まゆまゆ

黄色いお花のミモザ

ここのところ花屋の前を通るとミモザの切り花が出ているのをよく目にします。小さなコロコロ太郎がたくさん連なっている感じがとても好きなので買おうかなと思うのですが、どのお店も何気にうっすら高い！ということで、『あぁミモザだなー』と思いながらそのまま通過するわけです。そして通過しながらいつも思うことがあります。それはピアノの先生『まゆまゆ』のことです。

私の曲で『スーパーカー』という曲がありますが、これを作った時にうまく弾けなくてとても困ってしまったことがありました。（自分でピアノで作った曲なのにうまく弾けないというのが往々にしてある不可解な私です・・・）その時にまゆまゆのところにしばらくレッスンに通ったのです。なぜまゆまゆなのかと言うと、それはまゆまゆが『私まゆまゆです！私のことまゆまゆって呼んでね♡』と言うのでまゆまゆなのでした。

ふんわりとしたファッションに黒目がちなキラキラ目、そしてまゆまゆの発する言葉すべて最後に♡マークが付いていそうな、とにかく相当にステージが高いまゆまゆ。そしてそのメルヘンなノリとはうらはらに、ガチモンのDIYもこなすマッチョな一面もありまったくもって隙がないのです。どれくらいマッチョなDIYかと言うと、棚を自作しました♡とかそんなレベルではなく、

家を改造している！

おそるべしまゆまゆですよ。

はじめてまゆまゆの所有するまゆまゆの館（たしか本人がそう呼んでいたような）へレッスンへ行った時はほんとにひっくり返りました。玄関も床も壁もドアもドアノブも、階段の板も手すりも、キッチンも、もうなにもかもがめちゃくちゃかわいく施されていて絵本の世界のよう！思わずわぁっと声をあげてしまうほどです。わぁっと声をあげて喜んでみて回るとその仕事がちょっとハンパではないことに気がついてきました。業者レベルというか大工ですよ。まじなのか、まゆまゆ・・・と、思わず目を見張りましたが大工道具も好きなんだそうで、話を聞いてみるとトンカチとかそんなレベルではなくもっとガチンコの専門的なものの名前を羅列していましたし、『頭にタオル巻いて仕事するぉ〜♡』と言っていたし、門扉に関しては出来合いの物では納得がいかず近所の板金屋に何度も何度も頼み込んで教えてもらって一から自分で溶接して作ったそうな。まゆまゆなんじゃそりゃっ！板金屋もさぞかしびっくりしたろうなぁ。それを『大変だったわぁ、うふふ♡』ときたもんだ。私口ぽかーんなのでありました。

そんなおそるべしまゆまゆのまゆまゆ館２階のまゆまゆピアノ部屋にてまゆまゆピアノレッスンを受けていたのでした。ちなみに一階が小さな美容室のようになっていたのでこれは何かと聞いたら、なんとまゆまゆは美容師でもあるそうでおそるべしアゲインでした。ある時まゆまゆって一体何者？とたしか聞いたことがありましたがまゆまゆ自身も『私もよくわからないのぉ〜♡』と言っていたのでもう圧勝です。ゼェゼェ！

さて、なぜミモザを見ると毎度まゆまゆを思い出すのかと言いますと、まゆまゆ館には小さなお庭があってそこに大きなミモザの木が2本植っていたのです。かなり立派なミモザの木でした。

で、ある時まゆまゆが困った顔で『ミモザが咲きすぎて大変なことになっちゃって・・・ヒロコちゃんよかったら少し持っていかない？』と言うので『じゃあ少しいただきます』と。さっそく案内されたお庭にいざ出てみたらミモザがまゆまゆ館に襲いかかるほどに見事に咲き乱れていてビックリしました。こりゃほんとに大変だ！すると『ちょっと待ってね♡』と大きな脚立とノコギリを奥から出してきておもむろに大きな枝の根元から切り落とそうとしたので『ちょっと待ったー！』と止めました。そんな大枝どうやって持って帰るんかーい！軽トラ軽トラ！！

とツッコミを入れたかどうだかは忘れましたが、『あはは〜♡そうよねぇ♡』と愛らしくはにかみ笑いをしながら（そして手にはノコギリ）枝先の方を切って大きな花束にしてくれたのでした。しばらくお家の中にたくさんミモザがあってものすごく優雅に過ごすことができました。

これが私とミモザの出会いです。

今思うと、お家の中にたくさんミモザがあるってとっても贅沢なことだったんだなぁ。

だから花屋の店先でミモザが並ぶと、思わず足を止めちゃう。

小さなコロコロの黄色い花たちの中にまゆまゆが『うふふ♡』と隠れているような気がしてならない私です。