●でぶのあしたのために(o゚∀゚)=○)´3`)∴コロナ禍で勇気をくれた拳闘士たち ⑥ | Boo-chan+ 's Room ~Restaurant , Travel info & a little Boxing...~

Boo-chan+ 's Room ~Restaurant , Travel info & a little Boxing...~

趣味の部屋です。
好きな情報番組やドラマなどの影響をモロ師岡に受けて、勢いのみで立ち上げてみました。
ほぼ食レポ、旅情報もチラホラ。ほんの少しボクシング。。。矛盾した内容ですが、興味があるかたは覗いてみてください!


ボクシング好きにもいろいろいる。バチバチの撃ち合いをするボクシングが好きな人もいれば、パンチを全く貰わない技巧派で玄人好みのボクシングを好む人もいる。自分はというと、負けてから這い上がるボクサーのボクシングや、テクニックでは負けても気持ちでは負けてない熱いファイトをするボクシングが好きだ。要は崖っぷちのファイト、気持ちや生きざまがボクシングに現れている人が好みなのかもしれない。そんなことを考えているとき、ふとこんな言葉を思い出した。

「私の愛する家族へ。私は戦士です」

ワールドボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝の激闘の後日。ノニト・ドネアがインスタグラムで明かした、井上尚弥にアリ・トロフィーを借りた秘話の一節である。

「最善を尽くしても足りないときはあります。あなたは勝つかもしれないし、負けるかもしれない。息子たちは決して家に持ち帰ることのできないトロフィーを目にし、もっと一生懸命トレーニングしたいという意味を理解するでしょう。そして、私は戦うことについて話しました。諦めるよりも、命を懸けて戦ったほうが良いと。私たちは常に戦います」


前回に引き続き、今回紹介する3名の女性ボクサーはまさにウォーリアー(戦士)といえるのではないか。

●撃たれても撃ち返す、自衛隊で培った諦めない心をもった女拳闘士
●何度試合を止めらても、這い上がって遂には強敵をも破った女拳闘士
●命賭けの殴り合いを求めて、リングに上がる大和魂をもった女拳闘士

三者とも気持ちや魂が全面に出るタイプ。そして、彼女たちの生き様やボクシング観がリング上で体現されている。今回も、文が長くなりそうだ。。。


①モンブランみき
~コスプレボクサーは元自衛隊員。撃ち合い上等、撃たれたら撃ち返す、で観客を魅了する女拳闘士の素顔~

何から紹介したら良いのだろう。。。かなり個性溢れるボクサー、迷ってしまう。彼女は、感謝と恩返しを実行し、観客を喜ばせるエンターテイナーであり、ドネアでいうウォーリアーなのである。

 ◇「感謝と恩返し」ファンを大切にする姿勢
2020年の12月大阪のタイトルマッチ。場所と都合が合わず激励賞という形で応援させてもらった。SNSですぐ丁寧なお礼の返信が送られくる。それだけでも嬉しい。しかし、試合後1週間も経たないうちに、直筆でびっしりの手紙が贈られてきた。おそらく自分だけではないはず。こういうことをしていただくと応援したくなる。モンブランみきという素敵な一面に触れることができた。
◇こだわりのコスチュームは、少しでも女子ボクシングを盛り上げたいのと自分へのプレッシャー
迷彩柄、メイド、セーラームーン、ハーレイ・クイーン、うる星やつら・ラムちゃんから鬼滅の刃・竈門禰豆子と様々なコスチュームでリングに上がる。

「あれはテーマを伝えて母が作ってくれるんです。最初はセーラームーンのコスチュームが着たくて自分のテンションを上げるために着たのですが、予想以上に反響があって『次は何を着るの?』と聞かれたので毎回替えるようにしました。母は、コスチュームを作るためにミシンを買っていました(笑)。ただ、前回はジムのスポンサーさんに作ってもらいました。ここまでして負けたら恥ずかしいので良い意味でプレッシャーになっています」
(ボクシングモバイルのインタビューより)

「ボクシングは男性のスポーツというイメージを変えたかったんです。お洒落な格好をして、華やかなイメージを作ることで女子ボクシングに少しでも興味を持ってくれたり、プロを目指す人が増えたら」
(イーファイトより)

