『大パニック 波乱のキラキラ新学期』 脚本スケッチ:森由 壱 | 森由 壱 - tune bride -

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... という 、夢を視ました 。

『大パニック 波乱のキラキラ新学期』

 

【登場人物】

 

ゆうじ(23)・小学校教諭として初の新学期。

        絶対に失敗したくない、

        記念すべき先生1年生。

      父を早くに亡くし、母子家庭。

      母の家計を支える為に

      安定の公務員になった。

 

ゆうじ母(40代)マザコンならぬ息子コン、

       息子を愛して止まない。

       よく亡き夫と重ね合わせて

       息子をベタ褒めする。

       ゆうじには亡き夫のように、

       立派な教師になってほしいと

       思っている。

       母にとっても念願の

       息子の「新学期」。

 

C子(7歳?)・生意気な口をきく

       マセた女の子

 

通称マダム(年齢不詳)・上の階の女の先生

             貫禄が凄まじい

 

 

**************

 

 

■ゆうじとゆうじ母の家

   (キッチンとリビング)・朝

 

今日は小学校の先生として初めての新学期

ゆうじにとって先生として、

ピカピカの〜1年生⭐️

 

キッチンで朝ごはんを作るゆうじ母。

 

ゆうじ母 「ゆうじ起きたの〜??」

 

2階ゆうじの部屋から

 

ゆうじ  「起きてるよ〜」

 

バタバタと移動する音。

 

ゆうじ階段から慌ただしく降りてくる、

スーツを半端に着ながら。

 

ゆうじ母「なにそれ。ちょっと来なさい」

ゆうじ 「いいよなんだよ」

 

ゆうじ母、フライパンをキッチンに置いて

ゆうじに近づき、

 

ゆうじ母「今日は失敗できない日

                  なんだから!

                  こんなだらしなく着てちゃ

                   だめよ〜」

 

ゆうじ母、そういいながら

ゆうじのネクタイを結び直す。

 

ゆうじ母   「あらやだ」

ゆうじ       「えっ?」

 

ゆうじキッチンの食器棚のガラスに

写りこんだ自分を見て叫ぶ。

 

ゆうじ      「ママ!ケチャップ!!!」

ゆうじ母  「あらやだごめ〜ん」

 

ケチャップまみれになったネクタイを

つけたゆうじのトホホ顔、

ゆうじ母、片手を口元に当てて

ごまかし笑いをしている。

フライパンから卵のこげる匂い。

 

ゆうじ母 「まあ、なんとかなるわよ」

ゆうじ     「ならないよ!」

 

ゆうじ、ケチャップまみれのネクタイを

シャツにつかないように

そおっと外しながら、

 

ゆうじ    「だいじなネクタイなのに」

ゆうじ母「まあ、あれよ、

                    近頃はクールビズって

                    いうでしょう」

ゆうじ    「まだ春だよ」

 

父のネクタイの他には

ネクタイがなかったため、

昔子供の時につけていた

蝶ネクタイをつけて出勤するゆうじ。

 

■学校内・ゆうじの担任の教室・朝

 

ゆうじ、期待に膨らませて

教室の扉を開ける。

 

ゆうじ 「お〜はよ〜ございま〜〜〜〜」

黒板消しが当たる音「バチン!」

 

ゆうじの顔に黒板消しが直撃する。

チョークの粉に咽せるゆうじ。

 

C子(7才?)「だっっっさ」

子供らの騒ぐ声「わああああああ」

ゆうじ   「ゲホっ ゲホゲホ・・・

                    これは何の騒動だい」

 

C子、ゆうじの後ろに回り、

開いている教室の扉を

ガラガラと閉めながら

 

C子  「それを突き止めるのが

                  先公の仕事でしょ」

ゆうじ   「ゲホ・・・パ・・

                  パパのスーツが」

C子     「1年の新学期だからってみんな

               ピカピカ〜 でいられると思って?」

 

二人のいるところに箒が飛んでくる。

C子するりと避けて

ゆうじの頭に直撃する。

箒をカツラのように被ったゆうじを見て

今まで大戦争を起こしていた子供たちが

大声で指をさして笑う。

 

子供たち「がはははは、先生、

                   お化けみたい」

 

ゆうじ、かんかんに怒って

顔を真っ赤にしながら、

 

ゆうじ 「だまれだまれだまれ〜!!」

 

ゆうじ、その辺に子供たちがちらかした

バケツやら箒やら黒板消しやらを

子供たちに向かって投げ出し

しまいには椅子や机を蹴り倒す。

子供たち、

あまりのゆうじの剣幕に圧倒され

しばらく口をポカンと開けて立ち竦む。

 

ゆうじ 「みんな、何をそんなに

     騒いでるんだ!

                今日は新学期の一日目だぞ!

     人生で一度しかない、

                小学校に上がって

                はじめての登校日なんだ!

             どんなにバカでもポンコツでも、

           最初の最初くらいは何だって

                ピカピカな筈なんだ!

                きみたちはそのだいじなだいじな

                初っ端を、自分たちで

       ドロドロにしているんだよ!!!」

C子   「ホッホッホッホ!!

     笑わせるじゃないの先公」

 

ゆうじ、しばらくそのマセた口調に

圧倒されてポカンとする。

 

C子ちゃん「はじめからそんな

        綺麗にきっちり片付いた、

           図書館の棚みたいな教室が

        あると思って?」

 

C子、そういいながら

チュッパチャプスのようなものを

舐めている。

 

C子     「人生舐めてる、

               ちゅぱっちゅぱっ」

ゆうじ「舐めてるのはきみの方だよ!

