こんにちは! 愛媛の経営コンサルタント、伊予の小峠です。
今日は前回の続きで、柳澤健著『日本レスリングの物語』から私が印象に残った言葉をもうひとつ紹介します。言葉の主は和田貴広氏。1996年アトランタ、2000年シドニーオリンピックのフリースタイル日本代表で、特にアトランタではメダル確実と言われながら4位に終わり、惜しくも表彰台を逃しました。現在は日本レスリング協会男子フリースタイル強化委員長として、来るべきリオ五輪における現場責任者の要職にあります。
和田氏は、メダルを逃したアトランタ五輪のあと、本番前の練習を振り返ってこんな言葉を残しています。
「練習は行き当たりばったりだし、最初から最後まで実践ばかり。自分の長所と短所の指摘も、修正も、技術を習得するためのドリル練習も、試合展開のシミュレーションもまったくなかった」
当時のアマレス界は派閥争いなど、人間関係のもつれから統率が取れておらず、現場では各コーチによる自分勝手な指導がまかり通っていました。その状況を言い表したのが上記の言葉です。当然ながら、五輪をはじめ国際大会での成績も振るいませんでした。
この言葉が気になった理由は、そのまま中小企業の経営の実態を表していると感じたからです。こう言い換えてみたらどうでしょうか?
「経営は行き当たりばったりだし、最初から最後まで実践ばかり。自社の長所と短所の指摘も、修正も、技術を習得するためのドリル練習も、事業展開のシミュレーションもまったくなかった」
中小企業の経営者でありがちなのは、「この業界のことを一番分かってるのは俺だ!」(=コンサルタントなんかに何が分かる!)と、事業のやり方に他者の視点を入れたがらない人です。しかし、そんな人は貴重なアドバイスや気づきを得られず、「一番分かってる」はずの業界の最新事情からも遅れをとり、いつしかビジネスの「負け組」に陥っていきます。そう、和田氏が現役だった90年代の日本レスリング界のように。
和田氏が指摘したように、レスリングも経営も、まず「自分の長所と短所の指摘」から始まります。その指摘を的確に行うのが、レスリングではコーチ、そして経営では我々のようなコンサルタントの仕事です。レスリング界はこの90年代の失敗から学び、前回のロンドン五輪では6大会ぶりの男子金メダル(米満達弘選手)を獲得しました。
良きコーチは、長所と短所を的確に見抜き、修正ポイントを与え、ドリル練習に付き合い、本番のシミュレーションを考える。最後の「本番のシミュレーション」を「経営計画」と言い換えれば、そのままコンサルタントの行動指針として使えそうです。肝に銘じたいものです。
※今日の一枚
先日松山出張したときに乗ったアンパンマン列車です(^^) 1日何本も走っているようなので、四国にお越しの際はぜひ!

