久しぶりの更新になりましたが、今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊18面、「銘柄診断 資生堂 6年半ぶり高値 訪日客需要に期待」という記事から感じたことを書いていきます。
記事の内容ですが、化粧品大手の資生堂の株価が昨日、6年半ぶりの高値を更新したことを伝えています。訪日外国人観光客のインバウンド需要増大と、4月の売上高が好調だったことが好感されたようです。ただしPER(株価収益率:株価を一株当たりの純利益で割ったもので、この値が高いと株価が割高であることを示します)は70倍台に達する見込みで、あるアナリストは、「利益成長が伴わなければ、再び売られる局面もありうる」と指摘しています。
それでは、資生堂の業績は、「利益成長を伴」っていないのでしょうか? いつものように数字を確認してみましょう。2014年度と2009年度の損益計算書を比べてみます。
| 資生堂 | ||
| 単位:百万円 | 2014年度 | 2009年度 |
| 売上高 | 777,687 | 644,201 |
| 売上原価 | 196,433 | 160,166 |
| 売上総利益 | 581,254 | 484,035 |
| 販管費 | 553,640 | 433,684 |
| 営業利益 | 27,613 | 50,350 |
| 経常利益 | 29,239 | 51,485 |
| 純利益 | 33,668 | 33,671 |
| 売上原価率 | 25.3% | 24.9% |
| 売上総利益率 | 74.7% | 75.1% |
| 販管費率 | 71.2% | 67.3% |
| 営業利益率 | 3.6% | 7.8% |
| 経常利益率 | 3.8% | 8.0% |
| 純利益率 | 4.3% | 5.2% |
売上高は5年間で約20%増加しています。しかし、営業・経常利益は逆に40%以上減少していることがお分かりいただけるでしょう。(純利益はほぼ同じ数値になっていますが、これは2014年度に複数のブランドを事業譲渡したことによる特別利益があったためです。)
売上が増えているのに利益が減っている理由は何でしょうか? 簡単な話で、費用が増えているからです。特に、販管費の増加率は売上高の増加率を大きく上回る約28%となっています。
つまり、アナリストが言う「利益成長」を実現するためには、この販管費を抑える必要があるということです。しかし、販管費の多くを占めるのは広告費や販売員の人件費など、化粧品ビジネスの根幹にかかわる部分になり、特に人手不足が伝えられる昨今では簡単に削ることはできません。ここに、「株主vs従業員」という構図が生まれることになります。
現代の経営者、特に上場企業の経営者は、従業員に報い、利益成長で株主にも報いるという二兎を追うことを求められますが、現実には資生堂の決算書が示す通り、なかなかうまくいきません。従業員が株主のことを思い、株主も従業員の頑張りを慮る、という美しい時代は来ないのでしょうかね・・・
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
https://www.shiseidogroup.jp/ir/library/syoken/pdf/2009/1003all.pdf
https://www.shiseidogroup.jp/ir/pdf/ir20100428_198.pdf
https://www.shiseidogroup.jp/ir/pdf/ir20150427_034.pdf