『柳多留』は江戸時代に作られた川柳のまとめ本である。
「役人の子はにぎにぎをよく覚え」「居候三杯目にはそっと出し」などはこの本に収録されている。
『柳多留名句選』というのが図書館にあったので借りてみた。
思ったよりも硬派な句集に感じたが、面白いと思ったものをいくつか書いておく。
うたた寝の顔へ一冊屋根にふき
うたた寝をしている人が本を顔にかぶせてあるのを、
屋根に見立てている。のどかな風景が思い浮かぶ。
江の島はゆふべ話してけふの道
江の島は名残をおしむ旅でなし
江戸時代から江ノ島は観光スポットであったらしい。
当時から、「気軽に行ける距離の観光地」という認識だったようだ。この辺りは、現代の感覚と近い。
貸本屋これはおよしと下へ入れ
注を見ると、「春本を」とある。成人向けだったので慌てて下の方へ隠したということか。
思わず笑ってしまうが、ゾーニングと考えると現代でもタイムリーな話題である。
今までに読んだ日本語関係の本でお勧めのものを挙げていく。
『日本語全史』沖森卓也 著
古墳時代から現代にいたるまでの発音・文法・語彙の変遷を概観した本である。
本書は自分の中では革命的な本であった。
これまで頭の中では「文法文法」「現代文法」の二つに明確に区分けしていたが、両者がなめらかに繋がるようになった。
概ね、平安時代ごろに文語文法というものが完成するが、鎌倉時代以降少しずつ崩壊していき、現代文法に近づいていく。
例えば、係り結びというものがあるが、鎌倉時代の史料では連体形・已然形とすべきところを終止形にしている例があると言う。
そして徐々に係り結びは廃れていき、現代の標準語では完全に消失した。
本書ではこのような例を沢山学ぶことができる。
『日本語「形成」論』﨑山理 著
日本語がオーストロネシア語族とツングース語族の混合言語であると主張している。
オーストロネシア語族は、現代でいうマレーシア語やインドネシア語などが含まれる語族であり、いわば「海の言語」である。ハワイ語もオーストロネシア語族である。
ツングース語族は、有名なところだと満州語、他にはウィルタ語などが含まれ、オーストロネシア語族と比較すると「陸の言語」である。
自分もこの説にはかなり同意しているのであるが、確信にまでは至っていない。
『日本語の語源を学ぶ人のために』吉田 金彦 編
日本語の起源については様々な説が分かれているのであるが、それぞれの説における名だたる研究者が少しずつ執筆している。
いわばアンソロジーのような本である。
アイヌ語、古代中国語、タミル語、モンゴル語などとの比較を学ぶことができる。
先ほどの﨑山氏も本書で解説文を書いている。
『言語の本質』今井むつみ, 秋田喜美 著
オノマトペやアブダクション理論について解説している本である。
アブダクション理論は簡単に言うと、限られた使用例から原則に関しての仮説を立て、実践に移すという理論である。
主に言語の習得過程について理解できる。
『日本語音声学入門 改訂版』斎藤 純男 著
国際音声記号の説明から始まり、日本語の発音について説明している。
日本語の発音については、ほとんどの人が暗示的(無意識的に)に習得しているので、改めて発音を学習すると様々な発見がある。
特に、ハ行の複雑さには驚いた。
『広辞苑 第七版』新村 出 編
日本語の語彙で、社会一般で(ある程度)人口に膾炙したものを抽出して掲載している。
和語に関して、語源についてもいくつかは触れているのでありがたい。
例えば、「優しい」は「痩す」に由来することをこの辞書で知った。
紙版はもちろんだが、アプリ版もお勧めである。出先でちょっと気になったことを簡単に調べられるし、
後方検索や全文検索などの機能が大変重宝する。
『日本語源広辞典』増井 金典 著
語源に特化した辞典。語源を扱った辞書はいくつかあるが、本書はかなり網羅的である。
漢語の収録が多く、多くは自明な説明であるのが難点である。
『新明解語源辞典』小松 寿雄, 鈴木 英夫 著
