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元木昌彦の「編集者の学校」

「FRIDAY」「週刊現代」「オーマイニュース」など数々の編集長を歴任
政治家から芸能人まで、その人脈の広さ深さは、元木昌彦ならでは
そんなベテラン編集者の日常を描きながら、次代のメディアのありようを問いただす

 日刊サイゾーの原稿を書いて、新宿へ行く。
 週刊現代編集長の鈴木崇之氏と飲むためである。
 住友ビル47階の「住友倶楽部」。夜景がすばらしい。
 彼は41歳。大抜擢である。
 私が編集長の時に新人で配属されてきた。大橋巨泉氏の連載を担当してもらった。
 いい編集者にかならず備わっているように、じじいキラーである。
 巨泉さんも「鈴木はいい」と可愛がってくれた。
 立川談志さんの最後の連載も、彼に担当してもらった。
 巨艦・週刊現代をどう自分の色に染め上げるのか。あわてないでじっくりやった方がいいとアドバイスする。
 一見ひ弱そうだが、度胸の据わった男である。崇之現代がどうできるのか。楽しみである。
 夕方から新宿に出て新宿ピカデリーで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観る。
 マーティン・スコセッシ監督でディカプリオが主演。貧しい男が株でもうけてのし上がり、破綻していくお決まりのドラマ。3時間という長さを心配したが、ディカプリオのハイテンションに引きずられて、長くは感じない。
 登場人物のモデルとなった男性が、作品での描写がひどすぎるとして、映画会社パラマウント・ピクチャーズなどに2500万ドル(約25億6000万円)の賠償を求める訴訟を起こしたそうである。怒るかもしれないな。
 これでディカプリオは主演男優賞の候補になっているようだが、今度は獲るかもしれない。ストーリー自体は実話に基づいているが、新味はない。
 ディカプリオのワンマン映画である。先日観た焼き直し映画『華麗なるギャッビー』の演技もよかった。俳優をやめるなどと言い出してからのデカはとてもいい線をいっている。
 太ってきたデカはデニーロに似てきた。
 一番アブラがのっているときである。
 終わって末広亭近くのジビエレストラン「パンとサーカス」へ行く。アールデコ風といえばかっこいいが、なんだか場末のキャバレーのような雰囲気。
 雰囲気には辟易したが、鹿や熊などの肉をリーズナブルな値段で食べさせる店である。
 1年中食べたくはないが、この時期、ジビエを食べられるのはありがたい。
 
 バレンタインデーだが今年は義理チョコが2つになってしまった。
 朝から降り出した雪が本降りになる。
 夜、浜離宮の朝日ホールへ行く。
 リサ・バティアシュヴィリのヴァイオリン・リサイタル。ピアノは占部由美子。
 曲目はシューベルト : ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ イ短調 作品137 第2番D385
とベートーヴェン : ヴァイオリン・ソナタ 第7番 ハ短調 作品30–2 
 やはり雪のせいで客は7割ぐらいか。日野原重明さんがきていた。
 終わって吹雪の中を銀座7丁目の居酒屋「無何有」へ行く。
 小体な店でうまいものを食わせる。寒いので熱燗を頼み、アンコウ鍋を食す。
 あん肝がうまい。
 11時頃表に出ると雪国だった。
 それでもタクシーで家の近くまで行ってもらった。
 ボロ家だが庭の雪景色がすばらしい。
 寒さをこらえながらワインで雪見酒。こんな大雪が2週連続続くなんて、私が知る限り初めてだろう。
 東京は3月に雪が降ることが多い。もう1度か2度は雪見酒が楽しめそうだ。