シンクに落ちる涎、揺れるカフェの樹々 | 森由 壱 - tune bride -

森由 壱 - tune bride -

... という 、夢を視ました 。



涙に溺れながら涎を垂らす
狭い台所のシンクに顔を突っ込んで
歯を磨きながら

嬉しくて苦しくて心地よい涙も
他人から見れば確かにこれは
滑稽であろう

何のことない、近況伺いの連絡でも
やめた会社の世話になった先輩からの
メールは、嬉しい限りで泣いた

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キラキラと、カフェの窓に揺れる
樹々が光る

近眼で裸眼だから
そのキラキラの一粒一粒が
心地よくぼやけて、結晶して

風が勝手に彼らを揺らして
まるでダイアをくるくる回しているように
光の角度を変えては点滅させた

彼らを見つめていると
幾百億する磨き抜かれたダイアより
ずっとずっと美しくて
全然飽きない

樹々の揺らぎは各レイヤーに分かれて
手前の樹の幹、一番向こうの枯れ色の茂み、
中間の緑緑しい葉々、時折通る自転車の光と
アニメーションのように動いた

その緑にきらめく一粒一粒のダイアが
漣のように風に揺らされては
各々に点滅した

見ていてずっと飽きない
どんどん引き込まれてゆく

そんなカフェの窓枠に広がる樹々は
生きる名画そのものだった

覗き込むと
窓ガラスの内側で光る電球が写り込み
見上げる樹ごしの青空に
月とも電飾ともつかぬ姿で現れる

まるでトリックアートだ