裁量的財政支出と、裁量的財政政策(支出政策)の違い | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

つまり


裁量的支出
→政府の判断で支出額を決める

と、

裁量的財政政策

(裁量的支出政策)
→景気や何らかの理由を基準にして、政策として支出額を変動させる

とは違う、とゆうことですかね。

支出額(価格)を決める主体が純粋に政府の決定によるのか、景気動向に合わせ市場が決めるのか、の違い。

 

 景気がどうあれ必要なもんは必要だし、景気がいいからって必要な支出がなされないんじゃ国民が困ってしまう。


 支出額を決めるのは政府(国民)の裁量だけど、景気とかに左右されて増減してたら、市場経済に引きずられた決定になっているわけで、実質的に決定権は市場経済にあることになってしまう

 

 財政支出に組み込まれるビルトインスタビライザーは、要はこの手の国民生活の安全保障に関わる支出のことであって、ここが削減されるということはビルスタも削られるってのと同義。

 

 

と、いうような連ツイをしたんですが、

 

これに関しては

群馬が誇るグンマ―MMTer

りっきーさん(@wankonyankorick)が、

これに近い議論を解説して下さっているんですよね。

 

 

 

ちなみにりっきーさんの主戦場は、

ブログでもツイッターでもなく、

 

ヤフー知恵袋です。

 

ric********というIDで

MMT関連の質問があるところに

神出鬼没に現れては、

懇切丁寧な解説をして回るという

ヒーローみたいなご活躍をなされています。

 

残念ながらヤフー知恵袋は

まとめ読みみたいなことが出来ないのですが、

 

懇切丁寧過ぎて

下手なMMT本より解り易くて読み応えも満点という

 

何か無料にしとくの

もったいないレベルのクオリティです。

 

書籍化できないんですかねコレ。

 

マジで金取れると思うんですけど。

 

さて、りっきーさんの解説を抜粋してみます。

 

製造業の設備投資にとって重要なのは、景気をよくすることではなく、経済を安定させ企業の不確実性を減らすことだと考えています。そのために政府の裁量的支出は、民間の投資額(一時的なものではなく、景気循環を均した平均値)に対してある程度の水準の規模(アメリカについては現在の支出額よりかなり大きくなる)景気循環にかかわらず継続的に維持することが必要だ、と言います。そして景気循環に対してはJGPなどの形で完全雇用を継続することで、景気循環にアコモデートする形で政府支出を非裁量的・自動的に変動させ、そうすることを通じて家計の支出を相対的に安定させる。政府支出と家計部門支出が安定することを通じて、企業の不確実性を減らして設備投資を安定させることが重要だ、という考え方です。

要するに、

景気循環とは関係なしに、

ある程度の規模の安定的な公共投資(財政支出)をベースにして、

景気変動による経済の不確実性を抑制し、

「設備投資したけど無駄になって損した!」

ってのを予防する。

 

景気循環に対してはJGPなどの制度をベースに

非裁量的・自動的に変動させることによって、家計を安定させる。

 

景気が悪くなれば失業者が増えたり賃金が下げられてしまうので、

JGPの制度があれば必然的にJGP予算が膨らむ、

つまり自動的に膨らむというわけですね。

 

私が以前書いた記事、

 

この財政支出はビルトインスタビライザーという話は、

りっきーさんの解説の前半部分、

経済を安定させ企業の不確実性を減らす

というところとほぼ同じイメージで書いています。

 

書いた当初(っていうか今でも)、

ボッコボコどころかしれっと無視されている

“財政支出はビルトインスタビライザー説”

なわけですが、

 

まぁ今から考えてみれば

バラマキカルトに理解してもらおうなんて

無理な話ではあったかもしれません。

 

そして表題にもあるような、

裁量的財政支出と、

裁量的財政政策

(裁量的支出政策)との違い。

 

細かいようですが、一言注意しておきますけれど、MMTは政府の裁量的な支出に否定的なのではないですよ。そうではなくて「裁量的支出政策」つまり、裁量的支出を、文字通り裁量的に上下させることに、否定的なんです。「裁量的支出」と「非裁量的支出」の区別というのは、政府が支出額を任意に決定できるかどうかの違いです。政府が任意に額を決定できるなら、「裁量的支出」。MMTでは、裁量的支出自体は否定するどころか、アメリカについては大幅に増やすべきだ、としています。彼らが否定しているのは、その額を、景気変動に対応していたずらに増やしたり減らしたりする政策なんです。裁量的支出政策に反対する、というのは裁量的支出そのものをなくせ、と言っているのではありません。これは、質問者さんにはわかっていることかもしれないけれど、しつこく言っとかないと勘違いする人が絶えないからね。実は以前はおいらも「裁量的支出には反対」みたいな書き方をしていたんだけれど、今は意識して改めるようにしました。

 

要するに、

 

 

ということでしょう。

 

結局予算を決めるのは政府じゃねえか、

 

っていう話から、

裁量的財政支出をイメージもする方もいるでしょうけど、

 

基本的に政府ってのは、

民間企業と違って景気動向に関係なく

支出予算を決めることができます。

 

それゆえに景気動向に関わらず

政府(国民)の裁量で

国民の生活安全保障に必要な支出が出来る

わけですが、

 

それが景気動向に影響されて

政策的に支出額が変動させられてしまう

というのでは、

国民生活の安全保障に支障が出てしまう。

 

(今の日本がまさにそれですけど)

 

景気がいいからって財政支出を抑制したり、

財政赤字が大きいからって財政支出を抑制したり、

景気が悪くて財政支出を増やしたのは良いけど、

景気が良くなってやっぱり財政支出を抑制されたりしたんでは、

 

その財政支出を当て込んで

設備投資を一生懸命やった企業は梯子を外された格好になり、

経済の不安定性を高めてしまうでしょうし、、

 

何より国民生活の安全保障に必要な支出がどれだけあるのか

という極めて重要な問題を無視した形で

財政政策(予算)が決められてしまうことになります。

 

要するに、

国民の生活を守るんだ!

という確固とした政策的信条の下に、

財政支出の予算が組まれていれば、

 

景気変動に合わせた財政支出額の変動なんて

起こりようはずがないわけで、

 

目先の財政収支や、経済情勢に惑わされて

財政支出額をコロコロ変えるような政策というのは、

国民生活を完全無視して

経済指標を追っかけてるだけの

クソッタレな政策的信条

の下に行われるということです。

 

(今の日本がまさにそれですけど)

 

まぁ私的には、

財政支出がビルトインスタビライザーに該当するかどうかってのは

正直どうでもいいんですよ。

 

私が本当に強く主張したいのは、

 

国民の生活を守るんだ!

という確固とした政策的信条が

必要なのだ

 

という話なんです。