伊予の経営コンサルタントのブログ -6ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊7面、「ギリシャ、妥協の道狭まる 緊縮譲歩『裏切り』に」という記事を取り上げます。

近頃の経済ニュースの中心になっているギリシャ問題ですが、ご存知の通り緊縮受け入れの是非を問う国民投票は大差で受け入れ拒否、という結果が出ました。今日の記事はその背景を説明する内容で、5年にわたる緊縮財政で生活が苦しくなっているギリシャ国民の声や、ギリシャの国内政治の状況などが紹介されています。

ギリシャは、なぜここまでの苦境に立たされることになったのでしょうか。マクロ経済の数字を使って検証してみましょう。以下の表は、GDPの各構成要素と政府債務および歳入のGDP比の比較です。

  ギリシャ イタリア ポルトガル スペイン
個人消費 72.0% 60.2% 64.6% 59.1%
政府支出 16.8% 20.0% 19.1% 19.4%
設備投資 12.9% 16.9% 15.0% 18.0%
輸出 30.6% 30.1% 39.6% 31.8%
輸入 -34.4% -27.2% -38.2% -28.7%
政府債務対GDP比 174.5% 134.1% 128.7% 97.6%
歳入対GDP比 48.5% 46.5% 43.7% 37.8%

ヨーロッパの中でギリシャと同じく財政が厳しいといわれる諸国と比較してみました。まず、一番下の歳入対GDP比をご覧ください。ギリシャは他の国より比率が高く、これは増税や歳出カット(すなわち緊縮財政そのもの)を間違いなく実施してきたことを示します。一部のマスコミが面白おかしく伝えているように、決してギリシャ国民は自ら身を切る努力を怠ってきたわけではないのです。

それなら、なぜ財政状況は改善しなかったのでしょうか? その答えは輸出と輸入の数字にあります。ご覧いただければ分かる通り、ギリシャ以外の3か国が輸入より輸出の比率が高い、すなわち貿易黒字の状態であるのに対し、ギリシャはその逆、輸入が輸出より多い貿易赤字の状態です。観光業が中心で、外国に売れる産品を持たないギリシャは構造的な貿易赤字国で、これはすなわち「慢性的におカネが外国に出て行く」ということを示します。

稼いだお金より使うお金が多ければ、いずれ財布は空っぽになります。それが今のギリシャが置かれた立場になります。

よく、「日本の国の借金はギリシャ以上だ。だから日本もギリシャの二の舞になる!」的な論調がありますが、ギリシャとの共通点を言うなら貿易赤字のことを問題にするべきだと、私は思います。日本の政府債務対GDP比がギリシャより高い(何と世界ダントツ1位の230%!)ことは確かですが、歳入対GDP比は31.7%と欧州各国に比べて低く、「本来税金を取る代わりに借金で資金調達しているだけ」という考え方もできます。

しかし、貿易赤字は4年連続で、原発の再稼働が進まない現状、この状態が固定化しないとも限りません。日本のような加工貿易国は、原料を安く買い、しっかり付加価値をつけた製品を外国に売って儲けることが、やはり国益にかなうように思います。

いずれにせよ、ここまできたらもうギリシャにはユーロ離脱しか道は残されていないような気がしますがね・・・

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
https://www.cia.gov/library/publications/resources/the-world-factbook/


こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊17面、「会社研究 ミネベア 取り戻した成長力」という記事から思うところを書いていきます。副題には、「『第3の柱』M&Aで築く」とあります。

記事の内容ですが、機械加工品・電子機器分野大手のミネベアの好決算を分析しています。従来の主力である車向けベアリング(軸受け)とスマホ向けバックライトの受注が、製品市場の拡大に伴い堅調で、収益を下支えしたとのことです。今後の課題は、ベアリング・バックライトに続く第3の収益の柱を確立することで、その手段としてM&Aの活用が重要であるとしています。

それでは、いつものように数字を確認してみましょう。ミネベアの損益計算書を、昨年度と5年前で比較してみます。

単位:百万円 2014年度
売上高 500,676
売上原価 380,585
売上総利益 120,091
販管費 59,989
営業利益 60,101
経常利益 60,140
純利益 39,887
   
売上原価率 76.0%
売上総利益率 24.0%
販管費率 12.0%
営業利益率 12.0%
経常利益率 12.0%
純利益率 8.0%

単位:百万円 2009年度
売上高 228,446
売上原価 175,285
売上総利益 53,160
販管費 41,100
営業利益 12,059
経常利益 10,203
純利益 6,662
   