◇前へ前へ、のファイトスタイルの源流…それは自衛隊員としての訓練と「心優しき戦士」の意識
彼女のボクシングスタイル、それは後ろに下がらず撃ち合うこと。良くも悪くもこのスタイルは変わっていない。前へ前へ出て積極的にパンチを出す、撃たれても撃ち返す。気持ちを全面に出すボクサーファイター。その源は、彼女の過去の歩みが影響している気がする。

「大学時代に休学してバックパッカーで世界を33ヶ国回りました。その時に日本は素晴らしい国だと思ったんです。日本に貢献する仕事がしたいと思い、自衛隊に入隊しました」
「訓練で山に行き10日間お風呂に入れないことや、24時間寝ないでずっと穴を掘って自分たちの基地を作ったりしていました。疲労が溜まり目の前で戦争が始まる幻覚が見えてきたんですよ。でも、これは誰もがそうなるようです」
「(こういう訓練によって)やはり気持ちは強くなりました。メンタルはかなり鍛えられたと思います」

こうした経緯で、フィジカルとメンタルには自信がある。でもボクシングの世界は甘くはなかった。

彼女はリングの上で2度、人目を憚らず涙を流した。

1度目は、札幌での2戦目でTKO負けした時にリング上。2017年10月に札幌で佐山万里菜(ワタナベ)と対戦し3回TKO負けを喫した時。

「あの時に自衛隊を辞めようと決心しました。それまでは練習していなくても気合いだけで勝てると思っていましたが甘かったです」

それから、彼女はプロボクシングに専念するために、陸上自衛隊を辞め、即応予備自衛官(即応予備陸士長)となった。昨今の大雨土砂災害で自衛隊への要請のあった際、災害援助時の応援に参加し、活躍したこともある。

2度目は、2019年9月12日。ボクシングの聖地、後楽園ホールにて初のタイトル戦となった日本アトム級タイトルマッチ。

6回戦の試合。4R終了時点の採点が、ジャッジ3者ともイーブン。日本女子アトム級チャンピオンの松田恵里は、アマチュア仕込みのテクニックとスピードを併せ持つ、世界を期待されるホープ。強豪王者からのオファーに即答したというモンブランは、チャンピオン攻略に"自信がある"と目を輝かせていた。その通りにことは運んだ。モンブランみきが圧をかけ、松田の顔面に右ストレートをねじ込む。松田の左ストレートを浴びても、右目を腫らしながら、勇猛果敢に攻めまくった。チャンピオン松田は動揺した。しかし、ボクシングは残酷だ。ここから、松田のギアがマックスに上がり、モンブランに襲いかかる。

5R、松田は左をわずかにのぞかせて誘い、ひとつタイミングを遅らせた強烈な右を叩き込んだ。フックというよりストレート。この一撃をモロに食らったモンブランはキャンパスに崩れ落ちる。すぐに立ち上がったが、動きには明らかにダメージの影がちらつく。ここぞとばかりに松田は鬼の形相で、モンブランをロープに連打で追い詰める。グロッキーのモンブラン、もはや手数が出ない。。。レフェリーは試合を止めた。モンブランはリング上で顔をキャンバスにこすりつけるようにして泣いた。涙が乾かぬうちにコメントを求められると


「まだ、戦えたから…」


女子ボクシングのレベル、対戦相手の技術差を考えるなら、防御を見失ったところで打ち込まれた一打は、選手生命さえ奪いかねない。レフリーストップは、妥当という意見もわかる気がする。


「2Rから右目が見えなくて、感覚的にどう戦っていたのかわかりません」


記憶が飛んでいたのだろう。おそらく本能てサウスポーの相手に正面へ、正面へと向かい合って撃ち合いをしてしまった。



彼女のどつき合いボクシングは、両刃の剣。負けず嫌いの性格で好戦的なスタイルは彼女にはあっているかもしれないし、見ている方は面白い。しかし、その結果、裏目に出てしまっているところがここ最近の試合で目立っている。2019年3月3日、初の外国での試合、韓国の強打者 イム・チャンミとの一戦もそうだ。

外国でのアウェイの洗礼を第1Rから浴びた。序盤から豪腕イム・チャンミと撃ち合いに応じたモンブラン。イムは撃ち終わりを狙って右ストレートで顔面撃ち抜く。顔を弾かれながらも、モンブランも撃ち返そうと左を出したところにイムの鋭い左がさらにモロに爆撃。膝から崩れ落ちるモンブラン。ダウンかと思いきや、根性でこらえ、ここで終了のゴング。深刻なダメージを追う。
2R目、ダメージ回復を図るかと思いきや、モンブランはイムとのド突き合いを仕掛ける。結果、カウンター気味のイムの右ストレート一撃で、モンブランはリング中央に崩れ落ちる。2R0分30秒の出来事だった。彼女は「倒して勝つ、できなければ潔くリングで散る」という選択をしたのだった。

