架空の人々~なぜ彼らは多重人格になりたがるのか~ -3ページ目

架空の人々~なぜ彼らは多重人格になりたがるのか~

自分をDIDだと思い込むみ、多重人格を演じ続ける。そんなヤツラを検証したりツッコミ入れたり。

その日は朝から夜だった…じゃない。朝から寒かった。

生活サイクルが狂いまくってた私は、その頃は確か朝に眠る時期だった。
さぁ寝るぞと思いつつ布団のなかでうだうだごろごろ(※1)していたところ、唐突に電話が鳴った。


【着信:A】


電話かー、珍しいなぁどうしたんだろう。
それぐらいの軽いきもちで電話に出ると、すすり泣く声。


「助けて…っ!」
え、誰?と思うぐらい声が違っていた。
今思うとものすごい演技達者なのだ、Aという人物は。


「何かあったんデスカ」
思わずカタコトにもなる。相手は泣いている。ただごとではない。
朝の6時である。ただごとではない。


話を聞いてみると、自分がどこにいるのかわからないとのこと。
どうやら大阪に来ているらしいと見当をつけて、
大阪に住んでいたワタシに助けを求めて来た模様。

気がつくと繁華街にいた彼女。


自分が何をしていたのかわからない…その恐怖には痛いほど覚えがある。


「あなたしか頼れる人がいないの!」


その言葉が何を揺り動かしたのかは知らないが、
ワタシは始発っぽい電車に乗って、指定の駅へと向かっていた。


まだ引き返せることに、ワタシは気付いてはいなかった。(※2)


※1.不眠の典型的な症状。眠ろうと思うと眠れないまま朝を迎える毎日。

※2.後からするから後悔。先に出来るものならやっておきたかった。

Aはごく普通の少女だった。
ヴィジュアル系を愛し、パンクやゴスロリを愛し、
耽美な詩やボーイズラブを愛し、同人誌即売会に通う。
たしなみ程度に手首を切り、通院は頑なに拒否する。
そんなごく普通の、どこにでもいる痛い子ちゃんだった。

そんなAと私が知り合ったのは、とあるメンタル系サイトだった。
何かのはずみでメールアドレスを交換したのがきっかけで、
何度かメールでやりとりしているうちに親しくなったような気がする。

そんなA嬢との親しいメールのやりとり。
ちなみにA嬢の主人格は男性。
Aの自称交代人格はA1、A2という風に記す。

場面は夜中。寝入りばな。
メールの着信音で起こされる。
顔文字は私の心境であり、本人には送っていない。

A:俺だけどさ…起きてた?
私:寝てたけど何か用事?
:…さっきさ、手首切ったんだ。血が…
私:Σ(・ω・ノ)ノ え、止血とかしたの?大丈夫?
A:あぁ、血は止まったから…だけど、俺本当に生きてるのかな…
私:Σ(´д`;) うん、大丈夫だと思うよ…ちゃんと生きてるよ。
A:俺って仮初めの存在じゃん?生きてても何か意味あんのかな…っ!
私:('A`) A、大丈夫だよ。メールする元気あるじゃん?
A1:(文体が変わる)夜中にAがすまないね…
私:あ~、A1さん?大丈夫?
A1:…ふふ、アイツ程ヤワじゃないさ…それより君こそ大丈夫かい?
私:('A`)ソ 全然大丈夫…眠かっただけで。
A1:あぁ、こんな夜中にすまないね…だが夜は私の時間なんだ。少し付き合ってもらえないかな。
私:まぁ話し相手くらいなら…

といいつつしばらくメールをやりとしした後に私が眠ってしまう。なぜならば夜だから。
翌朝のメールボックス。

A1:Aはああ見えて繊細なんだ…こんな風に人を頼るのは初めてかもしれない。
A1:だが、君を信頼してしまえば…人を信頼してしまえば、Aはますます弱くなる…
  裏切られたときのことを考えると…
A1:君は…Aに深く関わる覚悟があるのかい?
A1:…無頼猫?眠ってしまったのかい?

   無理もない、夜は眠りの時間だ…おやすみ、いい夢を…ふふ。

以上、一例。
どうやら、「メールする元気があれば大丈夫」という指摘はよくなかったらしい。
別人格風味A1になって、もっとかまって攻撃。
太字部分にちらほらと見え隠れする脅迫。

ああ見えて千歳?先妻?そりゃあびっくりだ。
そしてA1さんは何ゆえそのような口調なのか。
深く関わる覚悟を決めるほど仲良し★じゃなかった気がする。
人との距離感がつかめないのが彼らの特徴のようだ。
そしてキモい耽美なお言葉で締めくくられるメール。
朝一番にぎょっとすることになる。

しかし当時の私の交友関係は無駄に幅広く、
こういう人もいるのだな、程度にしか考えていなかった。
メンヘル系のサイトをうろうろしていたから、感覚が麻痺していたのかもしれない。

それに自分も同じように人に相談に乗ってもらったりもしていた。
そう考えれば彼女の行動はさみしさの裏返しなのかもしれない。

その大いなる勘違いが、後々に大きな災いを呼ぶことになった…。

お久しぶりです無頼猫です。
実はワタクシその昔、自分がなりたがりだと思っていました。
そして【自称多重人格者】としばらく時間を共にした時期がありました。

自分がDIDではないと思った理由は簡単。
ワタシ虐待されたことなんかないもん。
というDIDに対する知識のなさが原因ですね。あさはか。

DIDは虐待されたという記憶を解離させることが原因で発症するので、

そういった記憶そのものが欠落してしまっていることを当時の私は知りませんでした。

そんな時期私は、ある自称多重人格者と出会いました。
彼女の名前を仮にAとしましょう。
ここでは、フィクションもまじえて彼女との交流の様子を記して行きます。

もしかしたらこの話自体フィクションで、全て無頼猫の妄想かもしれません。
この【実録】シリーズはそれくらいのぼかし&捏造で書いてます。

個人特定できるようなことは絶対にありませんが、
もし心当たりのある人物がいてもその方とは絶対に別人です。


以上を踏まえた上で、お楽しみ頂ければ幸いです。