青年時代、当時あった下北沢の映画館で観た映画、優しくて、けれど苦しくて、そしてそこには「生きる」という思いを感じて、うわ近づきたい、知りたい、映画を。そしてなんだったら自分でも撮れるんじゃないか?といった気持ちで映画のスクールに入った。そしたらすごい困った。だって難しいんだ。思うこと、伝えること、作ること。全部全部難しい。
自分のその時のフルパワーを使い切って初めて短編映画を作った。それを作り上げることだけでも、フィルムだったし、時間かかるし、お金かかるし、もうフラフラ。
そしてそれを観せること。インディーズ映画のコンペだ。それもまたすんなりじゃないし!入選上映でもプロジェクターが簡易的だったりして、でもやっと観せることできた!そしてそしてなのである。映画館。劇場公開。なのである。
初の長編映画『君がいる、いた、そんな時。』がもうすぐ公開される。10年以上前に脚本を書き、うまく行かず、鬱病にもなっちゃったりして、そして運よく中編映画『父の愛人』で劇場デビューしたりしたけど、また一から脚本書き直して、賛同者を集めに回って、すごいたくさんの方々に協力してもらって、準備して、撮って、完成して映画館で公開する。ずっと苦しくて、楽しくて、懸命で、もがいて、粘って、泣いて、笑って、僕の全てが全てを使って、使い切って。ようやく劇場公開される。
映画館でかかる映画って、僕だけじゃなくて、おそらくすごいパワーと粘りと情熱と運とが混じり合わないと出来上がらないものばかりだと思うのです。だからそこに、その僕の青年時代に感じた「生きる」ということがスクリーンに存在しうるのだと。だからだったんだ、って。
僕は「映画」を尊敬しています。そこに「生きる」ことがあるから。映画、最高!!
▼迫田公介監督 待機作品