今回視聴したのは、1962年の「妖星ゴラス」でDVDにて拝見しました。
私が生まれる前、今から61年前の作品ですね。
やや音質が悪い程度でかなり画質もきれいで、若い子は知らないだろう古い昭和のしきたりなどの表現もありましたが、正直楽しめました。
CG全盛の今の時代に、特にアメリカのCGだらけの作品より、懐かしの特撮の方が心に来るのはなぜなのか、これが味というやつで、味覚で言うと旨味成分に該当するのかもしれません。
本多猪四郎監督作品の中でも傑作のひとつでしょう。
ゴラスを単に災害としてだけでなく、そこへ人間ドラマをぶち込み、しかも現実感のない市民と当事者達のみが持つ熱意表現など対比が秀逸で、さらには真実味を出すためにデータ収集を核に何が起こっているのかを明確にしていく手法、しかも最後には未来への復興をもにおわせつつ終わるとは、原作や脚本や監督すべてがかなり秀逸です。
っていうか、元ネタは「地球最後の日」辺りだと思いますが、どちらも小学生の頃、TVで観た記憶があります。
「地球最後の日」では、人類同士が対立したり、ノアの箱舟的にほとんどの人類が死滅しましたが、本作ではなんやかんや団結してこの問題にあたり、難局を乗り切ります。
恐らく本作では妖星ゴラスが神の存在であり、人類を試したのではないかと感じずにはいられません。
また普通、映画においては主人公に対する悪役が必要ですが、本作ではいわゆる悪役に相当するのが天体であるゴラスなわけで、そうなると悪役をどう表現するのかがミソになり、しかしさすがにそれだけでと苦しいので、古代怪獣や謎の記憶喪失ネタなどを入れてきます。
っていうか、一番最初に原子ロケット隼号がああなっちゃったのは衝撃で、しかも葬式シーンまで入れてから政治家による悪だくみへと続き、この辺は後の「宇宙戦艦ヤマト」や「シン・ゴジラ」などが影響受けたのではと思われます。
また、宇宙船の表現や南極基地の表現、ロボットネタなどは、「禁断の惑星」の影響を受けたように思いますし、小型宇宙船の件などは、逆に「2001年宇宙の旅」へ影響を与えたと思います。
ほんでこういったSF色の強さばかりではなく、関係者に少年を入れて主要人物と絡めることで、観客に分かりやすく状況説明するといった小憎らしい演出も忘れておらず、しかも「禁断の惑星」から伝統の女性の水着を扱ったネタも入れてくれたりと、サービス精神も忘れていません。
そういった意味でも、60年以上前の作品といえどもこんなに計算された作品を普通に作っており、只の娯楽映画では収まらない作品に仕上がっています。
そして本作で、”1.10×10^-6 g”の加速度を出すためのエネルギーをどこから捻出するのかにおいて、普通に水爆技術を使うとサラリと流してますが、かなりヤバい話で、でも国家的エゴイズムを捨てるのだと団結する辺りはムネアツです。(笑)
しかし現実世界では、ホノルル市と広島市が、戦争の始まりと終わりという意味でも姉妹都市ですけど、令和の今、かなりもめています。(涙)
本作みたいによっぽどのことが起こらない限りは人類が団結することはないという事かもしれません。
ヤバいですね。
・猫のユーリさんの動画
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