今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊7面、「ギリシャ、妥協の道狭まる 緊縮譲歩『裏切り』に」という記事を取り上げます。
近頃の経済ニュースの中心になっているギリシャ問題ですが、ご存知の通り緊縮受け入れの是非を問う国民投票は大差で受け入れ拒否、という結果が出ました。今日の記事はその背景を説明する内容で、5年にわたる緊縮財政で生活が苦しくなっているギリシャ国民の声や、ギリシャの国内政治の状況などが紹介されています。
ギリシャは、なぜここまでの苦境に立たされることになったのでしょうか。マクロ経済の数字を使って検証してみましょう。以下の表は、GDPの各構成要素と政府債務および歳入のGDP比の比較です。
| ギリシャ | イタリア | ポルトガル | スペイン | |
| 個人消費 | 72.0% | 60.2% | 64.6% | 59.1% |
| 政府支出 | 16.8% | 20.0% | 19.1% | 19.4% |
| 設備投資 | 12.9% | 16.9% | 15.0% | 18.0% |
| 輸出 | 30.6% | 30.1% | 39.6% | 31.8% |
| 輸入 | -34.4% | -27.2% | -38.2% | -28.7% |
| 政府債務対GDP比 | 174.5% | 134.1% | 128.7% | 97.6% |
| 歳入対GDP比 | 48.5% | 46.5% | 43.7% | 37.8% |
ヨーロッパの中でギリシャと同じく財政が厳しいといわれる諸国と比較してみました。まず、一番下の歳入対GDP比をご覧ください。ギリシャは他の国より比率が高く、これは増税や歳出カット(すなわち緊縮財政そのもの)を間違いなく実施してきたことを示します。一部のマスコミが面白おかしく伝えているように、決してギリシャ国民は自ら身を切る努力を怠ってきたわけではないのです。
それなら、なぜ財政状況は改善しなかったのでしょうか? その答えは輸出と輸入の数字にあります。ご覧いただければ分かる通り、ギリシャ以外の3か国が輸入より輸出の比率が高い、すなわち貿易黒字の状態であるのに対し、ギリシャはその逆、輸入が輸出より多い貿易赤字の状態です。観光業が中心で、外国に売れる産品を持たないギリシャは構造的な貿易赤字国で、これはすなわち「慢性的におカネが外国に出て行く」ということを示します。
稼いだお金より使うお金が多ければ、いずれ財布は空っぽになります。それが今のギリシャが置かれた立場になります。
よく、「日本の国の借金はギリシャ以上だ。だから日本もギリシャの二の舞になる!」的な論調がありますが、ギリシャとの共通点を言うなら貿易赤字のことを問題にするべきだと、私は思います。日本の政府債務対GDP比がギリシャより高い(何と世界ダントツ1位の230%!)ことは確かですが、歳入対GDP比は31.7%と欧州各国に比べて低く、「本来税金を取る代わりに借金で資金調達しているだけ」という考え方もできます。
しかし、貿易赤字は4年連続で、原発の再稼働が進まない現状、この状態が固定化しないとも限りません。日本のような加工貿易国は、原料を安く買い、しっかり付加価値をつけた製品を外国に売って儲けることが、やはり国益にかなうように思います。
いずれにせよ、ここまできたらもうギリシャにはユーロ離脱しか道は残されていないような気がしますがね・・・
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
https://www.cia.gov/library/publications/resources/the-world-factbook/