侍 | mori17さんのブログ

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「映画大好きおっさん」の映画関連

今回視聴したのは、1965年の「侍」で、DVDにて拝見しました。

 

侍[東宝DVD名作セレクション]

 

監督は岡本喜八、主演は三船敏郎、これも60年近く前の映画です。

 

宣伝文句は「動乱の幕末を切り裂く、痛快、サムライアクション」とのことです。

 

観終わってみると確かにそうなのだけれど、いろいろと前段階があり、例えば主人公の三船敏郎が素浪人の役で登場し、初めは「用心棒」や「椿三十郎」辺りを彷彿させるのですが、その2作と違って本作では、逆に本人の素性の話しを核に据えています。

 

そして謎解きな部分もあり、さらに陰謀に次ぐ陰謀、そこに友との友情と出世を天秤にかけた侍とは何ぞやといった一面ものぞかせています。

 

まあ、この辺はものすごく悪人顔した伊藤雄之助が大活躍してくれて、剛腕で実直過ぎて直ぐ騙される主人公をうまく乗せ、と言うか、主人公の生まれ持った性格なのか、世の中が後天的にそうさせたのか、とにかくラストの衝撃展開へと話が進んで、最後はああなってしまいます。

 

そして三船敏郎が出る映画ですから、やはり殺陣がうまいんです。

 

例えば、主人公が寝ている時、9人の侍に押し込まれ、3人に囲まれた主人公はその3人に首元へ刀を突きつけられ、もう無理だろうと思ったその刹那、瞬間的に身をかがめ、一人を鞘で突きながらもう一人の刀を肩口で撥ね退け、そこから3人一気に一太刀で切り殺すという、スローで見ても早すぎてよく分からんという圧巻さです。

 

また、親友と初見で立ち会う時など、足さばきや間合いなどを重視して魅せる立ち合いとし、抜き身で戦う時には、坂道の上側を取ることで優位に立ち回る戦法を用いるなど、やっぱ昔の剣劇はどこかに必ずリアリティがあって面白いです。

 

プチ情報ですが、ラストの桜田門外の変ではオープンセットを作り、当時の金額で見積額5000万円であったが、最初に監督がコンテを作り、役者の動きやカメラアングルも決め、その計算された通りに撮影するため、カメラに映らないセットは作らず、そういったこともあり制作費用は1500万円ですんだとのこと。

 

さてさて今回のMVPですが、①東野栄治郎、②「侍」という題名、⓷雪、と候補があり、

 

①は、後に「水戸黄門」の黄門さまを演じる東野栄治郎が出ているという点で、水戸藩、正確には脱藩者がおこした桜田門外の変を描いている皮肉。

 

②は、侍になろうとして精進したものの侍になれず苦労を重ね、侍になるために友と決別し、そして侍になったと思った瞬間、世の中から侍が消えた瞬間であったという、何たる因縁、何たる運命のいたずら。

 

⓷は、日本では風情的に雪景色とは奇麗なものとの認識がありますが、本作では雪が降る中でのあの惨劇であり、ただ史実でしょうから、しかも雪が②の悲劇をより一層浮かび上がらせていました。

 

という訳で②の、実に悲しいこの映画のこの部分にします。

 

ただのアクション映画ではない、黒沢映画並みのたいへんな名作でした。

 

 

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