今日も早速お題に行ってみましょう。本日付日経新聞朝刊15面、「グリー株5.03%保有 ブラックロックグループ」という投資情報のベタ記事を取り上げます。
内容は、アメリカの投資ファンド・ブラックロックグループの日本法人であるブラックロック・ジャパンが、ソーシャルゲーム大手のグリー株を5.03%保有した、というものです。同時に、同じくソーシャルゲームのDeNA株式の買い増しと、良品計画株式の一部売却を伝えています。
直近の決算短信を見てみると、純利益で良品計画が前年比55.8%増なのに対し、グリーは23.0%減、DeNAは25.5%減となっています。なぜ投資ファンドは、業績好調な企業の株を手放し、不調なゲーム会社の株を買い増すのでしょうか?
投資ファンドに限らず、人がなぜ株に投資するかと言えば、「リターンが欲しいから」です。で、株式投資のリターンと言えば、これは2つしかありません。「売却益(キャピタルゲイン)」か「配当(インカムゲイン)」です。
長期的に見れば、好業績企業の株価は上がる可能性が高いので、今回のブラックロックの動きは長期的なキャピタルゲインではなく、短期的な配当狙い、と言えると思います。そこで、配当に関連する財務上の数字を、各社の直近の決算短信から拾ってみました。
| 単位:百万円 | 良品計画 | グリー | DeNA |
| 当期純利益 | 17,096 | 17,347 | 32,807 |
| 繰越利益剰余金(1) | 93,845 | 108,908 | 153,072 |
| 現金および同等物(2) | 25,206 | 65,484 | 65,394 |
| 配当余力率 【(2)÷(1)×100】 |
26.9% | 60.1% | 42.7% |
| 配当性向 | 24.0% | 14.8% | 15.3% |
| 配当利回り | 4.1% | 2.4% | 3.8% |
ここで配当余力率とは、私が勝手に作った指標で(したがって検索かけても出てきません)、これまでの利益の累計額である繰越利益剰余金のうち、どれくらいが現金で残っているか、を示すものです。配当をするためには、もちろん会計上の利益が出ていないといけませんが、現実にはそれが現金という流動性の高い資産で残っていないと配当できません。この数字はグリー・DeNAが良品計画に比べてかなり高くなっています。
逆に、純利益に配当額が占める割合である配当性向、純資産に配当額が占める割合である配当利回りとも、グリー・DeNAは良品計画を下回っています。これらを総合的に考えると、グリーとDeNAにはまだ配当を引き出す余力がかなりありそうです。ブラックロックの狙いはまさにここにあるのではないでしょうか。
早い話が、「現金で持ってるだけなら、もうちょっと配当くれよ~」ということですね。一方、企業側としてはむやみに資本コストを高めたくないので、「いやいや、この現金はこれから新規事業に使うんですよ~」とか言って配当を抑えようとします。グリー・DeNAの株主総会では、しばらくこのような攻防が繰り広げられることでしょう。
今週もお付き合いいただきありがとうございました! どうぞよい週末を!
※本稿のデータ出所
http://ryohin-keikaku.jp/balance/pdf/h26_tanshin.pdf
http://v3.eir-parts.net/EIR/View.aspx?cat=tdnet&sid=1175813
http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1146566&code=2432&ln=ja&disp=simple