小さいに点をつけると心なり
小さい吾と書いて悟るなり
空白を空けてみて
入ってきたのはきみの不在だった
ぼくってきみが、大好きだったんだな
名前のない人が抱いてくれた
ぼくにはまだ名前のない温もりだけが
残った
きみの不在が凍みる空白を
その温もりが癒した
名前のない感情だって
時にそうなることもあるんだと
名前のないきみは教えてくれる
揺らぐ珈琲の湯気と
香ばしい煙と
それをぐるぐると回すきみ
不在の空間に
浮かぶ珈琲の香り
名前のない感情と
愛してやまなかった感情と
どちらがふと
ぼくを抱くのでしょうか。
ゆっくり、歩いてゆくのもいいよね。
考え過ぎているぼくを
こんなにきみを考えてしまうぼくを
知って
そんなに人を好きになれたことに
感謝して
きみに感謝して。
ゆっくり、過ごしてゆくのもいいよね。
きみの不在が教えてくれる感情と
その不在を優しく包んでくれる
名前のない湯気のようなきみと。
ゆっくり、見つめて
味わってゆけばいいよね。
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ヤマボウシの紅い葉が
夜のライトに照らされていた。
綺麗で、近づこうとしたら、
足元が大きく深い溝になっていた。
危ないね。
美しいものは。
突然、目の前に現れた
夜道の紅葉は、美しく、危ない。
恋も愛も、
そればかりに魅入られ過ぎると
足元の溝にどぼん。
骨折しない為には
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ひとしきり本を読み
ケーキを食べ終わり
カフェを出ると
先ほどまで40度の位置にあったお星さまが
真上に散りばめられて
見上げながら冬の夜の息を吸った
心がすっと晴れていった
チンチロチロリン
お星さま自体の揺らめきと
チロリンチロリン
電線の遮りによる揺らめきと
チンチロチロリン
お星さまが揺れる、揺れる
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"恋愛"という蝶を
追いかけ回すことを降りてから
日常がとてもゆったりと過ごせるようになった
言いたいこと
考えてしまうことは
モノローグで云へば良いんだね
心の中のモノローグ
それが鳴っている時の目に
ぼくの本心が宿るんだから..
それを見抜けないような相手では
ダメなんだろうね
一輪の花に蝶が止まる瞬間なんて
ほんの僅か
その僅かな時間に息せき切って
己の取り扱い説明書を
くどくどと ペラペラと
喋る花なんて居ない
一度受粉したら
花は有無を言わさず実をつけ
枯れて土に朽ちるんだね
その一度きりの成り立ちの中で
花はどこぞの誰ぞの雄しべを受粉したのかさへ
知らないで往くんだね
"恋愛"という蝶を
追いかけ回すことを降りてしまえば
日常がとてつもなく楽になった
少しの憂鬱も
まだきみへのアイが抜けきっていない証拠
それでいいんだ
そのくらい、きみを好きになれたことは
間違いなくぼくの一生の宝物

