METライブビューイング グノー ロメオとジュリエット | 翡翠のブログ

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今日は、いつもの火曜日の仕事が無くなったので(というか移動になったのですが)、これ幸いと、METライブビューイングを観に行ってきました。

 

グノー《ロメオとジュリエット》(ロミオとジュリエット)

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:バートレット・シャー
出演:ネイディーン・シエラ、ベンジャマン・ベルナイム、ウィル・リバーマン、フレデリック・バレンタイン、サマンサ・ハンキ

 

グノーのオペラ「ロメオとジュリエット」は、まだ観たことがなかったので、今回初めて観ることができました。

 

原作のシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は以前に読んだことがあり、戯曲形式の物語はあまり好きではないと思っていたのですが、読んでみたら翻訳のおかげもあってか、美しいセリフだなと思って面白く読んだ記憶があります。またセルゲイ・プロコフィエフのバレエ『ロミオとジュリエット』を動画でですが観たことはあります。あのCMでも使用された有名な曲「騎士たちの踊り(モンタギュー家とキャピュレット家)」は、バレエでも、とーってもカッコよくって、バレエをいつか観てみたいと思っています。

 

セルゲイ・プロコフィエフのバレエ『ロミオとジュリエット』を基にした楽曲の演奏会は、名フィルで、

 

また、フォルクハルト・シュトイデさんのヴァイオリンリサイタルでも聴けました。

 

プロコフィエフのバレエ版の曲は、こんな感じでチラチラたまにあったのですが、グノー版オペラは聴く機会も観る機会もなく。

以前に星組 宝塚大劇場公演 『ロミオとジュリエット』 LIVE配信は観たことがあって、これは素晴らしかったですけれど。

 

ライブビューイングの特典映像の解説でも、グノー「ロメオとジュリエット」の上演が久しぶりともあったので、そこまで公演頻度は高くない演目なのだろうか? そもそもグノーの「ファウスト」も、舞台で観たことはなく、観る機会もなく、「オペラの歴史」を読んだ際にDVDで観ただけです。

 

ただ、グノーの「アヴェ・マリア」はすごく好きだし、「ファウスト」も好みだったので、今回のグノー「ロメオとジュリエット」も、期待大で観に行きましたし、期待通りでした。

 

最初、始まった辺りでは、オープニングの音楽はすごく好みで良いけれど、配役の方は原作のイメージからは違うなと感じて。原作だとロミオとジュリエットは二人とも若い、特にジュリエットなんて13歳という設定で、初めての恋で一気に燃え上がり燃え尽きてしまった悲劇感が強い。それに対してオペラだと、やはり歌える方、主役がやれる方となるとベテランの歌手になるので、イメージより年齢は上がるのは仕方ないし、それは今回のロミオとジュリエットに限らず、METでも来日公演でも同様なのですが。ただMETライブビューイングだとスクリーンに歌手の方が大映しになるので、舞台の様に「心の目」で想像力で補って観られないので。「ロミオは老けているなあ、ジュリエットは肉感的だなあ、登場する男性たち、みんな髭はえているなあ」と感じてしまいました。

 

しかし、ロミオとジュリエットの歌が、ソロが始まると、そんな気持ちはふっとびました。出会いの後、ロミオがジュリエットを想って忍び込み、群青の夜空の星になぞらえて歌う歌、二人の二重唱、新婚の夜が明ける時のヒバリとナイチンゲールの二重唱、ジュリエットが仮死状態になる薬を飲む前の歌、等々、どれも素晴らしくて、グーっと歌に引き込まれて、スクリーンに引き付けられました。素晴らしい。

二人以外にも、ロミオの友人のメルキュシオのマブ女王の歌も良かったし、ロメオの小姓ステファノのズボン役の歌も良かった。でも、やっぱり一番は、二人の二重唱。そうか、ナイチンゲールは夜に鳴く愛の鳥で、ヒバリは夜が明けて朝が来てしまったことを告げる鳥なのだなあと、これから、これらの鳥を観たり鳴き声を聴いたら、思い出しそうです。

 

グノーのロメオとジュリエットは最終的には二人ともが死ぬ悲劇である点は変わらないけれど、ロメオが死ぬ前にジュリエットが目を覚まし、二人が亡くなる前に会い、言葉を交わし歌を交わすところが、原作のシェイクスピアとは違っていました。それぞれが、良さがあるとは思いますが、歌を聴かせるオペラとしては、最後に歌い合う場面があって一層良いようにも思いました。