こちらも語彙に特化した辞書。程度の収録語数はそれなりにあるが、語源広辞典にはかなわない。
頑張れば通読もできそうである。
『語源501 意外すぎる由来の日本語 』日本語倶楽部 編
一般向けの文庫本であるが、参考文献に膨大な数が示されており、ある程度信頼しても良さそうである。
日本語は、日琉語族に属する膠着語である。
SOV構造を持っているが、文法自体は他の言語と比較してもそれほど特異なものであるとは言えない。
英語・フランス語・中国語などはSVO構造を持っているが、全世界の言語を見るとSOV構造のものが一番多いと言われる。
対して、表記に関しては漢字、カタカナ、ひらがなを使用する複雑な体系を持っており、これは他言語にはあまり見られない特徴である。同様の表記体系を持っているものはアッカド語くらいであろうか。
面白いのは、日本語の本を読んでいると表記体系の例にアッカド語が出てきて、アッカド語の本に日本語(万葉仮名)が出てくるのである(池田 潤『楔形文字を書いてみよう 読んでみよう:古代メソポタミアへの招待』)
語彙については和語・漢語・外来語から構成される。
漢語について外来語に含めるかは考え方次第であるが、一般的には両者は区別されている。和語は日本語の固有語(本来語)である。奈良時代までは使用語彙のうち固有語が大半を占めていたが、平安時代以降漢語の使用が急速に増加していった(『日本語全史』沖森卓也)。外来語としては、安土桃山時代ごろからポルトガル語、オランダ語、明治時代からドイツ語、フランス語、英語から大量の語彙を取り入れた。明治時代にもたらされた語彙については、economy→経済、society→社会など「和製漢語」というものが大量に作られ、一部は中国へ逆輸入される形となっている。
日本語は我々日本人の母語であり、最も身近な言語であるが、その起源は定かではない。
朝鮮語起源説、古代中国語起源説、タミル語起源説、アイヌ語起源説など様々な説がこれまでに展開された。
オーストロネシア語族とツングース語族の混成言語ではないかいわれている(『日本語「形成」論』﨑山理)。いずれにしても、様々な言語の影響を受けて現在の日本語が形成されたことは確かである。
検定
日本語検定・日本語能力検定などがある。
日本語検定は日本語母語話者向けの検定で、漢字・語彙・敬語などの知識を問われる。1級はかなり難しいようである。
日本語能力検定は非母語話者向けの検定で、日本への留学などで活用されるようである。一番難しいN1で中学生3年生程度であろうか。
上記のほかに日本語教育能力検定というものもあり、これは日本語教師になる人のための試験である。いつか国家資格化されるといううわさもある。
書籍
量が多くなるので別の記事で紹介する。
コロナ禍の中、海事代理士の取得のため海事法を勉強していた。
遠洋航海において、船内というのは外界から遮断された特殊な環境となる。登記や雇用契約などに関して、一般的な法律とは別に海事法という独特な法体系が存在する。
船舶法船員の契約や解雇、年少者や妊産婦を仕事に従事させる際にどのような取り決めをすべきかを述べている。
労働基準法の海版と言えるであろう。
労働基準法-船員法でどのような違いがあるか比べてみると面白いかもしれない。
船舶職員法は航海士、小型船舶操縦士の資格について規定した法律である。これは小型船舶操縦士免許とも重なる分野である。資格取得の要件、どの資格でどのようなことができるかを学ぶ。
◇書籍
・海事六法 2020年版, 国土交通省海事局
やはり海事法学習は条文学習がほとんど全てと言える。
「実用海事六法」というさらに本格的な六法もある。
ただ一番役に立つのはウェブサイトのe-govになるだろう。
・概説 海事法規 概説 海事法規(2訂版), 神戸大学海事科学研究科海事法規研究会
海事法に関する基本書である。ただ章によって完成度にバラつきがあるように思う。