後日、こんな話も。
前日の計量時、モンブランみきがしていたグローブのネックレスに興味を示していたイム。試合後、挨拶に訪れたイムに彼女は、そのネックレスをプレゼントした。イムの喜ぶ姿をみて、彼女は、

「嬉しそうでよかった。私も欲しいからまた、買お」

とツイートしている。衝撃KOのあと、何故かほっこりした。心優しき戦士、それがモンブランみきである。


◇ジムを移籍、さらなる進化とそのお披露目を…。
コロナ禍の中、モンブランは2度目のタイトルに挑戦。今回は『鬼滅の刃』の竈門禰豆子(かまどねずこ)のコスプレで初タイトルを狙った。

「(女子プロボクサーを多く在籍しているワタナベジムへ)移籍して初めての試合なので、モンブラン変わったな、成長したな、と思わせたい。ベルトを獲ることはもちろんですけど、周りからの評価も上げたい」
REAL SPRITS.69
2020.12.13 @エディオンアリーナ大阪・第2
日本女子ミニマム級タイトルマッチ6回戦
●日本女子ミニフライ級王者
●OPBF東洋太平洋女子ミニフライ級2位
成田 佑美(姫路木下) ○
vs 【判定勝ち 3-0 (59-55,58-56,60-54)】
●日本女子ミニフライ級1位
モンブランみき(ワタナベ) ✕

初回からやはり前に出てくるモンブラン。成田は足を使いながら距離を取ると右オーバーハンドをヒットさせる。モンブランはしつこく前進して打ち合いを仕掛ける。3R、成田は長いリーチを活かしジャブから右につなげると、距離を詰めてくるモンブランに右や左フックで迎撃しポイントをとる。4R、モンブランはプッシュしながらボディにパンチを集めて反撃するが、成田も手数を落とさず対抗。5R、お互いに懸命にパンチを繰り出したが、成田の有効打が上回る。最終ラウンドも、アグレッシブに前に出るモンブランと成田の打ち合い。ところどことろで成田が左右のフックをクリーンヒットさせ、試合終了。判定は2~6ポイント差をつけた成田がベルトを守った。

戦績は、9戦4勝(1KO)4敗(3KO)1分となった。

「サイドに動かれてやりにくかった。相手が足を使うのはわかっていたけど冷静に戦えばよかった」
「練習していたことは4割も出せなかった」

移籍後のプレッシャー、アウェイのプレッシャー、コロナ禍のストレス、これを乗りこえたかっただろう。モンブランみきの悔しさは計り知れない。
周りをパッと明るくする笑顔、キュートで小顔の美人ボクサーのひとり。しかし、リングの上にあがると、気迫溢れる闘志、決して退かない、前へ前へ出る闘いをする。薄い8ozグローブで撃たれたら撃ち返す。目の周りを腫らし視界がせばまっても、強烈な一撃を食らってもダウンを拒否する。。。モンブランみきは見る人たちをハラハラ、ドキドキさせるが、ワクワクもさせる。。。いわば、ジェットコースターのようなボクシング。そもそも、ボクシングは殴り合いなので当たり前と言えば、そうなのだが、その原点回帰を見せてくれる試合。早いうちに、チャンピオンベルトを巻いて、満面の笑顔で「感謝と恩返し」を達成した彼女を見てみたい。



②樽井捺
~連敗続きの小さな頑張り屋が、アマチュアエリートを倒し、日本タイトル戦へ挑む~

身長148cm。最軽量のアトム級といいながらもやはり小さい。そんな不利な身体でも、勇敢に相手の懐に潜り込み、パンチを繰り出す。樽井捺月、ようやくボクサー人生の上昇気流に乗って来ている。

