冨田ラボ feat. 椎名林檎「やさしい哲学」レビュー 歌詞 意味 冨田恵一 浮き名 | A Flood of Music

今日の一曲!冨田ラボ feat. 椎名林檎「やさしい哲学」【テーマ:哲学】

 【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 1.0の第三十一弾です。【追記ここまで】

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 哲学の日の割に質問がくだけててちょっと笑いました。最近…というか目下の悩みは、本当はここに哲学じみたことを書こうとしていたのに、時間がない(今日が終わってしまう)のでそれを書けずじまいになったことです。笑

 いつもここの雑談部をいちばん後回しにして書いているので、あと5分(今23:55)では無理。


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 そんな【テーマ:哲学】の「今日の一曲!」は冨田ラボ feat. 椎名林檎の「やさしい哲学」です。冨田ラボのアルバムでは『Joyous』(2013)に、椎名林檎のアルバムでは『浮き名』(2013)に収録されています。

 作詞と歌唱を椎名林檎が、作曲を冨田恵一が担当した楽曲で、どちらのアルバムでも1曲目に据えられています。幕開けに相応しい力強いナンバーなので適材適所と言えますね。


 今までも数々のミュージシャンをフィーチャーしてきた冨田ラボですが、ついに椎名林檎も来たかと当時思いました。同時に期待も高まる。椎名林檎ソロでは普段耳に出来ないタイプの楽曲になるだろうと思っていたから。


 …そして放たれた「やさしい哲学」、期待以上の良曲でした。椎名林檎の楽曲の中でも上位に入るぐらいツボです。基本的にはロックの手法で構築されているとわかるものの、主張しすぎない優しいシンセの音から醸されるニューウェイヴ感にやられた。

 先に聴いたのは『浮き名』にてでしたが、電子音を操っているという大雑把な括りで見ても、中田ヤスタカやTOWA TEIとの楽曲を抑えて、このアルバムの中でいちばん好きですね。いや、もちろん「熱愛発覚中」も「APPLE」も大好きですけど。笑 【追記:2022.4.18】 「APPLE」をレビューしました。 【追記ここまで】


 疾走感のあるアレンジに上手く寄り添っているメロディも素晴らしいです。全体的には憂いを帯びているのにキャッチーで聴きやすい。A→B→サビへと向かうにつれて迷いを振り解いていっているような、徐々に軽くなっていく旋律だと表現したい。

 特にBメロ、前半の色っぽさと切なさをはらんだメロディが、後半で走り出すような感じに変貌していくところがたまらない。


 もちろんこの印象には歌詞の力も大きいです。"少女が生を受けた日に女の才能は芽生えていた"。冒頭からなんてインパクトのある一節!男の自分でも(だからこそ?)ドキッとするぐらいなので、女性リスナーが受ける印象はより大きいだろうと思っています。全体的に女の歌だと思うしね。

 いちばん好きな歌詞もBメロ部分です。1番の"ついに自由を知って・・/君はあえかな根無し草"と、2番の"もっと不幸を知って・・/僕の所為で噫草臥れて"、どちらも詩的で色鮮やかで美しいと思います。"草"の使い方が巧い。

 恥ずかしながら"あえか"はこの曲で初めて意味を知りました。もしかしたら古典で習ったかもしれませんが忘却の彼方。"根無し草"に関しても「こうやって比喩的に使うのか」と感心。




 最後に『浮き名』という作品自体に話を移しますが、先に挙げた中田ヤスタカとの共作「熱愛発覚中」には驚きました。僕が両者を非常に敬愛していることは当ブログをご覧いただければわかると思いますが、まさかコラボするとは。交わらない存在だと思っていたのでまさに僥倖。

 『浮き名』には椎名林檎自身によるセルフライナーノーツ的な文章が付属していますが、その中で女史が「電気の扱いに長けていらっしゃる」とヤスタカを表現し、「ホンモノの方」と評していたのがとても印象に残っています。




 『浮き名』だけ取り上げては不平等だと思ったので『Joyous』にもふれます。このアルバムには「やさしい哲学」以外にも椎名林檎が参加している楽曲が2つある(「都会の夜 わたしの街」と「この世は不思議」)ので、手にした林檎ファンも多いのではと思います。

 どちらも原由子、横山剣、椎名林檎、さかいゆうの4名をフィーチャーした楽曲ですが、MVがある「この世は不思議」を埋め込んでおきます。素敵です。


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