さて、コロナショックの経済対策諮問委員が政府によって召集されましたね。
政府、コロナ諮問委に経済学者を追加へ 慶大教授ら4人 #新型肺炎 #新型コロナウイルス https://t.co/th0tFybQo2
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) May 12, 2020
慶大教授って段階で絶望を禁じ得ないメンツですが、
この中の一人にトンデモな人が混ざっています。
他の人も()ですが、
恐らくこの人が頭10個分くらいは飛びて出る
んじゃないでしょうか。
タイトルにも挙げた、
東京財団政策研究所研究主幹の肩書を持つ
小林慶一郎氏です。
この人のトンデモなさ加減を知っていただくためには、
ラインハート=ロゴフ事件という、
とある経済学の研究論文にまつわるお話と、
その顛末について知っていただく必要があります。
ラインハート=ロゴフ事件。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
ツイッターの経済クラスタ界隈では、たまに話が出てくるたびに
( ´,_ゝ`)プッ
っていうリアクションが必発という、
鉄板の笑い話もといトホホ案件です。
では、始めてみましょう。
あるところに
カーメン・ラインハート、
ケネス・ロゴフという
オバハンとオッサン、
もとい経済学者がおりました。
この二人は、連名で
‟Growth in a time of Debt”(PDF)という論文を発表し、
その中で
「オイ、みんなヤバイで!
ウチらの研究によるとな、
政府債務がGDPの9割超えると
経済成長率めっちゃ下がるらしいで!
借金し過ぎると、
成長できへんようになるんやで!」
と主張。
折悪しく、時はリーマンショック後の不況にあえぐ世界経済。
「え、マジで?
それ、ダメなヤツやんか。
国の借金、無くした方がええんとちゃう?」
各国首脳は微妙にざわつき始めます。
その中で一人、この論文を真に受けて、
ガチで緊縮財政に舵を切ったのが、この人。
当時のイギリス首相、
デイヴィッド・キャメロン。
「マジかソレ?
アカンアカンアカン。
リーマンショックから経済立て直さなあかんのに、
それはアカン。
よしゃ、
緊縮財政や!」
そういうわけで、
イギリス政府は、2010~2014年の間に、
凄まじい勢いでの緊縮財政を断行します。
・付加価値税(消費税)率引き上げ
15%→20%
・公立学校の授業料の値上げ
・児童手当等の削減
・公務員給与の賃上げ凍結
・地方財政補助金をマイナス27%削減
・公務員数50万人削減
・年金支給年齢の引き上げ
etc…
緊縮財政に慣れた日本人でも
結構ドン引きなレベルですよねコレ。
その結果、イギリス経済はこんな感じで低迷。
2014年まではちょっと伸びてますが、以降は低迷。
実質経済成長率の伸びと比べて、2015まで下落、以降V字回復してますが、経済成長率とともに低迷、2017年以降下り坂というのが不安を残します。
そして実質賃金。
2014年まで一気に下落。
そこから何とか持ち直しますが、緊縮財政開始直後の水準に何とか戻るかどうか。
まぁ、国民生活ガッタガタになったのは
想像に難くありません。
GDPの変化は多少変化しても、
実生活上実感が湧かないこともありますが、
インフレ率、何より実質賃金がこれだけ変化したとなると、
国民からは相当の不満が上がったことでしょう。
キャメロン元首相がラインハート=ロゴフ論文を真に受けたかどうかは解りませんが、当時の情勢を考えると少なくない影響を与えていた可能性はありますね。
そして、2013年。
トーマス・ハーンドンという
マサチューセッツ大学の大学院生の方が、
ラインハート=ロゴフ論文の検証をして、
ある事に気づき、ツッコミを入れます。
>ケネス・ロゴフとカーメン・ラインハートをメッタ斬りにした学生、トーマス・ハーンドンがビジネス・インサイダーに寄稿
>「国家の高負債は成長を削ぐか? ラインハートとロゴフへの反論」(PDF)
「オイコラ、オッサン、オバハン」
「えっ、何なに?」
「お前らの研究な、
データのとり方間違うてるで?」
「嘘、マジで?」
「ほれ、おかしいやろ?」
-------------------------------
・対GDP比で90%を超える国家群、
主に1940年代のオーストラリア、カナダ、
ニュージーランドの14年分のデータが除外。
・定量分析で、政府債務対GDP比90%以上で、
19年以上平均実質2.6%の経済成長していた
イギリスと、
1年間だけ-7.6%だったカナダの
ウエイトが同じ。
・政府債務対GDP比90%以上で26年以上、
平均実質2.6%の経済成長していたベルギーの
データが欠落。
-------------------------------
「お前ら、
政府債務対GDP比90%以上の国の
平均成長率マイナス0.1%や言うとったけど、
ちゃんと計算してみたら
プラス2.2%やったぞ?
