めぞん一刻館は今建てられるのか?6 最終章 | 建築エコノミスト 森山のブログ

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めぞん一刻に登場する、一刻館のようなアパート、
木造外壁板張り、水回り共有、共用部肥大、管理人さん付きの事業案件についての可能性には、一定の答えが見出せたと思うのですが、

その考察の過程で、一刻館のプラン上のさまざまな矛盾点が浮き彫りになってきたわけです。
平面図を作成したときの、あのデッドスペースの大きさ、
そして各室の界壁押入れのサイドに存在する四角なデッドスペース、
なぜこんな状況になってしまうのか、、
各室の内装デザインを統一するために生じた矛盾なのか、、
と、いったん片付けてみたものの、待てよと、
果たして、漫画の設定ミス、ストーリー重視による置き去りの背景といった解釈でいいのか。るーみっくわーるどなのに、と思い至ったわけなんです。

プランニングの解釈に1週間も費やして出た答えが、
こんな、「はい!デッドスペースでした。」では、
ちょっと納得がいかないんですよね。

で、再度プランを眺めて見ました。
で、デッドスペース部分の特徴的な四角のスペースを見ているときに気付いたんです。
これ、木造と思っていたけど、もしかしてこのデッドスペース部分が構造なんでは?という発見。
とするなら、この建物はRC造かもしくはRCと木造併用なんではないかな、という疑問です。
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検証してみた平面図がこれです。デッドスペースを赤く塗ってみました。
芯が通っており、フレームが構成できる。
そして断面図がこれ、ピンク部分が柱と梁です。
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ちょうどRC(鉄筋コンクリート)のラーメン構造が構成できる感じなんですよね。

ラーメン構造とは、豚骨とか魚介系スープの「らーめん」ではなく、ドイツ語で「枠」を意味する言葉で、コンクリートの構造システムの考え方のうち、壁を主体とする「壁構造」と、柱と梁であとは抜けていてもいい「ラーメン構造」と大きく二つのやり方があるのです。

なぜ、この程度の建物でRC造なのかなと考えたときに、思い出したんです。

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「めぞん一刻」1巻、第4話。連載開始早々に紹介されたエピソードで屋根裏に、
結構でっかい金属製の歯車機構、機械仕掛け時計のマシニング部が存在している。
軽く数トンはあるでしょう。
つまり、この一刻館で単位面積あたり最重量物が屋根裏に隠されていたんです。

これを支えるための構造部位としては、やはりRC構造が必要になる。
つまり、木造の皮をかぶったRC造。

羊の皮を被った狼、それが、一刻館。

ということで、同時に氷解するのが、めぞん一刻における最大の謎、
四谷さんによる4号室押入れから5号室への丸太による壁ぶち抜き行為の実現性です。
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元々、木造を想定していたころは、四谷氏がカリカリ、コジコジ壁を削って穴を開けたんだろうと考えていました。

しかし、彼は何度か丸太による一発打ち抜きという技を出しています。
しかもひとりで。

これをやるためには、人力で丸太を抱えて突っ込むことなど不可能です。
丸太の末口、元口で直径30~40センチくらいで、長さ2m程度となると、
断面積×長さ×木材比重、0.28×2×(0.4~0.6、乾燥材か生木かにもよりますが)
重量で220キロ~330キロくらいはあります。
木口の年輪に割れが見られることから乾燥材と思いますが、、、
この丸太をお寺の鐘突きのようにどこかに吊っておく必要がある。
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つまり、四谷さんは壁抜きがいつでもできるように、
このRCラーメンの梁部分にチェーンで丸太を吊っていた可能性です。

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しかも主構造がRC造だから、この界壁は二次部材として非構造壁でしょうね。
そのため、開けた穴の壁の断面に下地が見られない、しっくいだかモルタルだかを固めただけ。
だから、あんなにいとも簡単に壁が抜けているんです。

まあ、こうした木造内部への鉄骨やRC梁の組み込みは、工場併用住宅や店舗併用住宅など、機械の設置や道場とかでのサンドバックの吊り下げにも応用できる技ですが、

現在は姉歯事件以降の法的規制の影響で構造部の混構造は、普通の役所だけでは審査してくれません。
役所審査のあと、適合性判定機関というところに送られて、確認申請に3ヶ月も4ヶ月も掛かる可能性があり、
また、適合性判定機関がうん、といわなければ再度役所に差し戻されて、何が問題だったのかわからないまま、
延々審査の無限ループに陥る可能性があるのです。

しかも、適合性判定機関の構造審査員の人員が足りない行政区域もあったりして、
ちょっと規模の大きいマンションや、構造システムに新規性がある建物などの確認申請は、
この無限審査システム、
役所→適合性判定機関→役所→適合性判定機関→役所→、、、、
というカフカの「城」みたいな状況に嵌まり込んでしまい、購入土地の金利支払い、金融機関の態度豹変などにより、計画中にデベロッパー倒産、設計事務所未払い、工事会社受注消滅、といった連鎖で不況の原因のひとつになっています。


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以上、6回にわたって
今一刻館を建てるためにはどうすればいのか?について考察してきたわけですが、
さまざまな問題点を乗り越えなければならない現実が浮き彫りにされました。

デザイン的には、外壁を板張りにするための準防火地域における仕上げノウハウ、
事業的には、風呂無し水回り共同にした場合の利回りと事業コンセプト、
そして、やるかやらないかは別としてもっとも難しい、屋根裏に数トンの重量物を設置し、四谷さんの丸太による壁抜きを可能にする木造とRC造の混構造システム、
そこまでは、なんとかクリアすることができそうなんです。

しかし、めぞん一刻館を実現するためには、

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管理人さんとして音無響子さんのような人を招聘できることができるのか、
そこをクリアできるかどうか、
これが、一番の問題点であることは言うまでもないでしょう。


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