◇2年間連敗続き、白星なし。不遇の時代も腐らずリングに上がり続ける
樽井捺月(たるい なつき)。
埼玉栄高校〜国士舘大学出身で体操で活躍。元WBA女子世界スーパーフライ王者の天海ツナミと同じアルファジム(現、山木ジム)所属で1994年8月にプロデビュー。
デビュー戦はKO負けによる黒星。思うように手数が出ず、最後には撃たれてまくられレフリーに止められた。2戦目も、相手の勢いに押され3Rに2回のダウン。2連続KO負け。それから、判定までは持ち込むものの0勝4連敗。2年間勝ち星なし。不遇の時代を過ごすが、リングの上で少しずつ成長の証を表していた。そして、ようやく勝ち星を手にしたのは2016年9月、タレントボクサー郷司利也子(川崎新田)との試合。完勝だった。
サウスポーで身長もリーチもある郷司がワンツーで積極的に攻める。小柄な樽井は右ストレート、左フックで懐に潜り込んで迎撃。1分を過ぎた頃だった。樽井の放った右が郷司の顔面にヒット。しりもちをつき、樽井が初めてダウンを奪う。アゴが高くガードが低い郷司に、樽井の攻撃がハマる。2Rには樽井に右を打ち抜かれガクッと腰を落とす。ここは踏ん張った郷司。しかし、体格差をものともせず、樽井は攻め続ける。ラスト4Rも右の痛打が顔面、ボディーへと刺さる。フルマークで判定勝ちを収めた樽井は、5戦目にして嬉しい初勝利となった。

◇その後も、勝ち負け引き分けを繰り返すも善戦を続けて、実力派ボクサーファイターへ
樽井のこれまでの戦績は12戦4勝6敗(2KO負け)2分け。しかし、2016年の初勝利以降は4勝2敗2分け。すべてフルラウンドを闘い抜き、樽井がダウンしたことは1度もない。そして、試合内容も撃ち合いに応じる打撃戦ばかりで会場を盛り上げる試合が続く。パンチ力もつき、8戦目では、1R右ストレートでスマイル渚を眼窩底骨折させ、病院送りにもしたほどだ。

特に印象的な試合は、2度の死闘を繰り広げたモンブランみきとの壮絶な殴り合い。そして、当時17歳の女子高校生プロボクサーの四宮菊乃戦で魅せた巧さだ。
先に述べた通り、撃ち合い歓迎のモンブランの攻撃。それを迎え撃つが如く距離を詰めてやり返す樽井。密着戦からのド突き合い展開。モンブランの右ストレートが当たると、樽井も右のオーバーハンドでモンブランの顔を弾く。時間を忘れさせるほどの殴り合いに会場からは拍手が沸く。終盤の接近戦では漫画で描かれるような相打ちも見られた。混戦の中に響く終了のゴング。結果は違えど、2度ともに興奮する試合内容で会場は相当、盛り上がった。

10戦目。JKボクサー、四宮がジャブを飛ばしながらワンツーを軸に攻め立てる。樽井は打ち終わりに左フックを四宮にお見舞いする。2R、四宮は頭を振りながら接近戦を仕掛ける。が、樽井の左がプレッシャーとなり間合いを詰めることができない。逆に単調な攻撃と強引になったところを迎撃され、顔面を弾かれる。最終4R、四宮は鼻血を流しながら奮闘したものの、樽井は冷静に足を使いながら左フックを四宮の顔面を撃ち払う。両者流血戦となった試合は、主導権を渡さなかった樽井が判定勝ちをおさめた。勢いで押す若手を技術と冷静さで巧みに試合を操った樽井の試合巧者が光った。

いつの間にか四回戦から六回戦へ。激しく撃ち合いに加え、テクニックも魅せるボクシングをするようになり、観客を引き込んだ。腐らずずっと試合をしつづけ、技術も経験値もつき、円熟味も増してきた樽井。それは同じジムにいた尊敬するチャンピオンの存在が大きかったに違いない。

◇ついに、アマチュアエリートにも勝利…そばには常に天海ツナミがいた。そして、
リングのセコンドには、いつも天海ツナミがいる。樽井はいつも天海ツナミの背中を追い、天海ツナミは樽井を常にバックアップしてきた。WBO世界女子ライトフライ級チャンピオン、五階級制覇した、あのレジェンド藤岡奈穂子とやっても負けなかった。スパーリングなどはもちろん、合宿なども行き、互いに切磋琢磨する仲。プライベートでも親しいようだ。天海は樽井を励まし続け、樽井はそれに応えてきた。

