伊予の経営コンサルタントのブログ -4ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「調剤薬局 24時間店拡大」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、薬局各社が24時間営業の調剤薬局を拡大する動きを伝えています。ドラッグストア最大手のウエルシアHDは2017年2月期までに100店、調剤大手の日本調剤も今の規模から拡大する方針とのことです。背景は、もちろん高齢化の進展により在宅治療患者が増加することに伴う、薬局の利便性向上要求の高まりです。

それでは、いつものように決算の数字から薬局経営の中身を見てみましょう。記事に出てきたウエルシアと日本調剤の直近の決算(今年度の中間決算)から損益計算書を比べてみます。
                                                                                                                    
単位:百万円 ウエルシア 日本調剤
売上高 230,990 100,269
売上原価 166,806 82,369
売上総利益 64,183 17,900
販管費 56,512 13,685
営業利益 7,671 4,214
経常利益 8,201 3,936
純利益 4,413 2,471
     
売上原価率 72.2% 82.1%
売上総利益率 27.8% 17.9%
販管費率 24.5% 13.6%
営業利益率 3.3% 4.2%
経常利益率 3.6% 3.9%
純利益率 1.9% 2.5%
経営レバレッジ 8.37 4.25

ウエルシアはさずが業界最大手と言うだけあって、日本調剤の倍以上の売上を上げています。この量的規模の違いはスケールメリットにつながり、ウエルシアの売上総利益率(粗利率)は日本調剤より約10ポイント高くなっています。

前回の当ブログで、「価値観が多様化している現代では、売上高の大きさ=スケールメリットとはならない」というお話をしましたが、それは完全競争に近い厳しい経営環境に置かれている企業の場合です。今回取り上げた薬局市場は、新規参入が難しい(薬剤師をそろえる必要がある、そもそも薬剤師になるには資格が必要、など)、商品(薬)の差別化が難しい、といった特殊性があります。その上、ウエルシアのようなドラッグストア形式の店舗では商品の個性より売れ筋の規格品をいかに安く売るかの勝負になってきます。これらが、ウエルシアの収益構造にはっきりスケールメリットが現れている理由です。

全体的な傾向として、商品の高付加価値化や差別化がますます必要になってくる経営環境の変化は今後も変わらないでしょう。しかし、経営戦略は自社が提供する商品・サービスと、自社を取り巻く環境の掛け算で決まってきます。もちろんその答えはひとつではありません。書店に行けば、「これからのビジネスはこうだ!」的な指南本があふれていますが、それらを読む前に、しっかりと自社の立ち位置を確認した方が良いでしょうね。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.welcia.co.jp/pdf/0000000470.pdf
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1294579


こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊3面、「大和ハウス 国内最大級 物流施設、800億円で千葉に」という記事から気づいたことを書いていきます。

記事の内容ですが、大和ハウス工業が国内最大規模の物流施設を千葉県流山市に建設することを伝えています。インターネット通販の普及で大型物流施設の需要は今後拡大すると見込んで、約800億円を投じて2018年度に開業予定とのことです。

大和ハウスといえば個人住宅メーカーのイメージが強いかもしれませんが、2001年に子会社の大和団地と合併して以来、実態は不動産開発を本業とするディベロッパーになっています。ですので今日の記事のような案件にも関わってくるのですね。

それでは、いつものように財務諸表の数字を見てみましょう。同じく不動産開発大手の三菱地所と、直近の第1四半期の損益計算書を比べてみます。

単位:百万円 大和ハウス 三菱地所
売上高 693,689 223,847
売上原価 543,260 166,734
売上総利益 150,429 57,112
販管費 91,253 19,848
営業利益 59,175 37,264
経常利益 59,578 33,877
純利益 41,972 26,849
     
売上原価率 78.3% 74.5%
売上総利益率 21.7% 25.5%
販管費率 13.2% 8.9%
営業利益率 8.5% 16.6%
経常利益率 8.6% 15.1%
純利益率 6.1% 12.0%
経営レバレッジ 2.54 1.53

大和ハウスの経営が好調なのは知っていましたが、第1四半期だけで三菱地所の3倍以上の売上高を上げていたとは、私も数字を見るまで知りませんでした。しかし、売上高では圧倒している大和ハウスも、利益率を比べると軒並み三菱地所の後塵を拝しています。つまり費用が多くかかっているということです。これは一体どういうことなのでしょう?

