実録・なりたがり[ 1-真夜中のメール編- ] | 架空の人々~なぜ彼らは多重人格になりたがるのか~

架空の人々~なぜ彼らは多重人格になりたがるのか~

自分をDIDだと思い込むみ、多重人格を演じ続ける。そんなヤツラを検証したりツッコミ入れたり。

Aはごく普通の少女だった。
ヴィジュアル系を愛し、パンクやゴスロリを愛し、
耽美な詩やボーイズラブを愛し、同人誌即売会に通う。
たしなみ程度に手首を切り、通院は頑なに拒否する。
そんなごく普通の、どこにでもいる痛い子ちゃんだった。

そんなAと私が知り合ったのは、とあるメンタル系サイトだった。
何かのはずみでメールアドレスを交換したのがきっかけで、
何度かメールでやりとりしているうちに親しくなったような気がする。

そんなA嬢との親しいメールのやりとり。
ちなみにA嬢の主人格は男性。
Aの自称交代人格はA1、A2という風に記す。

場面は夜中。寝入りばな。
メールの着信音で起こされる。
顔文字は私の心境であり、本人には送っていない。

A:俺だけどさ…起きてた?
私:寝てたけど何か用事?
:…さっきさ、手首切ったんだ。血が…
私:Σ(・ω・ノ)ノ え、止血とかしたの?大丈夫?
A:あぁ、血は止まったから…だけど、俺本当に生きてるのかな…
私:Σ(´д`;) うん、大丈夫だと思うよ…ちゃんと生きてるよ。
A:俺って仮初めの存在じゃん?生きてても何か意味あんのかな…っ!
私:('A`) A、大丈夫だよ。メールする元気あるじゃん?
A1:(文体が変わる)夜中にAがすまないね…
私:あ~、A1さん?大丈夫?
A1:…ふふ、アイツ程ヤワじゃないさ…それより君こそ大丈夫かい?
私:('A`)ソ 全然大丈夫…眠かっただけで。
A1:あぁ、こんな夜中にすまないね…だが夜は私の時間なんだ。少し付き合ってもらえないかな。
私:まぁ話し相手くらいなら…

といいつつしばらくメールをやりとしした後に私が眠ってしまう。なぜならば夜だから。
翌朝のメールボックス。

A1:Aはああ見えて繊細なんだ…こんな風に人を頼るのは初めてかもしれない。
A1:だが、君を信頼してしまえば…人を信頼してしまえば、Aはますます弱くなる…
  裏切られたときのことを考えると…
A1:君は…Aに深く関わる覚悟があるのかい?
A1:…無頼猫?眠ってしまったのかい?

   無理もない、夜は眠りの時間だ…おやすみ、いい夢を…ふふ。

以上、一例。
どうやら、「メールする元気があれば大丈夫」という指摘はよくなかったらしい。
別人格風味A1になって、もっとかまって攻撃。
太字部分にちらほらと見え隠れする脅迫。

ああ見えて千歳?先妻?そりゃあびっくりだ。
そしてA1さんは何ゆえそのような口調なのか。
深く関わる覚悟を決めるほど仲良し★じゃなかった気がする。
人との距離感がつかめないのが彼らの特徴のようだ。
そしてキモい耽美なお言葉で締めくくられるメール。
朝一番にぎょっとすることになる。

しかし当時の私の交友関係は無駄に幅広く、
こういう人もいるのだな、程度にしか考えていなかった。
メンヘル系のサイトをうろうろしていたから、感覚が麻痺していたのかもしれない。

それに自分も同じように人に相談に乗ってもらったりもしていた。
そう考えれば彼女の行動はさみしさの裏返しなのかもしれない。

その大いなる勘違いが、後々に大きな災いを呼ぶことになった…。