売上原価率 76.7%
売上総利益率 23.3%
販管費率 18.0%
営業利益率 5.3%
経常利益率 4.5%
純利益率 2.9%

業績の改善は一目瞭然です。5年間で売上高は倍増以上、各利益率もかなり改善されています。しかし売上原価率、総利益率を見てみると、5年前とほぼ数字が同じであることがお分かりいただけるでしょう。この業績改善の要因を一言で表現すれば、「売上高の増加に対する販管費の増加を最小限に抑えたから」ということになります。

販管費のコントロールが利いたことは確かに経営陣の手腕でしょうが、売上高の増大は市場環境がたまたま良くなっただけで、その意味で新しい事業の柱を作ることが経営陣に課せられた課題であるということはよく分かります。

しかし、その手段は果たして「M&A」だけなのでしょうか? 気になるのは、ミネベアの研究開発費が5年前84億円、昨年度96億円と、あまり増えていないことです。業績が好調な今だからこそ、新しい事業の種を自社から生み出すという気概・体制作りが大切なのではないでしょうか。

それにしても、日経新聞は何かというとすぐ「M&Aで事業拡大しろ!」的な記事を載せますね。いくら投資家を意識しているからといって、いや、投資家を意識するからこそ、もう少し地道な研究開発の重要性を説くような論陣を張っても良いような気がするのですが・・・。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.minebea.co.jp/corp/investors/disclosure/earning/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/05/08/e2015_tanshin.pdf
http://www.minebea.co.jp/corp/investors/disclosure/earning/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/09/08/e2010_tanshin.pdf




こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊13面、「八郷体制、寡黙な船出 ホンダ総会『らしさ』強調も・・・」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、17日に開催されたホンダの株主総会のレポートと分析になっています。総会後に新社長に就任した八郷隆弘氏の所信表明の言葉(「ホンダがもっとホンダらしく成長できるようなかじ取りをしていく」)を紹介し、今後の課題はこの「ホンダらしい成長」の具体化と世界販売の拡大、環境・安全技術開発の対応であると分析しています。特に技術開発については、ライバルのトヨタがマツダと広範な技術提携をしているのに比べ、ホンダは「孤高の色が濃い」として、他社との連携を勧めています。

それでは、いつものように決算書の数字を確認してみましょう。ホンダとトヨタの直近の損益計算書を比べてみます。

ホンダ
単位:百万円 2014年度
売上高 12,646,747
売上原価 9,451,965
売上総利益 3,194,782
販管費 2,543,104
営業利益 651,678
税引前純利益 689,609
純利益 966,087
   
売上原価率 74.7%
売上総利益率 25.3%
販管費率 20.1%
営業利益率 5.2%
経常利益率 5.5%
純利益率 7.6%

トヨタ
単位:百万円 2014年度
売上高 27,234,521
売上原価 21,841,676
売上総利益 5,392,845
販管費 2,642,281
営業利益 2,750,564
税引前純利益 2,892,828
純利益 2,173,338
   
売上原価率 80.2%
売上総利益率 19.8%
販管費率 9.7%
営業利益率 10.1%
経常利益率 10.6%
純利益率 8.0%

ホンダはトヨタに比べ利益率の数字が見劣りしており、今日の記事が指摘している通り、「業績がもたついている」という印象は確かにあります。特に大きく数値が違っているのが販管費率で、これは売上高でトヨタの半分以下のホンダが、トヨタとほぼ同額の販管費を計上している結果です。

この販管費の内訳を見ると、ホンダの場合、大きな割合を占めているのは研究開発費です。ちなみに、売上高に占める研究開発費の割合はホンダ5.35%に対し、トヨタは3.54%となっています。

この事実を今日の記事と照らし合わせて考えると、技術開発に対するアプローチとして、ホンダは「自社での内部開発」、トヨタは「外部の専門性を取り入れた開発」を志向していることが読み取れます。現時点では、外部資源を上手く活用しているトヨタが、経営面で優位に立っていると言えるでしょう。

しかしながら、私はあくまで自社の社員を信じ、内部開発にこだわるホンダを応援したい気持ちになります。前回村田製作所を取り上げた時も書きましたが、結局、長期的に見て企業の強みを形成するのは自社で苦労の末手に入れた技術やノウハウだと思うからです。

それにしても、日経の記者って「M&A」とか「効率経営」とか「グローバル化」という言葉が好きなんだぁ・・・。もっと泥臭く頑張ることの大切さに目を向けてもいいと思うんだけど・・・

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.honda.co.jp/investors/library/financialresult/2014/Financial_Result_2014_4q_J.pdf
http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial_results/2015/year_end/yousi.pdf
http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/negotiable/2014_3/all.pdf