今日の一曲!ALI PROJECT「昭和恋々幻燈館」「昭和B級下手喰い道」【テーマ:昭和】 | A Flood of Music

今日の一曲!ALI PROJECT「昭和恋々幻燈館」「昭和B級下手喰い道」【テーマ:昭和】

 【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 1.0の第三十三弾です。【追記ここまで】

昭和といえば、なにを思い浮かべる?

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 モノというか正確には言葉なんですが、現代とは呼び方が異なるモノを思い浮かべますね(死語になっていると言い換えてもいいかも)。例えば「衣紋掛け」とか「外タレ(ミュージシャン)」とか。念のため書きますが「ハンガー」と「海外アーティスト」のことです。笑

 これを書くと正確な年齢がバレてしまうのですが、僕が生まれて間もなく昭和は終わってしまったので、何一つ実体験はなく知識だけの世界です。知識の仕入れどころは教科書であったりテレビであったりするのですが、いちばん身近なのは親の言葉(語彙選択)でしょうね。

 これを書いて自分で愕然としたのですが、今ってもう平成生まれの人に平成生まれの子がいても何らおかしくないんですよね…その平成ですら残り2年を切っている(予定)というのに、そのひとつ前の昭和なんてますます過去になってしまいますね。



 さて、【テーマ:昭和】の「今日の一曲!」は初の2曲同時紹介です。ALI PROJECTの「昭和恋々幻燈館」と「昭和B級下手喰い道」を取り上げます。前者は7thアルバム『Dilettante』(2005)収録曲で、後者は16th『A級戒厳令』(2016)収録曲。

 同一アーティストの曲なので記事タイトルも2つ同時でいいかというだけなんですが、アリプロは当ブログでは初の登場になるので、毎度の如く個人的な遍歴についてまず書きます。


 アリプロとの出逢いは正確には覚えていませんが、本格的に好きになったのはTVアニメ『マリア様がみてる』OP曲の「pastel pure」(2004)か、『Rozen Maiden』OP曲の「禁じられた遊び」(2004)ではないかと記憶しています。

 しかしこれより前に「コッペリアの棺」(2001)や「月蝕グランギニョル」(2003)を曲だけ知っていて、『Avengers O.S.T.』(2003)をアニメを知らないのに買ったという記憶もあるんですよね。このあたりの時系列があやふや。

 とにかく2004年頃からアニメを観始めて2007年夏までは第一次アニヲタ期だったので、アリプロで言えば19thシングル『跪いて足をお嘗め』(2007)まではシングルで追っていたと断言できます。『怪物王女』を観ていた記憶もあるし、この辺りの認識は正確なはず。


 ここで長いことアニメからは離れますが、アリプロはその音楽性の高さからアニメとは関係なしに好きになっていたので、その後数年かけてぼちぼちアルバムを集めました。レンタルも駆使していますが一応オリジナル/ストリングス/ベストアルバムは全て揃えています。

 アリプロは作品数がとても多いので上記3タイプだけでもかなりの枚数になりますが、それでもまだミニアルバム/サントラ/コンピ等に関しては全て持っているわけではないので、今後も集め甲斐があるなと思っています。笑


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 まずは「昭和恋々幻燈館」からご紹介。読みが「しょうわれんれんげんとうかん」であることは歌詞からも判断できますが、一応JASRACデータベースで裏を取ったところ、この読みで正解のようです。

 この曲はひとえに昭和賛歌です。こう書くと「昔は良かった」的な主観を伴う懐古の曲だというイメージが先行するでしょうし、勿論その意味合いもあるとは思いますが、歌詞を見ていくとどちらかといえば懐古"趣味"の曲なのではないかと思います。


 「懐古趣味」でイメージが悪ければ「昭和への憧れ」と置き換えても良し。前述の通り僕は昭和をリアルタイムで生きた人間ではないので知識でしか知りませんが、この歌の主人公にはそのような若者が設定されているはずです。

 "知らない思い出"や"生まれ変わるなら/あの時代に/生きてみたいな"というフレーズだけならば昭和に生きた人の回想とも解釈できます。前者は「自分とは直接関係ない記憶」という意味で、後者は「再度経験したい」という意味で。

 しかし実際はこの捻った解釈でなく、言葉通りの意味が正解だと思います。なぜなら"パパとママそのまたママとパパの/ダンスホールのロマンス"という一節があるから。これにより"白黒写真"を見ているのは三代目の人間であると分かりますよね。


