折れた羽を言い訳にして
くたばっていたライオンを
たわいのないたんぽぽ畑が
癒した
ライオンは
ライスワークの帰りに寄り道した
夜のたんぽぽ畑で
メシを喰らううちに元気になった
折れた羽の根元が
10年前のそのままに化石化している
たんぽぽ畑がふわふわと
その根元に当たる
たんぽぽ畑にときどき現れる
うさぎがぴょこぴょこと気まぐれに
ライオンにたんぽぽを投げつける
ライオンがガオ〜と悦ぶと
うさぎは気まぐれにどこかへ消えてしまう
夜の散歩道を
毎日通るたびに
ライオンはふと
背中にポカポカを感じて
10年前に忘れ去った
片方の羽の感覚を
背に感じた
壊れた皿は元には戻らなくても
入れ込んだ墨は完全には消えなくても
破片を繋ごうとする
墨を消そうとする瞬間に
大切な何かを知る
ライオンの怠惰な背中を
その気にさせたたんぽぽ畑に
今日も気まぐれにうさぎが戯れる
ぴょこぴょこ ぴょこん
ライオンさん
ぽてぽて ぽってん
たんぽぽ喰らえ
ガオ〜
ライオンさん
ハラが減ったらうさぎを食べちゃいそう
いかんいかん
ライオンはまた
巣に帰り眠りにつく
ライオンの夢の中で
たんぽぽの花冠をつけたうさぎが
子守りをする
"明日もライスワーク
ほどほどに終わらせて
背中のリハビリを
しましょうね"
フガ...
ガォ〜...

