伊予の経営コンサルタントのブログ -32ページ目
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊11面、「100円ショップ出店加速 増税後の節約志向に照準」という記事を取っ掛かりに、100円ショップのビジネスについて考察を加えたいと思います。

記事の内容は、100円ショップ大手4社の今年度の新規出店が450店と、前年比6%増える見通しであることを伝えています。消費増税後の消費者の節約志向を取り込むために、各社とも精力的な出店を続ける予定とのことです。

それでは、いつものようにまずは数字を見てみましょう。業界最大手の大創産業(ダイソー)は非上場企業のため、業界2位のセリアと3位のキャンドゥの直近の通期決算から数字を拾いました。
                                                                                                                     
単位:百万円
  セリア キャンドゥ 
売上高 109,393 62,737
売上原価 63,179 39,841
売上総利益 46,214 22,896
販管費 36,022 21,411
営業利益 10,192 1,484
経常利益 10,242 1,699
純利益 6,194 612
     
売上原価率 57.8% 63.5%
売上総利益率 42.2% 36.5%
販管費率 32.9% 34.1%
営業利益率 9.3% 2.4%
経常利益率 9.4% 2.7%

売上規模、利益率ともセリアがキャンドゥを上回っています。特に、売上原価率を6ポイント近く低く抑えていることが高い利益率を可能にしていることが分かります。

100円ショップは、売値が「100円」に決まっているという制約があるビジネスです。ですので、他の小売業のように商品に付加価値をつけて売価を上げる、ということができません。勢い、利益を出す方法はコストダウンしかなくなります。その意味で、セリアはキャンドゥより上手い経営をしていると言えます。

小売業の原価オペレーションの要諦は、売れ筋を把握し、過剰在庫や欠品を避け在庫の回転率を上げることです。それを見る指標の一つに「棚卸資産回転日数」というのがあります。これは売上高を365で割って1日当たりの売上高を出し、棚卸資産(つまり在庫)額をその数字で割ることで在庫の滞留日数を算出するというものです。数字は小さいほど在庫の滞留期間が短い=在庫の回転が速いということになり、望ましいです。

セリアとキャンドゥについてこの棚卸資産回転日数を計算してみると、セリア33.38日に対し、キャンドゥは31.29日でした。つまり、仕入れから在庫管理へ至るオペレーション力はむしろキャンドゥの方が上ということです。

それなのに両社間で利益率に明らかな差がある理由は何なのでしょう? 考えられるのは、セリアは取扱アイテム数を絞り込み、大量発注で仕入れ単価を下げている、ということです。今日の記事の写真キャプションにも、「セリアは女性客に的を絞った生活雑貨をそろえる」とありますので、これは考えられることではないでしょうか。

以前取り上げた家電量販店が各社似たような財務構成だったのに比べ、100円ショップ各社はそれぞれ特徴があって面白いですね。「100円以上の売価がつけられない」という制約条件があるにもかかわらず、いや、制約条件があるからこそ、経営者は逆に知恵を絞って個性を発揮できるのかもしれません。

それでは、また!!

※本稿のデータ出所
http://cando-web.irbridge.com/ja/IRFilling/FinancialResultsPar/011/FRTwoDownPar/02/document_1/20140114kessantannsin.pdf
http://www.seria-group.com/corporate/pressrelease/docs/P_20140515_%E5%B9%B3%E6%88%9026%E5%B9%B43%E6%9C%88%E6%9C%9F%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A1_%E5%85%A8%E6%96%87.pdf
こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊1面、「カンボジア最大手行 出資 三井住友銀、筆頭株主に」という記事から、カンボジアという国について書こうと思います。

記事の内容ですが、三井住友銀行が9月にもカンボジア最大手のアクレダ銀行に資本参加して筆頭株主になる見通しであることを伝えています。邦銀大手がカンボジアの銀行に出資するのは初めてとのことで、インフラ投資などの資金需要が伸びることを見込んでの動きと分析しています。

今日は、いつものThe World Factbook(https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/cb.html)のデータを使って、カンボジアのSWOT分析をしてみたいと思います。SWOT分析とは、企業診断をするときの分析ツールで、その企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を列挙し、それぞれの対応策を考える中で全体の戦略を策定していくというのものです。基本的なアプローチは、

