして頬が緩むのですが、歌詞の内容的には夢から覚めてしまったところなのでギャップがあると言えなくもないかも。笑


 後半は構成がなかなかプログレッシブだと思います。前半のノリのままゆったり聴いていると2:15~ではっとさせられますし、また元の温かみのあるフレーズに戻ったと思ったら、2:46~は違うフェーズに入ったと思わせるような物語性が出てきますよね。

 直近の歌詞が"We'll make this dream come true"なので、ここからは現実のパートだと思います。idkwtd…つまり「どうしたらいいんだ」の状態からの"Why don't you play the game?"なわけですから、前向きにアタックしていると捉えるしかないでしょう。


 この解釈を更に後押しするのが、この曲のクライマックスを飾る昇天するかのようなギターソロです。いや、ギターかどうかは正直自信がありません。笑

 上に埋め込んだものとは違う動画にてですが、コメント欄でも「ギターだ」「いやシンセだろ」「シンセでギターっぽい音を出しているんじゃ?」「ギターとシンセのミックスだろ」「ギターにエフェクトをかけているんだと思うよ」などと、海外ファンの間でも意見が割れているのを確認出来ました(日本語は全部僕の意訳です)。

 中でも「ギターの音をtalk boxを介して出している」というのが割と支持を集めていますね。トーク・ボックスはギタリストやシンセシストなら馴染みがあるかもしれませんが、簡単に言えば楽器から出した音をチューブを介して口の中で響かせるというエフェクターです。楽器の音と人の喋りが融合したような質感が出ます。

 この音は最初に"Why don't you"~のメロディに呼応するような形で登場するので、コーラスっぽさを演出するためにトーク・ボックスを使うというのはアレンジとしては自然な発想だと思います。よって、僕もこの音は「ギター+エフェクター」によるものだと推測。


 感覚的に言わせてもらえば「これは本当にギターで奏でているだろう」と素直にそう思えますし、鍵盤を弾いてもこうはならないと経験上思うんですよね。それが「シンセのみ」或いは「シンセ+何らかのエフェクト」の立場をとらない理由。少なくとも(演奏するための装置として)ギターは絡んできているはず。

 思うに、コメント欄のリスナーは音の質感だけで判断している人と、楽器毎に異なるプレイングスタイル…「手弾き感」と言ってもいいかもしれませんが、そこまで込みで判断している人が混在しているから言い争いになっているのではないかな。楽器をやる人とやらない人の捉え方の差かもしれない。

 本筋からずれてしまいましたが、ともかくこの「ギターソロ」には素敵な未来を思わせる多幸感が宿っているということが言いたかったのです。「Digital Love」は「デジタル」と冠してはいますが、遥か未来に於いても「ラブ」は普遍的なのだと、そんなメッセージが込められていると解釈しています。



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 ここからはおまけです!「Digital Love」を紹介するなら個人的にはついでにふれておきたい楽曲があります。それはavengers in sci-fiの「Pearl Pool」(2012)です。4thアルバム『Disc 4 The Seasons』収録曲。

 前にもこの記事の中で少しだけふれたのですが、「Daft Punkオマージュにあふれるサウンド」というのは「Digital Love」のことを指して書いたのでした。

 歌詞に"泣きたいほどワンモアタイムしてなよ ダフトになるといいぜ"と出てくるのですが、これはダフトパンクの楽曲でいちばん有名かと思われる「One More Time」(2000)から来ている一節だとわかります。

 しかし今話題にしたいのはこれではなく、この歌詞の後のギターです。「Digital Love」ですよね。笑 ここまでの記述で言えば、「はっとさせられます」と書いた2:15~と同じフレーズ。サンプリングというわけではなくリスペクトを込めたプレイングですね。二重にダフトパンクネタをぶっこんでくるアヴェンズのセンスに痺れました。