●でぶのあしたのために(o゚∀゚)=○)´3`)∴コロナ禍で勇気をくれた拳闘士たち⑨ | Boo-chan+ 's Room ~Restaurant , Travel info & a little Boxing...~

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趣味の部屋です。
好きな情報番組やドラマなどの影響をモロ師岡に受けて、勢いのみで立ち上げてみました。
ほぼ食レポ、旅情報もチラホラ。ほんの少しボクシング。。。矛盾した内容ですが、興味があるかたは覗いてみてください!



大阪府堺市で行われたボクシングの試合、
REAL SPIRITS.72

の後半。

1回では書ききれないほどの濃い試合。
凄いマッチメイク。
凄い撃ち合い。
そして、日本タイトル戦。
後半3試合も目が離せない。。。

2021年4月4日(日) 
会場: 堺市産業振興センター
REAL SPIRITS.72
主催:真正ボクシングジム、
         ディアマンテボクシングジム

 👇️YouTubeで試合視聴できます。





【第4試合】
女子49.0kg 契約ウエイト 6回戦
A級昇格を賭けた闘い。タイトルマッチへの切符を手にするのは、小学校の担任を受け持つ「先生ボクサー」か、真正ジムが放つ「くノ一(くのいち)ボクサー」か。
赤コーナー(右)/近藤 佐知子(こんどう さちこ)
駿河ジム所属。日本女子フライ級5位。戦績:9戦2勝5敗2分。右ボクサーファイター。現役の小学校教師。小学5年の担任を受け持つ傍ら、この闘いに備えたとのこと。

青コーナー(左)/伊賀 薫(いが かおる)
真正ジム所属。日本女子アトム級7位。戦績:5戦3勝1敗1分。右ボクサーファイター。その名前から真正ジムの「くノ一」として呼ばれているかどうか、はさだかではない。


1R目のゴングが鳴ると、出だしから、近藤が左右フックを繰り出しグイグイと攻め立てる。プレッシャーに押され、ジャブで顔を弾かれる伊賀。初回のラウンドは近藤が見栄えの良さをアピールする。

2R、後手に回った伊賀が、ジャブから組み立て直し、ワンツー連打で近藤を後退させる。ここから徐々にペースを手繰り寄せる。リズムを掴んだ伊賀は、パンチをまとめ、近藤の顔面が赤くなるほどに。後半、手数が減り、スタミナがなくなっている近藤。伊賀は最後まで、ワンツーからの連打で攻め立て、最終ラウンドのゴングを聞く。


近藤 vs 伊賀
     55-59◯
     55-59◯
     55-59

0-3の判定勝ち。
これで伊賀 薫選手のA級昇格決定。次から8回戦以上の試合が可能となり、タイトルマッチも視野に入ってくることに。冷静な試合運びや5R、6Rもコンビネーション、手数が衰えることもなかったことから、後半勝負という作戦もいけそう。真正ジムのくノ一がタイトルを奪う日もそう遠くない。近藤選手はコロナ禍での調整、スタミナ不足が露呈してしまったか。負けじと引かずに撃ち合ったガッツある姿、プロボクサーとしてのカッコいい姿は、教え子たちの脳裏に届いたはずだ。



【第5試合】セミファイナル
女子アトム級4回戦
若手有望株の二人。ボクシングとして女性同士の激しい撃ち合いで、ここまで凄いものを見せつけられるとは。。。この日イチオシの好カード。果たして、決着は。。。
赤コーナー(左)/川口 玲可(かわぐち れいか)
フュチュールジム所属。日本女子アトム級12位。戦績:2戦1勝1敗(1KO勝ち)。小学生の頃からボクシングを始め、2014年U-15ボクシング大会女子の部 優勝。現在、ジムでトレーナーも勤める21歳。

青コーナー(右)/吉川 梨優那(よしかわ りゆな)
ディアマンテジム所属。日本女子ミニマム級11位。戦績:3戦2勝1敗(1KO勝ち)。キックボクシングからボクシングへ。現在、製菓専門学校に通ってパティシエを目指しながらリングに立つ19歳。

試合開始のゴングと同時に、吉川の動き、パンチのスピードとキレに驚かされる。
まるで、1.5倍速の早回しではないかと疑ってしまうようなパンチスピードとキレキレの動き。これには、川口も面食らってしまう。右クロス、左フックで川口の顔面を襲う。

