羅生門 | mori17さんのブログ

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「映画大好きおっさん」の映画関連

今回視聴したのは、1950年の「羅生門」でDVDにて拝見しました。

 

羅生門 デジタル完全版 [DVD]

 

監督は黒澤明、出演は三船敏郎

 

70年以上も昔の映画で、商品説明欄には、「映画史に燦然と輝く日本映画の至宝」と書いてありました。

 

私が生まれるはるか昔の作品で、太平洋戦争が終わって5年後ですから、かなり古い作りとなっており、ここまで必要なのかといった間延びシーンが目につきます。

 

映画自体は以前から知ってはいましたが観たことはなく、簡単なあらすじは、殺人事件が起きて容疑者含め証人それぞれの証言が食い違い、誰かがウソをついている?ってな話で、原作が芥川龍之介だといった事前知識のみで観始めました。

 

登場人物は、僧侶、薪売り、下人、武士、武士の妻、盗賊、盗賊を捕まえた男です。

 

話は冒頭で、僧侶と薪売りの二人が神妙な顔をして、羅生門にて雨宿りしているところから話は始まります。

 

その後、下人も雨宿りしに羅生門にやってきたところで、薪売りが「何がなんだかわからねえ」と何度も独り言を繰り返します。

 

まるで誰かに話を聞いてもらいたいのかといった感じで、不思議に思った下人は何が分からないのか聞いたところ、僧侶と薪売りは先ほど検非違使(警察・裁判所)にて不思議な体験をしたと言い始め、その不思議な話を話し始めます。

 

それは武士が殺された殺人事件の話で、その死体の第一発見者が薪売りで、僧侶は事件前にその被害者を道路で目撃したとのことで、犯人と思われる盗賊が捕まったのでその裁判に二人が参加し証言してきたとのこと。

 

裁判は時代劇でおなじみの御白州(白い砂利の広場)で行われており、証人尋問は二人の他に、殺された武士の妻と容疑者の盗賊、盗賊を捕まえた男がそれぞれ証言しました。

 

二人と盗賊を捕まえた男の証言は問題ない様子で、最初は容疑者の盗賊による殺人だけだと思われていましたが、どうも盗賊によって武士の嫁がレイプされたという事が分かってきました。

 

この時、武士の妻の証言が盗賊の証言と食い違い、どういうこっちゃとなります。

 

どうもどちらかがウソを言っている?といった話になり、現在なら弁護士と検事が激しくやり合うのでしょうが、この作品の凄いところは、巫女を呼んで殺された武士の霊を呼び出し、死者に証言させるという荒業を見せるという点です。

 

すると、武士(巫女)と武士の妻と盗賊の3つ証言がそれぞれ違った内容になり、ますます混乱してしまうといった展開になります。

 

名探偵コナン君でもいれば自慢の推理力を発揮し事件は解決するのでしょうが、平安時代の話なのでコナン君は居ません。

 

とにかく裁判で困った状況になったという話を聞かされた下人は、何じゃそりゃ!となりますが、ここで第7の証言が現れます。

 

こうなってくると、もう観客も何が何だか誰の証言を信じればいいのか?ってな展開になりますが、観客としては一番信ぴょう性のあるのは第7の証言なのかな?と見続けることになり、しかしここで下人の鋭い突込みにより第7の証言も???となってしまいます。

 

やがて、真実と言うより、なぜ各証人がウソをつくのかに焦点が当たり始め、人間は弱くそれがゆえに嘘をつき記憶を改ざんする。

 

つまり、人間とはそれぞれが男性の立場や女性の立場に霊の立場など、自分の保身のためにウソを云わせてしまう生き物なのではないか?といった、人間の業とでもいうのか、実に大きな問題へと発展していき、人間なんてものは己が一番かわいいから、他人なんてものに関わってはいれない、或いは他人のために何かしようなんてできないなどと、人類否定のヤバい方向へ進んでいきます。

 

その時でした、そこで赤ちゃんの泣き声が聞こえ、そこから僧侶、薪売り、下人がそれぞれある行動に打って出ます。

 

このやり取りこそがこの作品のテーマであり希望となるヒューマニズムとなっており、今までの証言とこの対比こそが過去の行いに対する贖罪というか人間の可能性を示唆するもので、これで幕を閉じる終わり方をします。

 

正直、出てくる人全員がウソをついているといった展開で終わらされると心に傷がついて観終わることになるので、こういったオチにしてくれて良かったと思いつつ見終わりました。

 

それにしてもこの作品、1950年作製ですから現代の作品とは違って現代人が観ると間延びしてしまうシーンが多々あります。

 

例えば薪売りが死体発見のいきさつを語る前に、かなりの尺をかけて森の中に入っていくシーンがありますが、どうもこれは不思議な話をするにあたって、観客を不思議な国へいざなう儀式の演出だったようで、こういったように構図も含めモノクロ画面で光と影の見せ方、話の持って行き方など、かなり考えられた見せ方になっています。

 

といった感じで、なかなかの作品であり、やっぱり死ぬまでに一度は観るべき作品であると感じます。

 

 

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