ゴジラ対ヘドラ | mori17さんのブログ

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今回視聴したのは、1971年の「ゴジラ対ヘドラ」で、BDにて拝見しました。

 

ゴジラ対ヘドラ <東宝Blu-ray名作セレクション>

 

ゴジラシリーズの中でも、この作品だけは見たことが無かったのですが、今回公開より53年ぶりにやっと初めて拝見することができました。

 

冒頭、東宝のロゴの後に、どれだけ公害問題が深刻なのかを表す映像が流れ、突然ヘドラがヘドロから出現し、衝撃的な音楽に合わせて題名が表示されます。

 

あまりの公害映像に、初見でいきなり「うわ~汚ね~」でした。(笑)

 

そこからさらに衝撃的なオープニングがスタートするのですが、血液の赤血球と言うかアメーバみたいな映像をバックに、007シリーズのオープニングな感じで、かなりのインパクトな歌詞の昭和歌謡が流れ始めます。

 

っていうか、「007ユア・アイズ・オンリー」でシーナ・イーストンが、あまりに奇麗だったので、シリーズ中初めて歌手がオープニングに登場しましたが、ほぼほぼ同じように麻里圭子が画面に登場し、歌い上げます。

 

鳥も魚もどこへ行ったの

トンボも蝶もどこへ行ったの

水銀、コバルト、カドミウム

鉛、硫酸、オキシダン

シアン、マンガン、バナジュウム

クロム、カリウム、ストロンチュウム

汚れちまった海 汚れちまった空

生き物みんないなくなって

野も山も黙っちまった

地球の上に誰も

誰もいなけりゃ泣くことも出来ない

かえせ かえせ かえせ かえせ

みどりを青空を

かえせ かえせ かえせ かえせ

青い海をかえせ

かえせ かえせ かえせ かえせ

命を太陽を

かえせ かえせ かえせ

 

監督が作詞を担当しており、なぜここまでインパクトある歌詞なのかと言うと、公害を表現するためであり、この1971年という年は、公害による環境破壊が社会問題とされ、新聞やTVでは毎日のように公害ニュースが伝えられ、マンガ雑誌すらも公害特集を組むといった時代で、駿河湾や東京湾など日本の海の多くが漁業のできない死の海と化し、水俣病や四日市ぜんそく、イタイイタイ病などの公害病が発生しており、つまり生活を豊かにするはずの産業、技術の成長が人間の生活をむしばんで、1967年には公害対策基本法が制定施行され、1971年には環境庁が発足し今にいたりますが、それら問題を取り入れたとのこと。

 

発達し過ぎた文明の果てが人類を滅ぼす兵器である水爆の開発で、初代ゴジラ映画はその水爆のアンチテーゼとして作品が作られ、もちろん作中で東京が壊される様は、原爆被害や大空襲と重ねて多くの観客が涙し、その思いが海外へも伝わり初代ゴジラは大ヒットしました。

 

本作でも同様なアンチテーゼ精神は生きており、この当時の大問題であった公害問題を取り上げたという訳です。

 

オープニングの最後でヘドロに浮いた針のなくなった時計が映し出され、時間を知らせる鐘の音が響き渡ります。

 

これは、自然を壊した人類に対する時間切れを知らせる鐘の音で、ここから本編がスタートとなります。

 

そこから駿河湾近辺に住む博士が異変を察知し、そうこうしているとヘドラが出現し、それを追ってゴジラが登場します。

 

今回のゴジラは恐怖の象徴ではなく、人類の味方、子供の味方でありまして、人類へのアンチテーゼとして描いたヘドラが悪役になるのですが、人類に対する攻撃が、体から発するガスやヘドロで、濃度が低ければ激臭や酸で倒れたり、濃度が高ければ人間の体がドロドロに溶けてしまい骸骨になるといったヤバさで、光化学スモックで校庭で体育していた生徒が倒れた実話の事件をモチーフに入れたみたいです。(生徒の体育シーンあり)