2R、川口は覚悟を決めたかのように、真っ向から打ち合って速いワンツーで応戦。吉川は慌てる素振りを見せず、左フックで顔を弾くと上下に打ち分け、主導権を渡さない。

2ラウンド終了で、早くも川口の顔が赤く染まり、鼻血も。このまま、吉川が畳み掛けレフリーストップとなるか、と思った。。。しかし、予想に反して川口玲可の逆襲がはじまる。
3R直後、火花の散るような激しい打撃戦が展開される。ここではなんと、川口の回転力が上回り、連打によって吉川の顔が跳ね上がる。そのまま後退しロープに追い込まれ、まとめて撃たれる光景が幾度も見られた。完全に試合の流れを取り戻した川口の逆襲に、場内は呆気にとられた感じだ。

「これは、わからなくなりましたね。最終ラウンドどっちがとるか、いやぁ、凄い。。。」

解説の藤原芽子氏も見とれるほどの試合。両者肩で息をするほどの状態。どちらが力を絞り出してパンチを当てられるか、運命の最終ラウンドのゴングが鳴った。

両者とも一歩も引かない。中間距離での殴り合い。撃ったら撃ち返す。連打には連打で返す。壮絶な闘いに見とれてしまった。。。一方で、この娘たちは、こんな撃ち合いしていて大丈夫なのか、と心配してしまうほど。。。一瞬、親の心境になってしまっていた。そして、気がつくと試合終了のゴングが連打されていた。

両者ともクリンチがほとんどない、パンチの応酬。1Rは吉川、2Rが同点か吉川、3Rは川口、4Rは同点か川口か、という見立て。果たして結果は。。。

「セミファイナル採点の結果を発表いたします。
    ジャッジ、カワカミジュン、38対39 吉川梨優那。」

吉川に向けて、拍手が起こる。そして、

「ジャッジ、イマムラトモヒロ、
    ジャッジ、イケハラノブト、
    ともに38対38。」

「以上1対0の判定により、
   規定の勝ち点には達しなかったので、
   この試合は、、、
   ドロー!引き分けでございます。」

川口 vs 吉川
     38-39◯
     38-38
     38-38

リングアナウンサーの報告でガクッと肩を落とす吉川選手。川口選手はクールに受け止めている感じだった。会場からは両者に大きな拍手が贈られていた。

以下、ディアマンテジムの会長
野上菜々氏のブログでの報告。

「2人の壮絶な撃ち合いに応援者の方からは・・・

  『今回の興行1番の試合だった』
  『梨優那ちゃんのファンになったよ...♪*゚』
  『いい選手ですね、先が楽しみ😊』
  『再戦また見に来ます!』

と嬉しい言葉をたくさんいただきました。

『勝つ』だけがプロの仕事ではなく、ファン、応援者さんを熱くさせる試合をする!もプロ選手として大事な事なのかも。今回梨優那はそんな心燃える試合を見せてくれました!

ディアマンテの自慢の選手!」

一方、川口選手も同じ評価を受けて良いはず。あの粘り、気持ちの強さは凄まじかった。できれば、再戦をして決着を見てみたい。王座決定戦とか、タイトルマッチなんかであったら、最高だろう。そんな期待を勝手に抱いてしまう。次世代の女性ボクシングを担う、若く美しい勇者二人の闘いに感謝、感激、雨あられである。



そして、いよいよメインイベント。


【第6試合】メインイベント
日本女子アトム級タイトルマッチ  6回戦
病を乗り越えたチャンプ日本王座初防衛なるか、
はたまた、
ケガを乗り越えた挑戦者初挑戦で王座奪取なるか、
苦労人対決のメインイベント、果たして結果は。。。
赤コーナー(左)/長井 香織(ながい かおり)
真正ジム所属。日本女子アトム級チャンピオン。WBA女子ライトミニマム級10位。戦績:10戦5勝(2KO)2敗3分け。偉大なる先輩ボクサー 現役世界チャンピオン 多田悦子からのアドバイスや後輩たちからの刺激と応援を受けて初王座防衛を目指す。

青コーナー(右)/樽井 捺月(たるい なつき)
山木ジム所属。日本女子アトム級5位。戦績:12戦4勝6敗(2KO)2分け。こちらも偉大なるレジェンド 現役世界チャンピオン 天海ツナミを姉のように慕い、切磋琢磨してきたものをすぺて出しきり、初のタイトル獲得を狙う。

