伊予の経営コンサルタントのブログ -5ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「ファミマ・ユニー統合合意 来年9月 コンビニ、3極が競う」という記事から気がついたことを書きます。

記事の内容ですが、コンビニ業界3位のファミリーマートと4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスが来年9月までに経営統合することで合意したと伝えています。これでコンビニ店舗数は2位のローソンを抜き、最大手のセブン-イレブンジャパンに肉薄する規模となります。今後、3極に集約されたコンビニ間の競争は、生活インフラとしての機能を競う段階に入る、と記事では分析しています。

「生活インフラとしての機能」はもちろん大事ですが、コンビニのメイン業務は当然ながら小売りです。今日は改めて、コンビニ業界の競争戦略について数字から考えてみましょう。題材とするのは、今回経営統合に踏み切ったユニーグループ・ホールディングスとセブン-イレブンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの決算短信です。直近で比較可能な今年度第1四半期の数字を比べてみましょう。

単位:百万円 ユニーG セブン&アイ
売上高 206,887 1,166,295
売上原価 154,193 900,618
売上総利益 52,693 265,677
販管費 91,124 458,307
営業利益 4,475 81,856
経常利益 4,506 81,181
純利益 -2,686 42,228
     
売上原価率 74.5% 77.2%
売上総利益率 25.5% 22.8%
販管費率 44.0% 39.3%
営業利益率 2.2% 7.0%
経常利益率 2.2% 7.0%
純利益率 -1.3% 3.6%

売上規模の違いもさることながら、利益率も軒並みセブン&アイの方が良いことが分かります。しかし、売上に占める原価の割合(売上原価率)はユニーの方が低く、これだけを見るとユニーの方が効率的な仕入れ、あるいは付加価値の高い商品を売っているように見えます。本当にそうでしょうか? 次に貸借対照表を比べてみましょう。

単位:百万円 ユニーG セブン&アイ
総資産 979,866 5,442,277
流動資産 301,043 2,317,469
固定資産 678,822 3,124,732
(うち有形固定資産) 505,563 1,902,270
流動負債 399,223 2,024,164
固定負債 287,353 979,650
純資産 293,290 2,438,462
     
流動比率 75.4% 114.5%
自己資本比率 29.9% 44.8%
ROA 0.5% 1.5%
ROE -0.9% 1.7%
有形固定資産回転率 0.41 0.61
商品回転率 4.07 5.41
財務レバレッジ 334.1% 223.2%

注目していただきたいのは、下から2番目の商品回転率です。セブン&アイはユニーより1回転以上高く、これは仕入れた商品が短期間で捌けていることを示します。なぜ短時間で捌けるかといえば、きちんと売れ筋の商品をきめ細かく仕入れているからです。

しかし、顧客の好みが多様化する中、きめ細かく仕入れをすればするほど、仕入れロットは小さくなっていきます。つまり多頻度小口配送が必要になったり、大量購買による割引が利かなくなったりするのですね。したがって商品1単位当たりの仕入れコストは高くなり、これがセブン&アイの原価率が高くなっている理由となります。

逆に、ユニーはセブン&アイに比べて商品が滞留する(売れ残る)確率が高いため、仕入原価は下げられても保管費や売れ残り商品の廃棄費用がかさみ、全体としては高コストになってしまうのです。

一見、良く見える数字でも、他の数字と関連させて考えるとその企業の隠れた弱点が見えてくる場合があります。今回のファミマ-ユニーの統合が、こうした経営の根本問題の改善に踏み込まず、単に規模の拡大だけを追ったものであれば、王者・セブン-イレブンの牙城を崩すのは容易ではないでしょうね。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.unygroup-hds.com/ir/library/earnings_reports/document/1505tanshin_unygroup-hds.pdf
https://www.7andi.com/dbps_data/_template_/_user_/_SITE_/localhost/_res/ir/library/kt/pdf/2015_0707kt.pdf






こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊16面、「銘柄診断 ピジョン一時8%高 消費財関連に買い戻し」という記事を取り上げます。

記事の内容ですが、今回の中国発株価暴落により軒並み値を下げた中国関連銘柄のうち、いち早く反発した銘柄としてベビー用品大手のピジョンを取り上げています。記事の分析によれば、品質に定評のあるピジョンのような消費財関連企業は、不況期でも業績が底堅いと思われているようです。