海洋汚染防止法についてはやけに詳しいのに対し、重要な法律が全く載っていないということもある。
◇検定・資格
・海事代理士
筆記・口述ともに出てくる重要科目である。範囲の広さ・深さともにかなりのものを求められる。
・小型船舶操縦士
もちろん海事代理士ほどの量ではないが、航行できる海域などの規定があるため、学科の分野で船舶職員法について一部学習する。
他、海技士(航海・機関)でも法規として学習するようである。
関連する法律
船員職業安定法、船舶職員法
・憲法
特におすすめ。分量も少ない。日本人であれば一読しておいた方が良いと思う。
様々な資格・試験で、試験直前に憲法を読み直すことを推奨されている。
・刑法
意外と読んだことがある人は少ないと思う。分量はそこまで多くない。こんなことが犯罪になる、といろいろな発見がある。
・祝日に関する法律
いつが祝日なのか、また祝日の由来について述べている。例えば、憲法記念日については「五月三日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」とある。
・国旗及び国歌に関する法律
全2条の法律。国旗の図面、国歌については楽譜が載っている大変珍しい法律である。ポケット六法にも収録されている。
・軽犯罪法
軽犯罪にあたる行為について34個書かれている。
いわゆる立ちションについては、第1条26項「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」で軽犯罪 になる。
ニートについては第1条4項「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」とあり、定住していれば犯罪にならないと解釈される。
◇概要
刑法は刑事訴訟法と共に好きな科目で、大学時代は重点的に勉強していた。
総則で総論的な内容を述べている。第1条は属地主義、第3条は属人主義について。
「飛行機の中で殺人を犯すとどうなるか?」などクイズ形式で出てくることがあるが、
第1条2項に規定されている。
他、量刑についても規定がある。これは最近、懲役刑と禁固刑が統合されて「拘禁刑」というものになることで有名である。
第2編の「罪」については、①どのようなものが犯罪になるのか②どのような刑罰が科されるのか という組み立てで、つらつらと書き連ねている。
刑法だけではなく、他の法律にも犯罪・刑罰を定めたものが無数にあり、刑法と同様の効果を持つ。
例えば、覚せい剤取締法、児童ポルノ法などがあり、特別刑法とも呼ばれている。
かなり理論を大切にする科目とされる。条文数もすくなくインプット量の合計は少ないが、実戦応用が大切になる
たとえて言うと、民法が化学としたら刑法は物理。とくに思考力を必要とすると言われる。
◇書籍
刑法 (伊藤真ファーストトラックシリーズ), 伊藤 真
初学者向けに平易に解説されている。北海道を旅行しながら読んだ思い出の本である。
刑法, 勝亦 藤彦
総論と各論をまとめながら解説しているのが特徴。
刑法各論 第3版 (伊藤塾呉明植基礎本シリーズ) ,呉 明植
ブックオフで購入した物だが、論点が明確になっていて非常にわかりやすい。
検定
法学検定
スタンダード<中級>コースを通じて学習できる。
他に法律科目として出題されるものはあまりなく、司法書士、司法試験くらいである。
関連する法律
刑事訴訟法、保護観察法、母体保護法、臓器移植法など
◇概要
「通則」で横断的な原則、以後「物権」「債権」「親族」「相続」からなる。
お勧めは家族法である「親族」「相続」からである。
離婚、親権、後見制度、遺産相続など身近な内容である。
ただ、いずれも制度を活用するときは人生の重大場面であることには他ならない。
どういう仕組みで法律が動いているかを学ぶことは意義があることと思われる。
財産法である「物権」「債権」については、コンビニの買い物でも行われている法律行為であり日常生活と密接にかかわっている。