この二人、
似ているところが多い。

ボクシングを始める前に、病気やケガを乗り越え、ボクシングを始める。

長井は、高校生のときアトピー性皮膚炎が悪化。高校に通えなくなり、通信制の高校に通うことに。社会人になっても社交不安症になり人付き合いに怯える日々。そんなときに出会ったのがボクシング。ボクササイズから始めてから徐々にハマっていき、競技にのめり込んでプロライセンスをとるまでになった。今ではゴルフ場でキャディーをしながら、ジムに通う日々だという。

一方、樽井は小学生から続けていた器械体操で、インターハイ、国体で優勝。オリンピックを目指していた大学時代に膝に大ケガを負い、8度の手術をする。つらいリハビリを病院で行っている中、偶然、風神ライカに出逢う。病院内でミット打ちをしたことで「久しぶりに動いたら楽しくて」と器械体操を引退した後、ボクシングへの転向を決め、プロの道へ。

しかし、プロの道はそう甘くはなかった。
ともに、3戦目まで勝ち星に恵まれず、苦渋をなめた。そこから這い上がっての、長井は日本タイトル奪取、そして初防衛戦。樽井は日本タイトル初挑戦でベルトを勝ち取りにいく。
(👇️樽井選手のことはこちらでも載せています。)


似た者同士の苦労してのタイトルマッチ、
ボクシングはこういうリングに上がる前のドラマを知るとお互いのボクサーに感情移入してしまう。そして、マッチメイクの素晴らしさ。さあ、いよいよ運命の第1ラウンドがはじまる。。。
ゴングが鳴った。静かな緊張感のある立ち上がり。長井が左ジャブで距離を詰める。それに対し、樽井は手は出さずに懐に入れるか距離を探りながら様子を見ているようだ。そのまま1Rは終了。2R目、樽井は長井がジャブで入ってくるところを左フックで迎撃。さらに、単発の右ストレートをヒット。だが、連打やパンチをまとめることはない。お互い、ジリジリ、ヒリヒリとする展開が続く。3Rあたりから、樽井のノーモーション気味の右アッパーが長井にヒット。しかし、いつもの潜り込んでパンチをまとめるというのが出ない。長井が単発ながらジャブを出して見栄えが良いラウンドとなったか。

後半4R、長井のシャープな右ストレートが次第に当たり始め、ペースが長井へ。樽井の鼻から血が垂れ始める。流れを変えたい樽井は5R、プレスをかけて左フックからワンツー、右アッパーでパンチをまとめ出す。そして、最終ラウンド、樽井が積極的に攻勢に出る。そこに、長井は右カウンターを痛打し、樽井の顔面を弾き見栄えの良さをアピール。そして、いつの間にか試合が終了する。

手数は長井か、有効打は樽井か、ジャッジはどうなるんだ。。。わからない展開。判定は。。。
長井 vs 樽井
      57-57
  ◯59-55
  ◯59-55

2-0の判定勝ちで、長井選手が初防衛成功。
樽井選手は、スタミナ温存で後半勝負を画策したのだろうか。今思えば序盤からペースを握りに行けば、というのが素人の考えなのだが、これがボクシングの難しいところなのかもしれない。初の防衛戦に、初のタイトル戦、初のメインイベント。。。このプレッシャーの中で試合をすること自体、大変なこと。でも、それを経験した両者はこの経験を糧に、さらに魅せる試合ができると思う。



女性同士だけのボクシング興行で、これほどの撃ち合いやレベルの高さを味わうことができるとは。。。そして、異色のボクサー同士、似た者同士、個性的なボクサー同士の対戦など、そのボクサーの背景もドラマチックで面白いマッチメイクが為されていた。それも、YouTubeで見れる。素敵な計らいだ。是非観てもらいたい。

真正ジムの女性ボクサーは全勝。ポスターでは強面の長井選手、でも「むぎちゃん」と呼ばれ愛されるなど、チームワークは良さそうだ。ディアマンテジム吉川選手のパンチスピードとキレには、驚かされたし、フュチュールジムの川口選手のガッツは凄かった。セレスジムの山田選手、花形ジムの柳尾選手のテクニックも目を見張るものがある。女性同士の是非東西対抗戦というイベントはできないものか。。。


そして、この日、
午後の興行でも女性同士の
もの凄いの撃ち合い、もの凄いテクニック、もの凄いスピリッツが観れた試合があった。午前の興行に比毛をとらない試合といっていい。


それは、また次回。