白と黒 | mori17さんのブログ

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「映画大好きおっさん」の映画関連

今回視聴したのは、1963年の「白と黒」で、DVDにて拝見しました。

 

白と黒<東宝DVD名作セレクション> [DVD]

 

 

映画というのは、観客をどれだけミスリードさせるのがうまいか、させたほど面白いです。

 

この映画は、その点がものすごくうまく、観終わって見事に騙されて、その騙されぷっりにむしろスッキリして、思わず「まいりました🙇🏻」っていう言葉が出るほどの作品でした。

 

以前、「首」という作品を観て、あまりの観ごたえに唸ってしまいましたが、この作品も唸りが出ました。

 

「首」は弁護士が主人公で警察や検察の失態を是正する作品でしたが、この「白と黒」は逆で、検事が真実を追求する作品になっており、両作ともオートマチックな合理性がいかに危険かを描いた作品です。

 

どちらも主演は小林桂樹で、どちらも真実を追求しながら相反する内容になっており、ぜひセットで観ることをお勧めします。

 

この「首」と「白と黒」の2作品に影響を受けたのが是枝監督の「三度目の殺人」で、裁判ものとしてのエンタメは、脈々と受け継がれています。

 

とにかく、以前も書きましたが、最近でもおこった「大川原化工機事件」や、未だにやってる「袴田事件」などの冤罪事件があるので、皆もこの作品を観て勉強するべきだと思います。

 

さて内容の方ですが、冒頭で弁護士の浜野が女性を絞殺し逃げ出すところから始まります。

 

死体は発見され、直ぐに警察が捜査を開始し、第一発見者の女中とその時間帯に家にいたらしい浜野が事情聴取を受けている時に、初動捜査をしていた警官から真犯人発見の一報が入り、事件解決となります。

 

観客は、「え?さっき弁護士の浜野が絞殺したんじゃないの?」となりますが、話は進んでいきます。

 

真犯人はその家の宝石類を所持していたところを捕まっており、取り調べの結果、「俺が殺した」と自供しました。

 

そうなると身柄は警察から検察へ送られ、裁判(公判)用の調書作成が始まります。

 

この公判用の調書とは、裁判で使われる調書のことで、検事の落合が直々に容疑者で前科4犯の脇田から話を聞いて、誰が聞いても反論の出ないような内容に仕上げる必要(裁判で有罪に出来る内容)があるため、何度も念押ししながら犯行の手順をおさらいし、間違いがないことを確認します。

 

ところがここで、容疑者が「宝石は盗んだが、殺しはやっていない」と言い始めます。

 

証言をひるがえしたという事になり、検事の落合は一度自供しておいてけしからん奴だと怒鳴りつけますが、容疑者も窃盗や強盗の常習者で一癖も二癖もあり、なかなか調書が取れません。

 

とにかく一度「殺した」と自供しているわけですから、とにかくもう一度認めさせてその認めた調書を持って裁判へ持って行きたいわけで、容疑者も粘りますが母親からの説得の手紙もあり、再び犯行を認めてしまいます。

 

観客は、「いやいや、犯人は弁護士の浜野なんだから~」と思いつつ話を見続けることになります。

 

つまり、冤罪事件なわけですね。

 

日本では前科者に対してかなり冷たい風習があるのですが、それは一般市民も警察や検事も一緒で、とにかくお前がやったのだろうといった調子になり、とうとうその自供のみを持って、物的証拠もなく裁判が始まってしまいます。

 

裁判は別の検事が担当するのが日本の裁判制度のようで、落合から別の検事が落合の作った調書内容を持って裁判を続けていきます。

 

ところがその裁判で、容疑者の弁護を担当するのが浜野弁護士になってしまい、浜野は苦悩しながら弁護の仕事を始めることになります。

 

この浜野という男ですが、性格は真面目と言うか気が弱いというか、最初の絞殺のシーンからここまでで、かなりビビりまくっている様が描かれます。

 

それに対し、出てくる女性の人たちが、やけに明るいというか強いというか対照的に描かれます。

 

この時なぜこういった対比表現するのか気にも留めていなかったのですが、この辺も伏線が発動しており、後に浜野に対して大炸裂していたことが発覚します。

 

そうこうしている内に、自信満々だった落合検事は浜野弁護士に自白のみで物的証拠がないと指摘され、段々不安になってきます。

 

そこで担当した警官と話をもう一度検証し直していくと、浜野に事情聴取をし始めた時に真犯人逮捕の連絡が入ったので、浜野への事情聴取は途中までしかやっておらず、そういえば浜野の様子がかなりおかしかったとの話になり、女中が第一発見者で、浜野は犯行時刻ごろあの家にいた可能性があるよなってな感じで、こりゃ補充捜査の必要ありとなって、改めて警察が動き始めることになります。

 

すると次から次へと疑惑が浮上し始め、これって脇田は冤罪じゃね? 物的証拠はないけど浜野の犯行じゃね? となり始めます。

 

さあここから落合検事と浜野弁護士との攻防が始まり、特に一対一の対面で語られる場面で最高潮に達します。

 

さあ、この後どういう結果になるのか?

 

とにかく皆さん騙されて「え~!」となってください。

 

黒澤映画の「天国と地獄」並みに凄い映画です。

 

さてさて、今回のMVPですが、これはとにかく脚本なのか演出なのか分かりませんですが、観客をここまで騙したスタッフの力といたします。

 

とにかく「首」とセットで観てください。

 

因みに、どうでもいい話なのですが、私の飲み友達のおっちゃんがこの映画のMVPは、落合検事の担当部屋に居る、美代ちゃん(小林哲子)だと言い張りまして、理由は60年前の映画に「羽鳥慎一モーニングショー」に出ていた森山みなみ(おっちゃんの推し)そっくりの美人が居たからだそうです。(笑)

 

なんだかな~ですが、こんな感じでした。

 

 

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