伊予の経営コンサルタントのブログ -7ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊19面、「戦略を聞く お金どう使う 電子・車部品でM&A狙う」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、京セラ社長・山口悟郎氏のインタビューです。テーマは記事タイトルにもある通り「お金の使い方」で、約3,500億円と豊富な手元資金を持つ京セラの今後の財務戦略=お金の使い方を訊いています。要約すれば、「基本的に現金は多めに持っていたい」「使うとすればM&Aと、ちょびっとは配当にも回す」ということのようです。

それでは、改めて京セラの財務状況を確認してみましょう。直近の通期決算を、電子部品分野の競合である村田製作所と比較してみます。まず損益計算書から。
                                                                                            
京セラ
単位:百万円2014年度
売上高1,526,536
売上原価1,137,137
売上総利益389,399
販管費295,971
営業利益93,428
経常利益121,862
純利益115,875
  
売上原価率74.5%
売上総利益率25.5%
販管費率19.4%
営業利益率6.1%
経常利益率8.0%
純利益率7.6%
                                                                                       
村田製作所
単位:百万円2014年度
売上高1,043,542
売上原価629,206
売上総利益414,336
販管費199,801
営業利益214,535
経常利益238,400
純利益167,711
  
売上原価率60.3%
売上総利益率39.7%
販管費率19.1%
営業利益率20.6%
経常利益率22.8%
純利益率16.1%

売上高こそ京セラが上回っているものの、利益率の数値では村田製作所の圧勝と言えるでしょう。この差は一体どこから生じたものなのでしょうか? それを探るため次に貸借対照表を見てみましょう。

京セラ
単位:百万円2014年度
総資産3,021,184
流動資産1,457,547
固定資産1,563,637
(うち有形固定資産)261,491
流動負債356,251
固定負債361,310
純資産2,303,623
  
流動比率409.1%
自己資本比率76.2%
ROA4.0%
ROE5.0%
有形固定資産回転率5.84
総資産回転率0.51
財務レバレッジ131.1%

村田製作所
単位:百万円2014年度
総資産1,431,303
流動資産815,849
固定資産615,454
(うち有形固定資産)385,986
流動負債198,534
固定負債93,838
純資産1,138,931
  
流動比率410.9%
自己資本比率79.6%
ROA16.7%
ROE14.7%
有形固定資産回転率2.70
総資産回転率0.73
財務レバレッジ125.7%

私が注目したのは、有形固定資産の額と、有形固定資産回転率です。総資産では倍近い規模の京セラですが、有形固定資産の額は村田製作所より小さくなっています。一見、これは京セラの方が効率的な経営を行っているように見えますが、有形固定資産が少ないということは設備投資が活発ではないことの表れとも言えます。その一方で、M&A投資の規模を示すのれんの計上額は京セラが村田の倍近い数字になっており、京セラの成長が外部資産の活用に依存していることが見て取れます。

逆に村田製作所は、設備投資に加え研究開発費でも京セラより3割ほど多い金額を計上しており、自社における経営資源の開発・蓄積に熱心であることが読み取れます。この「自前の工夫」の積み重ねこそが、利益率の圧倒的な違いになって現れていると言えないでしょうか。

私は決して、M&Aによる事業拡大を否定しているわけではありません。しかし、豊富な資金の使い道は企業買収や配当だけではないはずです。生え抜きの技術や人材を育てることでしか手に入らないものも、きっとあるのではないでしょうか?

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.kyocera.co.jp/ir/financial/pdf/yuho/yuho14.pdf
http://www.kyocera.co.jp/ir/financial/pdf/rt150427.pdf
http://www.murata.com/~/media/webrenewal/about/newsroom/news/irnews/irnews/2015/0430_j/14q4%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1.ashx?la=ja-jp

こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「戦略を聞く 増配継続が経営者の使命」という、ユニ・チャーム社長の高原豪久氏のインタビュー記事から思うところを書いていきます。

この記事の中で、私が引っ掛かったのは最後の高原氏の発言です。記者の「国内投資を増やす考えはありますか」という問いに対し、高原氏は以下のように答えています。

「(前略)工場の余力はあり、インバウンド需要が増えても現時点で投資する必要はない。勤務体制を見直して稼働時間を伸ばせば対応できる」

要するに、「日本国内で設備投資する気はない」ということです。この発言の裏には何があるのでしょうか。いつものように決算書から考えてみましょう。前年度の貸借対照表を見てみます。比較対象は競合の花王です。

ユニ・チャーム
単位:百万円 2014年度
総資産 699,108
流動資産 321,772
固定資産 377,336
(うち有形固定資産) 240,082
流動負債 190,183
固定負債 16,081
純資産 492,844
   