そしてコロナ禍の2020年秋、ついに樽井は強敵との対戦に挑むこととなる。
DANGAN TRIGGER
2020.10.30 @後楽園ホール
女子アトム級6回戦
●日本女子ミニフライ級4位
瀬川 紗代(ワタナベ) ✕
vs 【判定勝ち1-2 (58-56,56-58,55-59)】
●日本女子アトム級5位
樽井 捺月(山木) ○

全国3位の実績を誇り、40戦を超える試合をしているアマチュアエリート、瀬川紗代とのランカー対決。エリート対雑草の構図もまた魅力的な試合となった。1R、樽井が距離をキープしながら左ボディ、ワンツーをヒット。瀬川もワンツーの連打で対抗する展開に。2R、瀬川は小さな樽井をプッシュしながら右から切り込む。それに対し、樽井も得意の強弱をつけた攻撃で見栄えの良さをアピールする。中盤、樽井がフィジカルで押し負けず上下に打ち分け、ポイントをとるようになる。この攻撃が功を奏し、瀬川の体力の消耗が後半露呈すると、さらに手数で攻め立てる。瀬川も力強いワンツーを打ち込むが、樽井は最後まで手数を落とさず、判定へ。ジャッジは割れたが、終始パンチの手数が勝っていた樽井に軍配が上がった。
 
そして、ようやく13戦目、満を持して念願のタイトルへ初挑戦する。
REAL SPIRITS vol.72
2021.4.4 @堺市産業振興センター
日本女子アトム級タイトルマッチ6回戦
●日本女子アトム級王者
長井 香織(31=真正)
VS
●日本女子アトム級5位
樽井 捺月(29=山木)

コロナもまだ終息仕切っていない状況下、アウェイでの試合。厳しい環境での闘いだか、そういう経験はすでにしてきている。このチャンスを是非ものにしてベルトを手に欲しい。これだけ苦しくも、悔しい試合を重ね、コツコツとチカラをつけ、名勝負名試合繰り返してきた。血と汗を流して闘い続けてきた、樽井捺月の集大成を大阪のリングで魅せてもらいたい。



③山家七恵
~大和魂を持ったなでしこボクサー。リングに上がれは獰猛なファイトで全戦全勝。年内タイトル挑戦か~

最後にとりあげる女性ウォーリアーは、これまでの二人とはタイプが異なる。知的で、なんとなくSっ気のある、それでいて色気もある。でも、リングに上がると獰猛で冷静なボクサーファイター。あだ名は「はみ」。ツイッターの登録名でもあるが、何がはみなのか。。。読書が趣味ということで色々な知識をツイートしている。ボクサーとしてのカラダづくりを追求しており、計量前の身体つきは身体を絞り込むというよりは、必要のないものをそぎ落とし、必要な筋肉をつける。まるで戦うための鎧を身に纏うかのように。

彼女の名前は、
山家七恵(やまか ななえ)。
2019年プロデビュー以来、4戦4勝無敗2KO勝ち。只今、全勝街道、爆進中。彼女もまた、クールな大和魂を感じる、美人ウォーリアーのひとりである。
◇自らの性格を「零戦」、血まみれのリングで戦うことを楽しむ…。ツイッターからみる彼女の素性とは…。

彼女がこだわっているものがある。それは、入場のときのコスチュームやトランクスを作るとき、着物の素材や和服の生地を使うこと。日本の心や、歴史に関心があるようだ。そんな山家のツイッターから、興味深い呟きがある。

ツイッター2020.12.04より
「コロナであの血まみれのリングがもぅ味わえないのは悲しみ。清掃してくださることはとても感謝なのだけれども、(ボクシングは)元々は奴隷が死ぬまで殴り合って命のやりとりをするものだからね。
今の時代は会長が丁寧にバンテージ巻いてくださったり拳まで大事にして頂けるから人間の時代の変化は非常に興味深い🤤」

ツイッター2020.12.04より
「ちなみに僕はリングの上でどうなってもいいって本人が同意してリングに上がってきた人しか殴りたいとは思わない。元々殴りたいタイプじゃないからね🤤
殴られて興奮する人は興味深いけど。内分泌の計測とかしてみたいものだ」

ツイッター2021.03.08より
「男の子よりパンチあるね❤️って言われて嬉しみ🤤
ビスケ様みたいに1発で破壊しちゃうパンチ習得かな🤛」 

ツイッター2021.03.06より
「ボクシングに限らず道具を身につけた時点で、自分の身体の一部として認識してそれをどう操縦するかって感じかしらね。
試合とスパーリングで何が違うかとか認識しておくのは大事なんじゃないかな。現段階では僕はボクシングだけど他の競技に置き換えてもいけると思う。
性格が零戦なんでなかなかね笑」

