地獄のDECEMBERー哀しみの南京ー」 2007年10月09日
先日の従軍慰安婦の芝居「旅人打鈴」(9.29鑑賞)よりも重い「地獄のDECEMBERー哀しみの南京ー」
嘔吐される方やうつむく観客、私たちは恥ずべき民族だけど苦しみの中からこんな作品を作ってくれたご夫妻がいる。
映画「南京1937」を数年前に観た。今回ミニー・ヴォートリンを知る。
不許可写真集の本で見たのは20年も前だろうか。試し斬りした首を持ったり強姦した女性の脇で記念写真におさまった日本の軍人。なんと言う破廉恥、この写真を自分の妻子には見せられないだろう。
それが今もなかったと抗弁する日本人がいて恥の上塗り、これほどの恥があるでしょうか。その頃日本では南京陥落を、提灯行列で祝い、そこで日本軍が何をしたかは知らない国民は多かった。でも世界にこのニュースは流された。今知らないでは済まされない。
この朗読と芝居は
渡辺義治 作・構成・演出・出演 横井量子 作・美術・振り付け・衣装・出演
お二人はご夫妻
映画「南京1937」を数年前に観た。今回ミニー・ヴォートリンを知る。
渡辺さんの告白によると
自分たち家族は何か大きな罪を背負っているという意識のまま大人になった。幸せになれない。戦争から帰った父は粗暴となり家族にも辛くあたった。世間は戦犯と冷たかった。母はよく父から暴力を受けていた。夜中によくうなされていた父。戦地から隠し持ちかえった日本刀を箪笥に隠していた。
戦地からいち早く帰国。中国人を殺害し部下を見捨てると言う二重の罪。
母はうつ病になり、渡辺さんの妻、量子さんに自らの血で息子は「自分のもの」と書いてよこした。量子さんがその手紙をくずかごに捨てると夫が暴力をふるった。暴力の連鎖だ。母は夫の1周忌に首吊り自殺をする。
渡辺さんは嫌がる妻と中国東北部へ。
長江の虐殺現場で手を合わせた瞬間、ハチ割れるような頭痛に襲われ「南京大虐殺」と向き合わねばと思った。
量子さんの父は軍隊の雑貨を納める商いをしていた。うちだけが悪いのかとつぶやく夫の言葉に彼女は自分の父の加害を認識する。父の「楽して儲けた」と言う言葉を忘れなかった。その儲けは戦後、兄たちの病で消えた。
お二人で、日本兵、中国人、ミニー・ヴォートリン、ジョン・マギー牧師、李秀英、夏淑琴さんを演じていく。量子さんに中国人被害者が乗り移っているような迫真の演技。彼女は幼い日に父の儲けで歌舞伎座に通い、バレエやピアノを習ったと言う。このような素養無しにはこの舞台は出来ない。渡辺さんより力強い声が出る。渡辺さんはチラシで見るよりお若くハンサム。
夏淑琴さんは他の映像で観たことがある。謝罪に行った元日本兵に優しく接していた方だ。そんな夏さんをうそつき呼ばわりする日本人がいると聞き、又情けなくなる。
渡辺さんは妨害にありながら既に「再開」を中国・アメリカで公演しこの舞台を南京で公演する予定。
非常にエネルギーの要る舞台なのでお体に気をつけていただきたい。
いつもながら日本人の罪深さにおののきアジアの人々には申し訳なく思う。