こんぶめしセット
シブいネーミングのこのセット。何かと言いますとセブンイレブンのおにぎり2個入りのパックです。
ものすごく薄い色合いのパッケージでちっとも目立たず、棚の端っこにふわぁ〜っと置いてある。ふわぁ〜っというのは、包装袋が中身に対してぶかぶかっぽいのでそれがふわぁ〜っという感じにみえたのです。とにかくあまりにも地味なその見た目に気持ちがぼんやりとして、私自身もふわぁ〜っとなってスルーしてしまったのですが、おにぎりコーナーを離れてから少しして『あれ?そういや今なんかあったよなぁ?あれなんだった?』と思わずおにぎりコーナーにまた戻ったのでした。
あぁ、これか。
うす〜い色のパッケージに『こんぶめしセット』と書いてありました。そしてその横にリアルタイプの昆布の写真。この昆布の写真がさらに地味度を上げていました。なんて地味なんだ!
そんなものすごい地味さ加減でふわぁっと置かれたそのこんぶめしセットでしたが、気がつくとすっかり心を奪われていた私でした。
『こんぶめし』というネーミングも『セット』と表現しているところも、水色とも薄紫ともいえないつかみどころなさげなやるせない色合いのパッケージも、リアルタイプの昆布の写真も、ちょっと恐怖文字がかったフォントの説明文も、そもそも存在感がめちゃ薄なところも、すべてがじわじわと私に押し迫ってきました。なんだこれは!セブンイレブンのおにぎりコーナーの前で突如食らったまさかのボディブローです。
静かにボディブローが効きまくった私は、気がつくとこんぶめしセットを手にして朦朧とレジでお会計をしていました。レジのお姉さんが『お箸もどうぞ』と妙に落ち着いた表情で手渡してくれましたが、このお箸がまるでリングに投げ込まれたタオルのように私の完敗を告げているようでした。こんぶめしセットの圧勝だよ、とレジのお姉さんに諭されたような気がしました。ちなみにこのレジのお姉さんは前髪パッツン&サイド剃り落としのロンドンパンク風でかっこえぇです。
私は無言で箸を受け取り、レジ袋にも入れずにむき出しのこんぶめしセットと箸を手にフラフラとセブンイレブンを後にしたのでした。
続く
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