強み⇒活かす
弱み⇒克服する
機会⇒利用する
脅威⇒回避する
となります。

私が考えたカンボジアのSWOTは以下の通りです。

強み:
・7%を超えるGDP成長率(GDPの74%は個人消費)
・アンコールワットに代表される豊富な観光資源

弱み:
・貧弱な医療、教育体制(5歳以下の37%は慢性的な栄養失調状態)
・深刻な経済格差(人口1500万人のうち、400万人が1日1.25ドル以下で生活)

機会:
・海底油田の発見
・若年層が多い人口構成(総人口の半分以上が25歳以下)

脅威:
・人身売買、少女売春の存在
・タイ、ベトナム、ラオスなど隣国との国境紛争

これらを総合的に考えると、教育インフラを整備して若い労働力を育て(弱みの克服と機会の利用)、生産性を上げてGDPの成長を促進し(強みの強化)、社会的な課題を解決する(脅威の回避)、という国家としての道筋が見えてきます。スタートは弱みの克服、つまり社会インフラの整備から始まりますので、そのための資金需要も旺盛になることが予想されます。三井住友銀は良いところに目をつけたな、という感じです。

もう一つ、私が注目したいのは、この記事を1面に持ってきた日経新聞の意図です。このブログで繰り返し申し上げている通り、日本をはじめとする先進国の長期金利は下落基調に歯止めがかかりません。やや乱暴に言えば、これは、「もはや先進国ではどんな商売をしても大して儲からない」ということを意味します。日経新聞は、「だから海外に出て行かないと儲けられませんよ~」という自社の思いをこの記事に込めている、というのは穿ちすぎでしょうか?

ご意見などいただけると幸いです。それでは、また!!






こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!!

今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊31面、「松阪牛、実は安い肉 木曽路、3店で7000食偽る」という記事から思うところを書いていきます。

記事の内容は、しゃぶしゃぶ店「木曽路」を全国展開する株式会社木曽路が、関西と愛知県の計3店舗でメニュー表示と違う食材を使っていたことを公表した、というものです。松阪牛や佐賀牛と表示しながら、別の安い肉を使っていたそうです。

木曽路は上場企業ですので、HPから容易に決算内容を入手できます。まず、同社の経営内容を数字から検討してみましょう。以下は過去4年間の時系列データです。                                                                                                               
単位:百万円
年度 2010 2011 2012 2013
売上高 43,505 44,150 45,391 45,721
営業利益 258 1,251 1,496 1,390
経常利益 408 1,362 1,637 1,424
純利益 -1,260 417 739 612
         
営業CF 2,035 2,818 2,688 1,792
投資CF -696 -155 -907 -1,144
財務CF -726 -599 -562 -552

これを見た私の感想は、「堅実な、飲食業のお手本のような経営内容」ということです。コスト構成も、「原価、人件費、設備費が3分の1ずつ」という飲食業のベンチマークをしっかり守っています。投資キャッシュフローが最近増えているのが目立ちますが、店舗数は2012年度の172店舗から2013年度は169店舗とむしろ減っています。これは、新規出店・廃止の新陳代謝が活発なこと、既存店の改修等にお金をかけていることを示し、非常に戦略的な経営を行っていることを表します。この戦略性の高さが、今回の不祥事に対する迅速な調査と公表を可能にしたのではないでしょうか。

しかし、なぜ今回のような偽装行為が行われたのか、その原因を財務諸表から読み取ることはできませんでした。仮説としては、「最近業績が悪化して利益確保のプレッシャーが強かった」とか、「店舗間の競争が過度になっていた」ということが考えられますが、これらを数字から証明することはできませんでした。

全体的な印象から言えば、木曽路の今回の危機マネジメントは上手だったのではないでしょうか。ポイントは、迅速に発表したことと、「組織ぐるみではない」ということをアピールしたことです。繰り返しますが、これを可能にしたのは同社の戦略性の高さであり、この戦略性の高さは財務諸表の数字を読めば透けて見えます。

このように、無味乾燥な数字の羅列に見える財務諸表からでも定性的なものが見えることがあります。なかなか面白いところだと思いますが、いかがでしょうか?

今週もお付き合いいただきありがとうございました! よいお盆休みを!!

※本稿のデータ出所
http://www.kisoji.co.jp/company/ir_settlement.html