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元木昌彦の「編集者の学校」

「FRIDAY」「週刊現代」「オーマイニュース」など数々の編集長を歴任
政治家から芸能人まで、その人脈の広さ深さは、元木昌彦ならでは
そんなベテラン編集者の日常を描きながら、次代のメディアのありようを問いただす

 夜、銀座のライブハウス「まじかな」という店で開かれた高須基仁さんの『全部摘出』(展望社)のお祝いの会に行く。
 昔懐かしい「愛と死を見つめて」の河野実さんに会う。
 冒頭で挨拶をさせられる。
 高須さんはこの本で29冊目になるそうだが、今度の本が一番おもしろい。もう万人に好かれようと思っても、絶対あの男とは席を同じくしたくないと思っている人は多い。
 だからこれからは自分のことを好きだと思っている人間とだけ付き合いなさい。
 年をとるごとに「純粋」になっていく珍しい年寄りである高須さんを、私は好きだと話す。
 ヘア・ヌードの商人やら熟女コンテストを主催したり、ヤクザと付き合いシャブに詳しい変な人である高須さんという人間は「絶滅危惧種」のようなものである。
 まだまだこういう人間が存在してもらわなくては、世の中がおもしろくない。
 痛風で杖をついている姿を見ると、やや弱ったかなと思うが、もう一暴れしてくださいよと激励して途中で引き上げる。
 コトバJapanを書き終えて、新中野へ向かう。
 名居酒屋「もんし」で豊田さん、平場さん、岩沢さんと飲み会。
 5時から開始である。
 正しい居酒屋での飲み方であるが、日本酒、焼酎、泡盛、何でもござれで7時過ぎには酩酊状態。
 だがここで終わらないのが飲んべえの飲んべえたる由縁である。
 STAP細胞を発見した小保方さんが、ネットで写真がおかしい、ねつ造ではないかと、騒がれているという話で大いに盛り上がった。
 かわいいが故のやっかみからだろうが、平場さんの話だと、彼女の周りにいる教授たちにも疑惑が飛び火しているという。
 第2の佐村河内事件か? かわいいというのは得することもあるが、騒がれすぎて可哀想でもある。
 そんなことをうだうだと話しているうちにはや10時。ようやく腰を上げて帰り支度。いやはやお疲れ様。

 
 夜、元新潮社の小菅瑛夫さんと中野駅北口で飲む。
 彼が新潮社から週刊新潮時代の思い出を書いた本を出したので、3月7日に神楽坂の出版倶楽部でお祝いの会をやるのだ。
 その世話人を引き受けたので、打ち合わせを兼ねて飲もうというのだ。
 彼の行きつけ「魚々楽」という洒落た店へ連れて行ってくれる。
 雰囲気も魚も酒もいい。
 我々が駆け出しの頃、西麻布の「どんたく」という居酒屋の2階に屯して、夜を徹して話し明かしたことが週に1,2回はあった。
 そこへヒデとロザンナのヒデがきたり、舟木一夫がカラオケで歌ってくれたりした。
 青春の日々である。そこへ集った仲間の何人かは亡くなってしまっている。
 猪坂豊一さん、清野真智子さん、懐かしい。
 古い友人と昔話をしながら飲むというのは格別なものがある。