ツェリ子の部屋〜公共投資 | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

 

illustration by たか

經世濟民猫イラスト集(pixiv)

 

 

はぁ、

 

はぁ、

 

はぁ、

 

はっ!?

 

 

「・・・ようやく捕まえましたよ」

 

 

・・・っ、くっ・・・。

 

 

「手こずらせてくれましたね。

まさか、

これほどまでに逃げ足が速いとは・・・」

 

 

「まぁ、ウチの班長を手こずらせるほどですからね。

物欲に忠実な班長の特性を利用するなど、

機転も利くようだし」

 

 

・・・。

 

 

「さ、おしゃべりはここまで

 

行きますよ?」

 

 

!!!!!???

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

スパン!スパァン!

 

 

いっったい!

 

 

「いつまで寝てるのかしら?」

 

 

 

・・・おはようございます・・・。

 

 

「全く、

逃げ足だけは一級品になったようで何よりだわ。

まさかブリ猫さんの追撃を躱すとは、

予想外でした。

 

たか、

院生、

渡辺。

 

ご苦労さまでした」

 

 

はっ!

 

 

・・・何者ですか?彼らは?

 

 

国民生活安全保障課所属の特殊追跡班

ハウンド・キャットです。

 

貴方のような逃げ足だけに特化した

問題人物を捕縛するために組織された、

NLGSTが誇る猟犬部隊のメンバーです」

 

 

誇るとこ間違えてませんか?

 

っていうか、

 

犬なんですか猫なんですかどっちなんd

 

 

「シャラップ」

 

スパン!スパァン!

 

痛い!

(くっそ、ツッコミが追いつかねぇ)

 

「ちなみにたかさんは、

国民生活安全保障課の

人事担当者でもあります。

這いつくばって三跪九叩頭の礼を尽くしなさい

 

 

はいっ。

いつもありがとうございます!!!

 

 

「・・・さて、

せっかく来ていただいたところで悪いのだけど」

 

 

あの監禁部屋ですか・・・。

 

 

「その監禁部屋なのだけど・・・

使えなくなってしまったの」

 

 

へ?

どゆことです?

 

 

「部屋自体は使えるのだけれど、

アンドロイドが壊れてしまったのよね」

 

 

あの5000億のほとんどを費やした

っていうアレですか?

 

 

「そう。

 

試験運用の段階で、

腕や肩の関節の駆動部分が

スグに壊れてしまう欠陥が見つかったのよ。

 

小川製作所さんに部品をお願いした脚部の出力に、

腕や肩が付いて行けなかったのが原因みたい。

 

こんなことなら、

時間がかかっても

小川製作所さんに

腕や肩もお願いすればよかったわ」

 

 

いやあの、

あんまり現実世界と

同期させるような発言はちょっと・・・。

 

 

「やっぱり短期のやっつけ仕事はダメね

 

お陰でまたラボに通って

動きのサンプル採取からやり直しだわ」

 

 

 

(この上ないほど恍惚としたお顔

していらっしゃる・・・)

 

・・・。

 

って、

え!?

動きのサンプルデータのバックアップとか、

採ってなかったんですか?

 

 

「・・・それがね?

 

ハードの不具合だか何だか分からないけど、

データが飛んじゃったみたいなのよ。

 

バックアップのデータも全部。

 

ホントに困ったものよね

 

 

(そんなにタイミングよく・・・って、

まさか)

 

 

スパン!スパァン!

 

 

痛い!

 

 

余計な詮索は

身のためになりませんわよ?

 

 

(やりやがったな、コレは)

 

 

「・・・まぁ、

アンドロイドにかかる負荷値のデータは残っています。

ハードの開発自体には問題ないから大丈夫

 

(何が大丈夫なんだろう)

 

「それに、

本来公共事業と言うのは

長期の計画に基づいて行われるものです。

 

この手の技術上の問題も織り込み済みで、

トライアンドエラーを繰り返すことで

技術も進歩するでしょう」

 

 

折檻目的のアンドロイド開発

公共事業に入るんです?

 

 

「シャラップ」

 

スパン!スパァン!

 

痛い・・・。

 

 

「そもそも、

財政支出には供給制約というものがあります。

 

公共事業の場合、

単年で一挙に支出を増やしたところで、

受けられる企業が無くなれば、

それ以上は支出出来ませんし、

 

無理に金額にこだわって、

受注できる企業も無いのに

無理矢理支出しようとすれば、

単価を上げるしかありません。

 

これはインフレ圧力になりますから

経済にとって害悪になりかねませんよね。

 

 

だから公共投資や公共事業は、

複数年に跨がる計画を立てるものです」

 

 

(何か話逸らそうとしてないか?コレ)

 

 

スパン!スパァン!

 

ぃったい!