流動比率 169.2%
自己資本比率 70.5%
ROA 9.4%
ROE 6.6%
有形固定資産回転率 2.31
総資産回転率 0.79
財務レバレッジ 141.9%

花王
単位:百万円 2014年度
総資産 1,198,233
流動資産 641,734
固定資産 556,499
(うち有形固定資産) 307,615
流動負債 380,536
固定負債 145,304
純資産 672,393
   
流動比率 168.6%
自己資本比率 56.1%
ROA 11.6%
ROE 11.8%
有形固定資産回転率 4.56
総資産回転率 1.17
財務レバレッジ 178.2%

ユニ・チャームは花王に比べ、有形固定資産回転率でかなり見劣りすることが分かります。従って、高原社長は、まだ資産の効率性を上げる余地があると考え、そのためには市場が頭打ちの日本より、海外の成長市場への投資が重要と考えているのです。

一方、すでに海外売上比率が30%を超え、資産回転率も高い花王の減価償却費と投資キャッシュフローの関係を見ると、減価償却費796億円に対し、有形固定資産の取得費は511億円となっています。これは、1年で工場や設備の価値が285億円分減ったということで、要するにそれほど設備投資に熱心ではなかったということを表しています。

両社に共通していることは、「どうせ儲からない日本では投資なんかしませんよ」という態度が鮮明であるということです。この考え方は、多かれ少なかれ日本の大手製造業に共通のものではないでしょうか。

しかし、これはかなり深刻な問題です。なぜなら、GDPの構成要素である「投資」の値に直結し、わが国の豊かさを毀損してしまうからです。

GDPの他の構成要素である「消費」は円安と消費増税で、「政府支出」は緊縮財政で、それぞれ下押し圧力にさらされています。つまり今の日本はお金を使う人が誰もおらず、GDPの伸びが期待できない状態にあるのです。

「お金を使わずに得られる幸せ」も大事ですが、今一度冷静に「お金を使ってこそ得られる幸せ」についても考えてみた方が良いかもしれませんね。

それでは、また!

※本稿のデータ出所
http://www.unicharm.co.jp/ir/library/earnings/__icsFiles/afieldfile/2015/02/12/1412_Flash_Report.pdf
http://www.kao.com/jp/corp_ir/imgs/results_fy2014_all.pdf



こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊5面、「第一生命、販路拡大で先行」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容ですが、大手生命保険会社の2014年度決算が出そろい、第一生命が売上高にあたる保険料収入で戦後初めて日本生命を抜いたことを伝えています。ただし、利益は依然として日生がトップで、今後の生保経営の帰趨は営業力に加え運用力に左右されると分析しています。

それでは、いつものように両社の決算書の数字を比較してみましょう。

単位:百万円 第一 日生
経常収益(a) 7,252,242 7,293,695
保険金等支払金(b) 3,380,827 3,932,183
責任準備金等繰入額(c) 2,271,268 1,709,420
資産運用費用(d) 553,640 140,994
事業費(e) 559,344 563,371
経常利益(f) 406,842 607,241
純利益(g) 142,476 303,758
     
(b)/(a) 46.6% 53.9%
(c)/(a) 31.3% 23.4%
(d)/(a) 7.6% 1.9%
(e)/(a) 7.7% 7.7%
経常利益率 5.6% 8.3%
純利益率 2.0% 4.2%

記事では、「保険料収入で第一が日生を抜いた」と書いてあるのに、経常収益の欄を見ると日生の数字の方が大きくなっています。これは、手持資金を株や債券で運用して得た「資産運用収益」が日生の方が大きかったためです。その一方、「資産運用費用」の欄を見ると、日生の方がかなり小さい金額になっています。これは、第一に比べて運用でそれほど損をしていないということで、全体として日生の方が上手く資金を運用していることが分かります。

これに対し、「保険金等支払金」の額は第一の方が低く抑えられています。これは文字通り契約者に支払った保険金や解約返戻金の合計で、一般企業になぞらえると「売上原価」に相当するものです。つまり、第一生命は企業経営の基本である「売上高を上げ、原価を抑える」ということがしっかりできている、ということになります。

大まかに言えば、「本業の第一、運用の日生」ということになるでしょうか。しかし、生命保険会社の真の「本業」は、顧客のニーズに合った保険商品を提供することです。その意味で言うと、今の日本の大手生保の商品ラインナップが十分なものであるかどうかは評価の分かれるところだと思います。

生保会社の好業績は、契約者の無知と無関心によって成り立っている・・・などと辛辣なことは申しませんが、少なくとももっとシンプルな商品を増やしていただきたいと思っているのは、私だけでしょうかね?

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://www.nissay.co.jp/kaisha/annai/gyoseki/pdf/h26_4_nihon_b.pdf
http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/results/kessan/2014/pdf/index_001.pdf