               目上の人間になんだその口は!」

 

そういうゆうじの画が引き画になる。

頭に箒の枝が刺さったままで、

黒板消しの粉で顔がまだらに白くなり、

スーツも粉だらけになっていて、

まるでマントヒヒのよう。

 

C子      「あ〜らご自分を鏡で

        ごらんなさいよ先生、ホホ、

        ニンゲンというより、

     まるでお猿さんよ」

子供ら 「ははははははははははははは」

ゆうじ    「っも〜〜〜怒った! 

                   先生を怒らせたら

                    怖いんだぞ〜〜!」

 

怒れる獅子の如く箒の枝を

鬣のように振り乱して、

箒の枝を振りまきながら子供たちの方に

襲い掛かろうとするゆうじ。

 

子供ら   「わ〜〜〜〜!!!

          マントヒヒの怪物だあ〜!!

        逃げろ〜〜!!!」

 

子供ら、だだだあ〜っと、

叫びながらも楽しそうに駆け回る。

子供らが飛び出そうと

教室の扉を開けようとするのと同時に

教室の扉がガラアっっと開き、

 

通称マダム「ダ〜マらっしゃい!!!!」

 

ぼってりと貫禄のある”通称マダム"が、

真っ赤なスカートスーツで仁王立ちをして

ドカンと教室の壁を叩く。

教室がブルンと振動する。

子供たちとゆうじ、一瞬で縮み上がり、

シーンと立ち尽くす。

C子、一人ビビらずにチュッパチャプスを

舐め続けている。

 

C子   「ちゅぱっちゅぱっ」

通称マダム「新学期早々なんです、

      このザマは!」

 

うんちゃらかんちゃらといい、

最後に

 

通称マダム「それからC子ちゃん!!

                      あ〜たは

      うちのクラスでしょうが!!

               戻りなさい!!!」

ゆうじ   「え・・・うちの?」

C子     「せ〜んせ、ごめ〜んね、

            ちゅぱっ」

 

チュッパチョップスを口から出しながら、

 

C子  「あたい、上のクラスなのよ」

ゆうじ   「え、、だってきみは」

C子  「だ〜から、あたい、2年生なの、

         あんたたちのセンパイよ」

ゆうじ   「し、、、、、、

       新入生ちゃうんか〜い!!」

 

子供ら、ざわざわとする。

 

C子    「はい、これ、

         ゴメンねのかわり」

 

そういいながらC子、

手に持っていた半分以上溶けた

チュッパチャプスを渡す。

 

ゆうじ   「いや、誰がいるねん!! 

       も〜え〜わ!!」

 

教師を辞める勢いで帰りかけるゆうじ。

その首根っこを引っつかまえる

マダムの太い白い腕。

 

マダム    「え〜ことあるか〜い!」

 

ゆうじ、母猫に咥えられる子猫のように

ぷらんとマダムの腕に垂れ下がる。

 

マダム  「あんた、おとうさんみたいに

                   立派な教師になりたいんやろ?」

ゆうじ 「え・・どうしてそれを・・?」

 

マダム、にやっと笑うと

どんどん溶けてゆく。

ゆうじ、目を疑いびっくりしていると

ゆうじの周りを取り囲むC子や子供らも、

ゆうじの視界が全て

ペロペロキャンディのように

渦を巻いてカラフルに溶けてゆく。

 

ゆうじ   「え・・えええ〜〜〜!!」

 

■ゆうじの部屋・階段・キッチン・朝

 

ゆうじ 「えええええええええええ」

 

という自分の声と

 

目覚まし「ジリリリリリリリリリ」

 

という音と

 

母       「ゆうじいいいいいいいい」

 

の声でガバッと布団から起き上がる。

 

ゆうじ   「はあ、はあ・・。

       ゆ・・・夢かあ・・・」

 

ゆうじ、時計を見る、朝6時半。

 

ゆうじ母 「ゆうじ〜??

      起きてる〜〜??」

 

ゆうじ、バタバタと床を叩いて

起きているフリをしながら

 

ゆうじ        「起きてるよ〜〜」

 

ゆうじ母、階段下から

 

ゆうじ母      「今日は失敗できない

        大事な日なんだから…

        完璧な日に…」

         (うんぬんかんぬんを続ける)

 

ゆうじ、着慣れたジャージに着替えながら

階段を降りてキッチンに向かい、

 

ゆうじ   「そうだね・・・・

                           いや・・・・」

ゆうじ母  「な〜に?あらやだ!

          まさかその格好で

          行かないでしょう?」

 

ゆうじ母、唖然としてフライパンを

キッチンにがちゃんと置く。

ゆうじ、母の質問には答えずに

そのフライパンから作りかけの卵焼きを

皿にうつしてモリモリと食べ、

 

ゆうじ    「はじめからそんな

        ピカピカな日なんて

                          存在しないかもしれない」

ゆうじ母         「今日は父さんのスーツを

        着て行きなさい」

ゆうじ     「いや、やめとくよ、

         今日は波乱万丈な日に

         なりそうだから」

 

ポカンとするゆうじ母。

卵焼きのかけらを口元に付けながら

玄関に急ぐゆうじ。

 

ゆうじ母     「お・・・

          お弁当まだなんだけど」

ゆうじ       「学校で飴でも舐めるよ、

        行ってきま〜〜〜す!!」

 

玄関がバタンと閉まり

外へ飛び出して走り出す

ジャージ姿のゆうじ

後ろから追いかける通称マダム

 

通称マダム「舐めるのは

      飴だけにしときぃや〜!」

ゆうじ  「ぎょええええええええ」

 

晴天へPAN-UP。

 

-終わり-