どんな商売でも売上高が大きくなればスケールメリットが働いて原価率は下がるのが道理です。しかし、これは昔の大量生産時代の話。社会が複雑になり、顧客のニーズが多様化した現代では、売上向上には多様なビジネスを展開する必要があります。ビジネスを多角化すればそれだけ細かい仕入・購買活動が必要になり、調達ロットを増やせない分、仕入単価は高くなります。以前に取り上げたセブン&アイHDでも同じ現象が見られましたね。

大和ハウスのHPを見ると、同社が手掛けている事業は住宅、店舗、商業施設、医療・介護施設、環境エネルギー、農業、パーキング、リゾートホテル、フィットネスクラブ、ホームセンター…と実に多岐にわたっています。対して三菱地所の方は、住宅、ホテル、オフィス等、ディベロッパーとしてオーソドックスな事業展開となっています。

例えるなら、大和ハウスは積極的に新事業に乗り出す「狩猟型」、三菱地所は手慣れた分野で確実に稼ぐ「農耕型」の事業展開、と言えるでしょう。どちらが良いかは一概には言えませんが、もし社員として働くとしたら、大和ハウスの方が面白そうではありますね。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.daiwahouse.co.jp/release/pdf/20150807-1.pdf
http://www.mec.co.jp/j/investor/irlibrary/tanshin/pdf/kes201601.pdf



こんにちは、ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「VW、エコカー戦略転換 ディーゼルから電気へ 排ガス不正受け投資削減」という記事から気づいたことを書きます。

記事の内容ですが、ディーゼル車の排ガス不正問題に揺れる独自動車大手のフォルクスワーゲン(以下VW)が、エコカー戦略を従来のディーゼル車中心から電気自動車開発へ転換する、と報じています。そりゃ、あれだけの大規模なリコールをやらかしたのですから、「ウチはこれからもディーゼル車で行きます!」とは言えないですよね。

これから制裁金やら賠償金やらで、一説によれば9兆円近い費用負担がのしかかりそうなVWですが、排ガス不正が明るみに出る前は「ついに世界販売台数でトヨタを抜いた!」ということが話題になっていました。今後を展望する上でも、今日はVWとトヨタの違いを直近で比較可能な今年度第1四半期の損益計算書で比べてみましょう。なお、VWの数字は1ユーロ=130円で邦貨換算しています。
                                                                                                                     
単位:百万円VWトヨタ
売上高7,285,3306,987,648
売上原価5,804,7605,248,790
売上総利益1,480,5701,738,858
販管費1,026,610982,857
営業利益453,960756,001
税引前純利益480,480845,259
純利益355,030646,394
   
売上原価率79.7%75.1%
売上総利益率20.3%24.9%
販管費率14.1%14.1%
営業利益率6.2%10.8%
経常利益率6.6%12.1%
純利益率4.9%9.3%
経営レバレッジ3.262.30

確かに、売上高はVWがトヨタより大きいですね。しかし、VWがトヨタを上回っている数値はこれだけです。特に原価率の低さと利益率の高さはトヨタの圧勝と言っていいでしょう。

この低コスト体質を支えているのは、ご存知「ジャスト・イン・タイム」「かんばん方式」「5回『なぜ?』を繰り返すカイゼン活動」など、世界に知られたトヨタ発の生産方式です。これはおいそれと外国の自動車メーカーがマネできるものではなく、オペレーションの部分で勝てないと悟ったVWは、欧米の厳しい環境規制下では売れないディーゼル車を規制の緩い中国で売りまくって販売量で逆転したものの、筋の悪い商売をしたツケがまわってきた…というのが今の状況です。

VWの財務的な深刻さは、一番下の経営レバレッジに表れています。経営レバレッジとは、限界利益÷営業利益で計算し、その企業のリスクとリターンの関係を表すものです(今回、限界利益は便宜的に売上総利益を使っています)。VWの数値は3.26ですが、これは、「売上高が1%増えれば、営業利益は3.26%増える」、逆に言えば「売上高が1%減れば、営業利益は3.26%減る」ということで、経営レバレッジが2.30のトヨタに比べて、「ハイリスク・ハイリターン」の財務構造ということになります。

この数字を踏まえて今後を考えると、VWは売上高の急減に見舞われるでょうから、それに合わせて利益も加速度的に低下することになります。

売上高や販売量は確かに最も分かりやすい経営指標ですが、それだけで企業の全体像を判断するのはナンセンスです。正しい知識を身につけ、全体的・複眼的に検討する「デキるビジネスマン」を目指しましょう!

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.volkswagenag.com/content/vwcorp/info_center/en/publications/2015/07/HY2015.bin.html/binarystorageitem/file/HY_2015_e.pdf
http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial_results/2016/q1/yousi.pdf