 

 

 

 

 

「…例えば道路や橋、トンネルなど、

巨大なインフラを建設しようとした場合に、

 

建設期間はもとより土地の地質や地形、気候の調査、

それに合わせた部材の吟味や建築技法、

さらに土地の買収、遺跡調査など、

建設に取り掛かるまでの時間も必要になります。

 

だから単年では当然終わらないので、

例えば10年20年とか期間が設定するわけですね。

 

アンドロイドの開発だって、

AI開発からプログラミング、

組み込むデータの収集などソフト面から、

 

ハードの基礎設計から素材の吟味など、

実際にアンドロイドを作り上げるまでに

様々な研究や準備が必要になるのだから、

同じようなものでしょう。

 

こうしたことは、

 

お金をたくさん積んだからといって

パッと出てくるものではありません。

 

ある程度長い時間と労力、

そして蓄積された技術や経験、

そして適切な期間、適切なタイミングでの

設備投資や人材投資、

つまり財政支出が必要になるのです」

 

 

公共投資による供給能力の強化ですね?

 

 

スパァン!

 

ぃったいなもう!

 

その通りです」

 

 

人の頭を正解チャイム代わりにするの

止めてくださいよ…。

 

 

「そして、

公共事業は計画さえ発動してしまえば、

その事業に携わる企業は確実に儲かります

 

しかも、

 

より多くの仕事を受けられれば、

その分儲かりますわね?

 

だから、

公共事業に携わった企業は、

人材に設備に

積極的に投資をします

 

それこそ、

 

借金してまで投資します。

 

何しろ儲かるのが確実ですからね。

借金も安心してできる

というものでしょう」

 

 

つまり、

長期的な公共事業計画が、

企業の設備投資や人材投資を促して、

供給能力が強化される、と。

 

「そうです。

 

そうして強化された供給能力や技術は、

当然、民需を満たす力にもなります

 

つまり、

 

供給能力が限界だから財政支出を削減するのではなく、

供給能力が限界だからこそ、

適切な期間、

適切なタイミングで、

適切な額の財政支出による

公共投資を行うことで、

 

過度のインフレを起こさずに

企業の設備投資や人材投資、

技術開発投資を喚起して、

供給能力を強化することが出来るのです。

 

単年単発短期間の過剰な支出は

インフレを亢進させる可能性がありますが、

 

長期の計画に基づいた

適切な財政支出に基づく公共投資は、

供給能力を着実に強化して、

最終的にインフレを緩和し、

抑制することに繋がるのです。

 

財政支出など、

額を誇っても意味がありません。

 

何に使うのか、

どのくらいの期間、

どのくらいの規模で行うのか、

適切なタイミングで適切な額の支出が

できるかどうかが重要なのです」

 

 

期間と規模が計画されていれば、

企業もそれに合わせて

設備投資や人材投資、

雇用の補充なんかもできますもんね。

 

 

「さて、

お話はここまでです。

 

せっかくだから、

お部屋を使っていただいてもよろしくてよ?

 

さぁさぁ♪

 

 

え、

いやだって、

アンドロイドさんいないし・・・。

 

 

 

「う〜ん、

まぁその点は物足りないですけど、

仕方ありませんものね?

 

 

“物足りない”の主語って、

私じゃないですよね明らかに。

 

 

「もう、遠慮しないでほら♪

 

れんちょん

アルペコ

 

「「はっ」」

 

 

「部屋に案内して差し上げて?」

 

 

「「イエス、マイボス」」

 

 

くっ、放せ!!

 

 

 

 

 

…。

 

 

 

 

…。

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

ぐう・・・。

 

あれ?

 

れんちょんさんって、どこかで・・・。

 

…あ!

 

第一回で私の代わりにシバキ回されてた!

なぜ女性に!?

 

 

 

 

バサ

 

 

 

 

 

え?

何なに?

 

『のんのんびよr』

 

ガチャン

 

しまった!!

 

 

・・・。

 

 

 

・・・。

 

 

 

「〜♫〜♪

 

さぁてと♪

 

モニターモニター・・・

 

って、いない!?

一体どうやって外へ!?

 

 

中尾!

でぃーん!

 

 

 

「「はっ!」」

 

 

 

特殊監禁室の収監者が逃亡したわ!

すぐに追跡しなさい!」

 

 

 

 

「「イエス、サー」」

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ、

 

何かここ最近、

立て続けに見た悪夢(追いかけられる系)のうち、

一番怖かった夢の話なんですが、

 

何とか無事に戻ってくることができ、

この記事を書いています。

 

 

どうやらNLGSTは、

捕獲した人間を洗脳して職員を増やしてるみたいですね。

まるでショッカーみたいな組織のようです。

 

 

くわばらくわばら。

 

 

さて、

 

 

何で私が監禁部屋から脱出できたかって言うと、

 

 

単純に鍵が掛かってなかった、

 

っていうか鍵自体がなかったからです。

 

 

欠陥品ですよネ。

 

 

まぁそういうのも含めて、

 

 

トライアンドエラーを繰り返すことで

技術や品質が向上していく、

 

 

ということなのでしょう。

 

そして、やはり

 

必要なところには

絶対にお金をかけなければいけない

 

という

 

好例ではないでしょうか。

 

ヘンなアンドロイドだけではなく、

鍵と言う

基本的なところにキチンと

お金をかけなければ本末転倒

ということです。

 

 

 まぁ悪夢には違いなかったんですが、

公共事業、公共投資の本質に触れられた

良い勉強の機会だったと捉えることにしましょう。