少し昔に話題になった本であるが、とても面白かったので引用しながら紹介する。
p269 「先日、片づけしすぎて病院に搬送されました」
衝撃の一文である。片付けのしすぎで病院に搬送されるなど、ただ事ではない。
これはあとがきの文なのだが、何事でもなかったかのようにサラッと書いている。
他にも、本文中では著者自身のエピソードがいくつか出てくる。
p60「ありとあらゆる基準でモノを捨てつづけ、一か月で三十袋近くのモノを捨てていたこともありました」
これは著者が中高生だったころの話であるが、やや普通ではない、常軌を逸していると思えるものが多い。
しかしそれを武勇伝として自慢しようとか、そういった意図は見えない。淡々と語られるのである。
ここに著者の「静かな狂気」のようなものが垣間見え、ゾクゾクするような恐怖、面白さを感じるのである。
次に本書の中でみられる思想について。
p87「「買った瞬間にときめかせてくれて、ありがとう」私に合わないタイプの服を教えてくれて、ありがとう」といって、捨ててあげればいいのです」
買ったものがなかなか捨てられない場合の捨て方のテクニックなのであるが、これも面白い。
一つ一つのものに人格を与え、感謝の意を伝える。これはものに対するアニミズムというか、日本古来の宗教観を感じさせる。
古来より日本では山・川・草木に至るまで、あらゆるものに霊魂が宿ると考えた。
「いかづち」「わだつみ」というような言葉があるが、これらの「ち」「み」は霊魂を表し、信仰・祭祀の対象となった。
著者は"Konmari"として海外でも話題を呼んでいるのだが、こういったものの捉え方が一神教の多い海外では新鮮に思われたのかもしれない。
このように、本書はもちろん片付けについてコツをまとめた実用書であるが、ある意味で哲学書のような雰囲気、迫力を纏わせている。
参考文献
人生がときめく片づけの魔法, 近藤麻理恵, サンマーク出版