 

こういったヤバさはゴジラにも影響を与え、いつものゴジラパンチやキック、放射能熱線などがあまり効かないといった具合で、かなり苦戦し自らの身を削って闘いますが、人類との共同作戦で対抗するといった感じになります。

 

とにかく、ヘドラが細胞の連携能力っぽい感じからかなりタフで、最後の最後は、かなり念入りにケチョンケチョンのシオシオのパアにしてやっと勝つといった具合です。

 

ほんで、子供にすり寄った演出もありますが、公害へのアンチテーゼ演出もしなくてはいけないので、人類の犯した贖罪としておどろおどろしさも描き、しかも当時の世相であるかなりサイケデリックな映像も含まれ、例えば当時できたばかりのMugenというゴーゴーバーを再現し、そこで麻里圭子にとんでもない恰好をさせてます。

 

何と全身タイツで、小股にホタテ貝、へそにヒトデ、胸にワカメといったデザインで、このセンスは今でも通じるナイスなデザインで、サイケデリックし過ぎ感がたまりません。

 

そもそもこのゴーゴーバー自体がサイケデリックなのですが、巨大スクリーンに映したアメーバー映像が相当優れた映像で、「アビリティ 特殊能力を得た男」のオープニングでも影響されたかもといった映像が採用されています。

 

この作品、007シリーズに影響を受けた個所もありますが、逆に後世のいろんな作品へかなりの影響を与えたようで、ダイバーがヘドロに襲われるシーンはスピルバーグの「ジョーズ」へ、ヘドロの強酸体液でゴジラがやけど(溶ける)するシーンは「エイリアン」へ、自衛隊が関東・中部地区を全部停電させ300万vの電気(ジュール熱)でヘドロを乾燥させる作戦は「エヴァンゲリオン」のヤシマ作戦へ、水中モード・上陸モード・飛行モードへの進化は「シン・ゴジラ」へ、などちょっと見ただけでもこれだけあります。

 

監督の話では、時間も予算もなかったとのことで、とにかく助監督時代に会得した海中撮影テクニックや、無駄のない撮影進行手法を使って、特撮含め35日で撮影したとのことで、確かに編集は荒いです。

 

さらに実写や特撮にアニメなどいろんな手法を使って演出しており、とにかく人類に対するアンチテーゼ感がとても強く、この辺は初代ゴジラへのオマージュですが、全体的に子供寄りなのにサイケデリック(LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚)といった不思議な作風に仕上がっています。

 

そもそも水爆の放射能から生まれたゴジラと、公害であるヘドロから生まれたヘドラの闘いって、どう考えてもヤバい闘いで、どちらも人類に対するアンチテーゼ生物であり、特に最後の最後で「地球をこんなにしやがって」といった顔でゴジラに睨みつけられる人類にハッとさせられます。

 

これは本作のゴジラはとても知能が高く、人類と共闘し、人類のジュール熱兵器を器用にも使いこなすくらいですから、ゴジラから人類への警告と言うよりも、ゴジラを依り代に地球からのメッセージなのだと感じます。

 

しかも最後の最後の最後に、初代ゴジラのラストと同じものを持ってくるなんてかなりのメッセージ性を感じる作品です。

 

おそらく、観てる最中よりも、観終わって反芻して、これらメッセージを噛みしめている時の方が面白い作品なのではと感じ、観る人を選ぶ仕様になっています。

 

さてさて、今回のMVPですが、これは自衛隊の活躍シーンにします。

 

しかも、上官の命令が伝達されるシーンにします。

 

上官「まだか?」

部下「あと5分です」

上官「1分でやれ!」

 

これが現場に伝達されいつの間にか

 

現場上司「あと30秒でやれ!」

現場部下「はい!」

 

と変化するという超絶パワハラモーレツ表現にします。

 

5分を30秒ってムリムリムリ!

 

昭和のパワハラ怖すぎます。(笑)

 

 

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