 ともかく、現代から昭和を振り返った歌であることと、描写されているのは昭和であるということには変わりありません。ただ、歌詞の内容やサウンドはどちらかといえば大正を連想させる趣なので、昭和初期に思いを馳せているのでしょうか。

 この辺りの時代感覚が僕にはないので、もしかしたら誤解していたりおかしなことを書いていたりする可能性もあります、あしからず。具体的に時代を指定せず、"ノスタルジック"と表現するのがいちばんいいのかもですね。


 歌詞で特に気に入っているのは、"お洒落したら銀座のカフェーへ"と具体的な場所を提示している部分です。GINZA SIXのオープンで益々発展を見せた銀座ですが、昔から銀座という街の持つパワーは凄かったのだろうとわかるから。

 今は銀座でも外国人(主に中国人)が多い印象ですし、GINZA SIXの外観には近代化を極めたような無機質さがありますが、この歌に出てくる"銀座"には日本(+西洋)と温かみを感じることができます。

 とはいえ昔を知らないので、今のごった煮感も嫌いではありませんけどね。でもそれって銀座の役割か?とは思います。僕もなんとなくレベルでは、昔の銀座の良さというものを多少は理解しているのかもしれません。


 …歌詞以外にも触れましょう。リズムは軽快で心地好く、旋律も流麗且つポップで聴きやすいですね。アレンジも優しく、過剰な装飾をしているわけではないのに優雅な質感が付与されているところに、昔ながらの職人技を見た思いです。

 アリカ様の歌声も可愛らしく、毒気が全くありませんね。笑 曲に相応しい歌い分けが常に見事です。
 

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 続いて紹介するのは「昭和B級下手喰い道」。こちらは現状最新のオリジナルアルバムからで、「昭和恋々幻燈館」から10年以上空けて再び「昭和」を関する曲の登場です。読みは「しょうわびーきゅうげてぐいどう」…「下手喰い」が難読。

 この曲に関しては公式サイトのブログにて具体的な年代が明かされています。引用しますと、「戦後まもなくから40年代初めまでの"昭和"」だそうです。しかし「昭和恋々幻燈館」と違い、描かれているのは昭和のダークサイドといった趣の曲。

 とはいえ別に批判的な内容ではないと思います(皮肉的ではあるかもしれませんが)。「B級下手喰い」という言葉から分かるようにこの曲も「美味礼賛シリーズ」ですからね。これもブログで言及されています。


 当然この頃の食糧事情については何も経験がないし、知識も恥ずかしながら貧弱なので雰囲気しかわからないのですが、極限状況下…とまでいかなくても飢えには勝てるわけがないので、食えるものは何でも食うという精神は至極真っ当だと思います。

 ゆえに現代人の食生活を皮肉ったパートがいちばん痛快です。"飢えとは無縁の乙女はこぞって/気楽なダイエット"…強烈ですね。笑

 "マクロビ ビーガン ベジタリアン"とお馴染みの食主義も登場します。個人的にはその主義自体は否定しないし個人の自由だと思いますが、それを周囲に押し付けたり普通の食生活を営んでいる人を見下したりする言わば過激派は、自分たちの主義の価値を自ら貶めているような気が。


 そんな方々が聴いたら…いや、口にしたら卒倒しそうな"チクロにズルチン サッカリン"も登場します。実は"サッカリン"しかよく知らなくて、"チクロ"と"ズルチン"は調べて知りました。特に"ズルチン"は凶悪ですね。

 現在でも様々な人工甘味料の名前が食品ラベルに踊っていますが、僕は過剰に避けることはしていないものの、単純に人工甘味料って味が悪いと思うのでなるべく口にしたくはありませんね。長期的な影響はわからないし。


 面白い歌詞なのでまだまだ取り上げたい個所はたくさんあるのですが、更に長くなってしまうのでこのぐらいにして曲自体を見ていきます。

 哀愁漂うAメロはまだ大人しい印象ですが、Bメロに入ると俄に疾走感を帯び始めます。その勢いが"意地悪バアさん"のワンクッションを挟んで、サビで再度疾走。歌詞に"毒々しい"と出てきますが、メロディとアレンジだけでも十分に毒々しいなと思います(誉め言葉)。笑

 わざとらしいぐらいの明快さを持つメロディに、ドラムとストリングスの暴れっぷりがたまらないパンキッシュなアレンジを纏わせるという構図が、特定の味(ここでは甘さとします)のみをガツンと喰らわせるという、"人工甘味"然とした趣を思い起こさせるからでしょうかね。


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