『天空の蜂』(評価★★★★☆) | 遠近法で描く中国 -2nd Season-

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

著者:東野圭吾
発行:講談社 / 講談社文庫 / 1998年
ジャンル:小説

久しぶりに書店で購入した本が、この『天空の蜂』でした。
中国に来てから、本は9割以上アマゾンで買っていて、実際書店に行くことも少なくなりました。
また、紀伊国屋書店などの大きな、また人の多い場所は、基本的にぼくは苦手なのです。
本は好きです。

今回はある御約束を実行するため、書店に立ち寄りました。
それはこれまで未体験の、東野圭吾さんの本を読むということです。
きっかけをくださったchiyamiさんに感謝します。
自分の”殻”の中にいただけでは、このタイミングで東野氏の本に出会うことはなかったでしょう。
読んだ小説の数が、年々減っているのも事実です。

さてこの本を手に入れるために書店に入って、さすが著名作家さん、多くの作品が並んでいました。
福岡へ飛ぶために来た、伊丹空港の書店で購入したのですが、まだチェック・インも搭乗手続きも済んでいません。
まさに、リムジン・バスを降りたばかり、という状況でした。
ここでも、自己の感性対時間の勝負でしたね(笑み)。

目に飛び込んできたのは、ブルーの帯に書かれた文字たちでした。
「姿なき敵が乗っ取った 自衛隊の大型ヘリが爆薬と子供を乗せて 原子力発電所の真上に 」
「10時間 極限の心理戦」
「東野圭吾が描いた最大の国家危機」

即決買い、でした。
このタイプの小説を読んだ経験としては、最近では、春江一也氏の『上海クライシス』、村上龍氏の『半島を出よ』があります。
国家的危機というテーマを描くには、それなりの小説家としての力量が問われます。
村上龍氏の作品は、流石と唸らせるものでしたが、春江一也氏の作品では、物足りなさを感じました。
さて東野圭吾氏は、どう描いてくれるのか、大変期待しました。
小説の紹介において、無粋なネタばれはしたくありませんので、その点はご理解ください。
付け加えてふと感じたことは、今回の帰国時に観た映画も水谷豊氏出演の『相棒』だったということ。
これは自分の感性が、国家規模の重大事件というものに対してアンテナを張っているのかなとも、思えるのです。

東野作品は、ぼくの期待に、2割ほどの意外性を含めて応えてくれました。
主な東野氏の作品が、殺人ものを中心とした心理ものを手掛けていることもあり、登場人物の心情の描き方が丁寧です。
いわゆるトリックといわれる部分に関しては、この作品に関してなら、ヘリコプターの構造や、防衛庁(当時)の組織、原子力発電(高速増殖炉)の知識が必要です。
その部分では、著者にアドバンテイジが発生しています。
しかし機械や組織をつくるもの、構成するものは、絶対的に人、なのです。
人の描き方、とくにこの作品では子供たちの心情の描き方が、印象に残りました。
誰しも、みないつかは子供だったのです。
この物語の、本当の加害者は誰で、被害者は誰だったのか。
また原子力発電という”夢のエネルギー”は、はたして未来の子供たちに幸せを与えるのだろうか。
そんなことを読後に一人、考えさせられる作品に出逢えたことをうれしく思います。

最後に、講談社文庫のフォント(字体)やレイアウトは、いつ読んでも苦手です。
一番好きなのは、新潮文庫、次は角川文庫、それ以外は全部苦手なのです。


参考記事「伊丹から」


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