実存主義の「アンガジュマン」をフランス語の観点から見てみる | もころぐ

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サルトルの「実存主義とは何か」という本で「アンガジェ」「アンガジュマン」という用語が出てくる。

「アンガジェ」は不定形engagerと過去分詞engagéの二つがある。どちらも発音は同じで、混乱の元になっているような印象がある。

engagerから見ていく。
意味を辞書で調べると、「責任を負わせる」「拘束する」「始める」「参加させる」「巻き込む」などと出てくる、他動詞である。

en「~の中に」+gage「担保」から、「担保に入れる」が原義のようである。
代名動詞になると、seを伴ってs'engager「参加する」になる。
engagéは、動詞"engage"の過去分詞。「拘束された」というような意味になる。

実際「アンガジェ」と訳された単語は、engagéの方が多いようである。よって、自分が自分を拘束する、というような解釈になるであろうか。

「アンガジュマン」engagementは名詞形で「拘束」「契約」の意味。おもな日本語訳として「社会参加」が一般的であるが、これも元をたどっていくと自らを社会の中で「拘束させる」という意味合いを持つ。
ちなみに、「エンゲージメント」という外来語があるが、これは英語経由で入ってきたもの。「誓約」「契約」「婚約」というような意味である。

 

参考文献

実存主義とは何か, J-P・サルトル, 伊吹武彦ら訳

プログレッシブ 仏和辞典 第2版

広辞苑第七版