リングという「戦場」の上でおこなうボクシング。彼女にとってそれは「決闘」のようなものかもしれない。そして、その「決闘」を楽しむかのように試合をしているようにも見てとれる。モンブランみきや樽井が赤い炎のようなものを感じるが、山家はゾクっとするような青い炎。冷静沈着、その姿がクールビューティーでもあり、クールさの中にも怖さを感じる。そういうところがいい。そんな山家七恵が、このコロナ禍で魅せた試合が2試合ある。

◇「チャンピオンを目指す」タイトル戦を見据え、クールな大和魂を持っている山家七恵から目が離せない…。
アンタッチャブル・ファイト
2020.10.19 @後楽園ホール
女子フライ級4回戦
●日本女子フライ級5位
山家 七恵(中野サイトウ) ○
vs 【判定勝ち 2-0(38-38,39-38,39-37)】
●日本女子バンタム級7位
阿比留 通子(オークラ) ✕

サウスポー山家が軽快なフットワークから切れのある左ストレートを撃ち込む。対する阿比留は距離を詰めて右ストレートで対抗する。2R、プレスを強めた阿比留は上下に打ち分け、豊富な手数で攻勢をアピールする。3Rになると、パンチを交錯させてお互いに一歩も譲らずの展開に。最終ラウンド、打ち合いは激しさを増し、乱打戦に。しかし、山家の伸びのある左ストレートが阿比留の顔面へ食い込む。最後に山家優勢を印象付け、判定勝ち。接戦を制した山家が3連勝を飾った。

左下の写真。パンチをモロに受ける前は、とかく目をつむってしまうもの。しかし山家は左フックで顔面半分を潰されているにもかかわらず、山家はしっかり目を開け相手を見ている。撃たれても目を開けているということは、次の動作に素早く入れるということ。カウンターや最悪相討ちが決まる可能性も高くなる。これは、なかなかできることではない。接戦でも落ち着いていられる証拠であろう。

そして、今年の試合で1R衝撃の秒殺KOを目の当たりにする。
フレッシュボーイ オール4回戦
2021.1.21.@後楽園ホール
女子52.5kg契約4回戦
2021.1.21 @後楽園ホール
女子52.5kg契約4回戦
●日本女子フライ級3位
山家 七恵(中野サイトウ) ○
vs 【1R 0分 51秒 TKO勝ち】
●日本女子バンタム級7位
椙元 愛(一力) ✕

勝負は初回でいきなり決着がついた。サウスポー同士の一戦。いきなり、山家がワンツーで椙元の腰を沈めさせる。チャンスと見るや否や、怒涛のハリケーンラッシュ。手が出なくなり、まともなパンチを食らい続ける椙元を見てレフェリーが割って入った。

「試合後に電話取材に応じた山家は、
『初めてのサウスポーとの対戦で、序盤は様子を見ていく予定だったが、相手が効いているのがわかった瞬間、会長から『今だ、行け』と声が聞こえたのでラッシュしました』
と会心の勝利に声を弾ませた。

『この状況で出稽古に行くのが難しく、左利きのスパーリング相手がいませんでしたが、ジムの会員さんに実戦練習の相手を務めてもらっいました。皆さんの協力のおかげで勝つことができた』
と感謝の気持ちを言葉にした」
(イーファイトより)

現在、日本ランキング3位。

「チャンピオンになることが目標なので、確実に勝ちながらチャンスをものにしていきたい」

自分を攻撃は、もちろん、相手の攻撃を見極め、駆け引きなどもできそうだ。こうなると、日本どころか世界へと駆け抜けていきそうな気がする。次の試合がいよいよ日本タイトル挑戦となりそう。楽しみで仕方がない。


やはり、長くなってしまった。
どうなのだろう、ファンは女性も男性もボクシングというものを通して、見る人の人生を重ねてしまうのではないか。競技自体がドラマチック。そこにボクサーの試合にかける想い、執念、考え方、感じ方がさまざまあり、そこが個性的で魅力的なのだと思う。今後も楽しみなマッチメイクがあるし、ありそうだ。

プロボクサーのみなさん、関係者のみなさん、
コロナ禍で試合をしてくれて、準備をしてくれて
勇気と感動を与えてくれて、ありがとうございます。