今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊11面、「100円ショップ出店加速 増税後の節約志向に照準」という記事を取っ掛かりに、100円ショップのビジネスについて考察を加えたいと思います。
記事の内容は、100円ショップ大手4社の今年度の新規出店が450店と、前年比6%増える見通しであることを伝えています。消費増税後の消費者の節約志向を取り込むために、各社とも精力的な出店を続ける予定とのことです。
それでは、いつものようにまずは数字を見てみましょう。業界最大手の大創産業(ダイソー)は非上場企業のため、業界2位のセリアと3位のキャンドゥの直近の通期決算から数字を拾いました。
| 単位:百万円 | ||
| セリア | キャンドゥ | |
| 売上高 | 109,393 | 62,737 |
| 売上原価 | 63,179 | 39,841 |
| 売上総利益 | 46,214 | 22,896 |
| 販管費 | 36,022 | 21,411 |
| 営業利益 | 10,192 | 1,484 |
| 経常利益 | 10,242 | 1,699 |
| 純利益 | 6,194 | 612 |
| 売上原価率 | 57.8% | 63.5% |
| 売上総利益率 | 42.2% | 36.5% |
| 販管費率 | 32.9% | 34.1% |
| 営業利益率 | 9.3% | 2.4% |
| 経常利益率 | 9.4% | 2.7% |
売上規模、利益率ともセリアがキャンドゥを上回っています。特に、売上原価率を6ポイント近く低く抑えていることが高い利益率を可能にしていることが分かります。
100円ショップは、売値が「100円」に決まっているという制約があるビジネスです。ですので、他の小売業のように商品に付加価値をつけて売価を上げる、ということができません。勢い、利益を出す方法はコストダウンしかなくなります。その意味で、セリアはキャンドゥより上手い経営をしていると言えます。
小売業の原価オペレーションの要諦は、売れ筋を把握し、過剰在庫や欠品を避け在庫の回転率を上げることです。それを見る指標の一つに「棚卸資産回転日数」というのがあります。これは売上高を365で割って1日当たりの売上高を出し、棚卸資産(つまり在庫)額をその数字で割ることで在庫の滞留日数を算出するというものです。数字は小さいほど在庫の滞留期間が短い=在庫の回転が速いということになり、望ましいです。
セリアとキャンドゥについてこの棚卸資産回転日数を計算してみると、セリア33.38日に対し、キャンドゥは31.29日でした。つまり、仕入れから在庫管理へ至るオペレーション力はむしろキャンドゥの方が上ということです。
それなのに両社間で利益率に明らかな差がある理由は何なのでしょう? 考えられるのは、セリアは取扱アイテム数を絞り込み、大量発注で仕入れ単価を下げている、ということです。今日の記事の写真キャプションにも、「セリアは女性客に的を絞った生活雑貨をそろえる」とありますので、これは考えられることではないでしょうか。
以前取り上げた家電量販店が各社似たような財務構成だったのに比べ、100円ショップ各社はそれぞれ特徴があって面白いですね。「100円以上の売価がつけられない」という制約条件があるにもかかわらず、いや、制約条件があるからこそ、経営者は逆に知恵を絞って個性を発揮できるのかもしれません。
それでは、また!!
※本稿のデータ出所
http://cando-web.irbridge.com/ja/IRFilling/FinancialResultsPar/011/FRTwoDownPar/02/document_1/20140114kessantannsin.pdf
http://www.seria-group.com/corporate/pressrelease/docs/P_20140515_%E5%B9%B3%E6%88%9026%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1_%E5%85%A8%E6%96%87.pdf