窓口で、「応募して面接も受けて1週間になるけど、応募先から何の連絡もない、どうなっているのか聞いてほしい」とよく相談(依頼)をうけた。

 採否の結果は通常、事業所からまず応募者本人に連絡し、そのあとハローワーク(以下:HW)に連絡(FAX)をもらうことになっている。

 こんな時、応募者から事業所に直接「結果どうなっていますか」とは聞きづらい気持ちはよく理解できるので、すぐに事業所に連絡を入れて確認するようにしていた。

●採否の連絡がない理由

 この場合、理由は概ね次の3とおりがある。

 採否の決定に時間がかかっていて引き続き検討中の場合。あるいは、もう少し他の応募を待ってから判断したい時。

② 決定したのだが(ほとんどが不採用)、本人やHWに連絡するのを忘れていた。

③ HWには連絡(FAX)したので、本人に伝わったと勝手に思い込んで連絡していなかった。

 

 ①の場合は、通常、採否結果は面接後1週間以内、事情があって遅れる場合は、本人に了解を得て通知できる概ねの時期を告げるというのがビジネスマナーである。

 それを怠っていたので軽く事業所に注意をして、いつごろまでに結果が出るのかを確認し、本人にもう少し待つように伝えていた。

 ②の場合は、理由はともあれ言語道断のふるまいである。実際、電話をすると「あっ、忘れてた!」と言われたこともあった。就職は人の生活が懸かっているということを全く認識していない。事業所には強い口調で、すぐに本人に連絡するよう督促し再発防止を申し入れた。この場合は残念ながらほとんどが不採用である。こんな会社は、社員を大切にしない社風が感じ取ることができるので、採用されなかったことを喜んだ方がいいくらいだと本人を慰めていた。

 ③の場合は、採用と不採用で対応が異なっていた。

<不採用の場合>

 本人に、「不採用」の連絡がHWに来ていると告げる。そのあと、事業所に応募者本人にも通知するよう申し入れをする。

<採用の場合>

 本人には結果を告げず、事業所に早く本人に直接結果を告げるよう申し入れをする。本人には連絡を待つように依頼する。この場合、一刻も早く「採用でしたよ」と伝えたいのだが、万が一のことを考え、事業所から連絡してもらうように業務指導を受けていた。ただ、相談員がなんとなく笑顔になるので応募者も薄々感じとってくれていたようである。

 

●不採用の理由を知っても・・・

 応募して不採用になった場合、その理由を知りたがる応募者がよくいた。不採用の場合、結果通知の際に◇技量不足 ◇他にいい人がいた ◇条件があわない ◇本人が辞退した など、いろいろな理由にチェックするところがあるが、正直に書いてあるかどうかはかなり疑わしい。

 

 事業所も、地元の販売系やサービス業の場合、応募者が顧客になる可能性があり、応募者本人のプライドを傷つけないように、婉曲的な表現にしたいことがあるので本当の理由はわからない。本当は採用レベルとは程遠いのだが、(応募が1人なのに)他にいい人がいたからという理由にする場合があったりするので、あまり理由にとらわれない方がいいと思う。

 

 不採用の理由は、年齢や性別が理由の場合を除き概ね下記の3通りが考えられる。

① 採用レベルには達していたが、他にもっといい人がいたので見送った。

② 採用したかったのだが、就労条件が折り合わなかった。

③ 会社の期待する採用レベルに、達していなかった。

 

 ① の場合は同じクラスの企業を粘り強く応募していけば、いずれ採用になる可能性が高いのであまり心配はいらないのだが ②、③の場合は根本的に希望職種や希望条件の見直しが必要になることがある。

 

 この場合、専門的な言葉で言うと、エンプロイアビリティEmployability(「求職者が企業に雇用される能力」あるいは「就業能力」)、言い換えると「労働市場における自分の市場価値」)が正しく自己理解されていないということになる。

 もっと、わかりやすく言うと、分相応のレベルの求人に応募していないことである。

 

●自分のエンプロイアビリティを知れ!

 それでは、自分のエンプロイアビリティを知るにはどうすればいいか? 

 一番手っ取り早い方法は、窓口の相談員に「職業相談員は何年間されていますか?」と聞いて3年以上なら「絶対怒らないから、条件は問わないので、私の職歴や年齢から判断して私が応募して採用される確率の高そうな求人をいくつか出してもらえないか?」と頼むのも一案である。

 この際、希望職種は限定せず、正社員やフルタイムにもこだわらず、採用される確率で選んでもらうよう依頼することがポイントである。

 

 相談員も経験を重ねると、応募する際に、この人は ◇ほぼ採用 ◇かなり有望 ◇五分五分 ◇微妙・ひょっとしたら ◇まあ、無理だろうな の5段階くらいでなんとなくわかるようになってくる。(もちろん本人には絶対言わないが・・・) 

 

 出された求人をみて、労働市場における自分の価値をある程度知ることができる。

 セカンド・オピニオンも必要なので何人かのベテラン相談員に頼めばよい。

 ショックを受けることになるかもしれないが、それが第三者から見てあなたのエンプロイアビリティとなる。不採用が続く人には、それが現実であることを謙虚に受け止めて参考にしてほしいところだ。