それでは、いつものように数字を見てみましょう。直近の決算数値を、ベビー用品小売り大手の西松屋と比較してみます。まずは損益計算書から。

単位:百万円 ピジョン 西松屋
売上高 84,113 128,526
売上原価 45,830 81,272
売上総利益 38,296 46,799
販管費 25,515 41,486
営業利益 12,780 5,312
経常利益 13,299 5,512
純利益 8,451 3,255
     
売上原価率 54.5% 63.2%
売上総利益率 45.5% 36.4%
販管費率 30.3% 32.3%
営業利益率 15.2% 4.1%
経常利益率 15.8% 4.3%
純利益率 10.0% 2.5%

私はこれを見て、「わかりやすっ!」と思ってしまいました。ピジョンの売上高と西松屋の売上原価をご覧ください。ほぼ同じ数字であることがお分かりいただけると思います。これはきわめて乱暴に言えば、「西松屋はメーカーであるピジョンからすべて仕入れ、それに約37%のマージンをつけて売っただけ」と考えることができます。

また、営業利益にずいぶん差があるように見えますが、これは西松屋が地主に支払う地代ということで説明がつきます。つまり、店舗の運営コストがかかる分だけ、西松屋の収益性はピジョンより低いということになります。

次に貸借対照表を見てみましょう。

単位:百万円 ピジョン 西松屋
総資産 72,367 89,499
流動資産 47,027 68,041
固定資産 25,339 21,457
(うち有形固定資産) 21,383 7,168
流動負債 15,272 33,907
固定負債 9,797 2,044
純資産 47,297 53,547
     
流動比率 307.9% 200.7%
自己資本比率 65.4% 59.8%
ROA 18.4% 6.2%
ROE 17.9% 6.1%
有形固定資産回転率 3.93 17.93
総資産回転率 1.16 1.44
財務レバレッジ 153.0% 167.1%

もっとも顕著な違いがあるのは、有形固定資産回転率です。メーカーであるピジョンは、土地や工場に加え生産設備を自前で持つ必要がありますが、小売りの西松屋は、借地に建物さえあれば、他の固定資産はそれほど必要ありません。したがって経営の効率性は、収益性とは逆に西松屋の方がピジョンより高いということになります。

まあ、業界が同じというだけでメーカーと小売りの財務体質を比較することがナンセンスかもしれませんが、少なくともベビー用品業界では、サプライチェーン間で持ちつ持たれつが機能している、と言えそうです。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.24028.jp/ir/pdf/H27.2tansin.pdf
http://www.pigeon.co.jp/ir/pdf/2015_01.pdf

こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「東芝、来月に新経営陣 不適切会計、歴代3社長が辞任」という記事を取り上げます。

記事の内容ですが、不適切会計問題で揺れる東芝の田中社長が記者会見し、田中社長を含む歴代トップ3人および社内取締役8人の辞任を発表したことを伝えています。

一部から「監査法人は不正を見抜けなかったのか?」などという意見も聞かれますが、今日は財務データから今回の不正会計が見抜けたかどうか、検証してみたいと思います。取り上げる数字は、不正会計が始まったとされる2008年度と直近の通期決算が確認できる2013年度の、売上高と棚卸資産の推移です。

なぜこの2つの数字を確認するのかというと、今回の不正に「在庫を増やして利益をかさ上げする」という手法が用いられたからです。在庫=棚卸資産が増えると、製造原価に占める固定費の製品1個当たりの単価を下げることができ、「売上は伸びてないのに(見かけ上)費用が下がって利益が増える」という操作が可能になります。この観点から、東芝の推移をパナソニックと比較してみましょう。

売上高
単位:百万円 東芝 パナソニック
2008年度 6,654,518 7,765,507
2013年度 6,502,543 7,736,541
増加率 -2.3% -0.4%

棚卸資産
単位:百万円 東芝 パナソニック
2008年度 758,305 771,137
2013年度 934,018 750,681
増加率 23.2% -2.7%

売上高は、両社とも微減です。しかし棚卸資産=在庫は、パナソニックが売上の減少に合わせてダウンサイズしているのに対し、東芝は2割以上も増加させています。気づきにくい数字の動きではありますが、「売上が伸びてないのに在庫が増えた時は気を付けろ」というのは財務分析の基本であることも確か。そう考えると、やはり私は監査法人にも責任の一端があるのではないかと思います。

なお、一部のコメンテーターが、「これは完全に粉飾決算だ!」などと言っていますが、いま報道に出ている事実以上のものがなければ「粉飾」とまでは言えません。「財務会計の盲点を利用した、極めて粉飾に近い不正会計」という言い方が(まどろっこしいですが)一番合っていると思います。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/release.html#2009
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2013q4.htm