ただ、実際に問題になるのは土地の売買などであろう。特に図を描きながら学習するとわかりやすい。
◇学習してどう役にたったか
特に部屋を借りるときに役に立った。
契約書の説明を受けるときに物件の登記がどうなっているのか、など実感を持って確認できる。
また、今後来るであろう大きなライフイベント、肉親の死に際しての法律問題について事前知識を入れることができ た。
細かい判例まで立ち入らなくても良いので、特に大学生のうちにザっと勉強しておくと色々役に立つ科目だと思う。
◇書籍
民法 (伊藤真ファーストトラックシリーズ 1), 伊藤 真
◇検定
法学検定
スタンダード<中級>コースを通じて学習した。
他に、宅建士・行政書士・司法書士・司法試験に至るまで士業、公務員試験については大体科目として出てくる。
◇概要
前半が人権、後半が統治機構からなる。
また、前文というものがあり、これは名文として知られる。
憲法それ自体が生活の訳に立つことは比較的稀である。ただ、様々な法律の源流となっている。
第13条は個人情報保護法。
第17条(国及び公共団体の賠償責任)→国家賠償法
第26条(教育を受ける権利、教育の義務)→教育基本法
第17条(勤労の権利、勤労条件の基準)→労働基準法、男女雇用機会均等法
また、特に刑事訴訟法に大きな影響を及ぼしていると言える。
刑事訴訟法を学習しているときに憲法の存在を強く感じるだろう。
第36条(拷問及び残虐刑の禁止)、第37条(刑事被告人の権利)、第38条(事故に不利益な供述、自白の証拠能力)
人権については判例学習が中心となる。
特に違憲判決となったものが非常に重要であり、同時に憲法学習の醍醐味になると思う。違憲判決については数が多くないので、まとめて覚える語呂合わせなんていうものも存在する。
憲法の学習を始めたのは大学生からであるが、高校の社会科目である"現代社会"でいくつかの判例に触れているので驚いた。
◇学習してどう役にたったか
また、特に選挙、裁判のニュースを見ているときに役に立つ。
他の様々な法律科目を学習する際に、その最上流に位置するものとして認識することができた。
近代に入ってからの人権思想がどのように憲法へ反映されたか確認することができる。
◇関連する法律
行政手続法、行政不服審査法、国家賠償法、公職選挙法、大日本帝国憲法、皇室典範、刑法、刑事訴訟法ほか多数
◇書籍
憲法 第2版 (伊藤真ファーストトラックシリーズ 1), 伊藤 真
平易に書かれていて理解しやすい。
憲法 第七版, 芦部 信喜
「芦辺憲法」として超有名な教科書。ただ初学者にはかなり難しい。
◇検定・資格
法学検定
スタンダード<中級>コースを取得。
憲法の概要、他の法律科目との関連を学習するのに丁度良い。
判例学習はもちろんのこと、明治憲法も含め網羅的な理解が必要である。
海事代理士
筆記科目の一つである。ただほとんど統治機構からの出題で、条文がそのまま出題される。
海事代理士の中ではそこまで重きを置いて勉強していない。
他、宅建士・行政書士・司法書士・司法試験に至るまで士業については大体科目として出てくるようである。
藤沢~江の島~鎌倉を結ぶ10.0kmの路線。1902年開業とのことで非常に歴史がある。
特にノスタジックな路線として有名。
藤沢駅の構内は非常に広く立派。エキナカに大きなお土産物屋もあった。
外国人観光客が沢山いて、みんなでスタンプを押したり電車の写真を撮っていた。
車内も観光客が非常に多くギチギチで、みんな喋っているので車内は騒然としている。
ノスタルジーを感じるのは難しいかもしれない。
住宅地の中を走っていくのが特徴だが、鎌倉高校のあたりでは江の島と共に相模湾が一望できる。
途中路面電車となる区間があり、撮影スポットとしても有名なようである。
沿線には江の島をはじめ鎌倉大仏、長谷寺、鶴岡八幡宮など観光地が大量にあり、その点でも集客力が強いのだろう。