しかも、債務対GDP比90%の方が、
30~60%の国より
成長率が高いやないか!
「…あー、ほんまや!
スマンスマン、ついうっかりしてたわ~。
悪気は無いんやで?ホンマに。
…まあいずれにせよ、
政府債務(国の借金)は
減らさなアカンやろ?」
(マジか?
この期に及んで何言うとんねん、
コイツら・・・)
結局この事件、
発表者の
「研究は間違っていたが、
政府債務は減らさなきゃいけない
ということに変わりはない」
という意味不明の発言を残して、幕を閉じます。
研究云々関係なく、クニノシャッキンガーって言いたかっただけじゃねぇのこいつら?
という疑念を残しつつ。
さて、このラインハート=ロゴフ論文自体は、トーマス氏だけではなく各方面から間違いを指摘され、誤りであったことがすでに証明されているわけですが、未だにこの論文を引用して財政再建ガー!と言い続けているオッサンがいます。
誰あろう、
政府によって選ばれた、
コロナショックの経済対策諮問委員、
小林慶一郎氏その人です。
経済成長と財政再建 | 研究活動 | 東京財団政策研究所 小林慶一郎
↑コレなど、2019年に書かれた記事なんですが、
未だにラインハート=ロゴフ論文などを引き合いに出して
財政再建!財政再建!
とはしゃいでおります。
ラインハート=ロゴフ論文の信頼性が否定されてから、
既に6年が経過しているにもかかわらず、
未だに引用を続けている。
常に知識のアップデートが要求される
エコノミストとして、
完全に失格でしょう。
ってか、普通気づくでしょ?
素人でも知ってる話ですよコレ。
結構話題になった話だし↓。
「国家は破綻する」著者ロゴフ氏らの公的債務研究に誤りの可能性=米研究者ら ロイター
「国家は破綻する」著者らが誤り認める、米研究者らの指摘受け ロイター
コラム:ラインハート・ロゴフ研究の誤りに学ぶ=サマーズ氏 ロイター
むしろ
エコノミストのクセに
何で知らねぇんだバカ野郎
という話なんですが、
わざと知らないふりしてるとしたら相当悪質です。
知らなければ庶民以下の無能、
知っててやってれば悪質
という、この経済危機の諮問委員としては
どっちに転んでも不適切な人物が、
コロナ経済対策諮問委員に選出される。
意味が解りません。
さて、三橋貴明氏によると、
1-3月期 仏GDP成長率 年率換算▲21.3%の衝撃 新世紀のビッグブラザー
コロナショックによる世界経済の停滞っぷりは
凄まじいものがあります。
2020年1-3月期のGDP成長率、対前年比・年率換算で示すと、
ヨーロッパ圏でマイナス14.4%
(フランスなんとマイナス21.3%!)
アメリカでマイナス4.8%
と発表されたようです。
※5/18捕捉>
年率換算では、四半期データの前期比成長率の年率換算はあまり意味がない(年率換算自体、予測値的なもので実測値ではない)とのご指摘をいただいたので、対前期比も記しておきます。
2020年1-3月期GDP対前期比
ヨーロッパ圏:マイナス3.8%
(フランスマイナス5.8%)
アメリカのGDPデータは、報道では年率換算のものしか見当たらなかったのですが、個人消費がマイナス7.6%ですから、推して知るべしでしょう。
日本は明日発表されるようですが、
世界経済がこんなんで
日本に影響がないわけがない。
もうすでに、世界経済がイカレ始めている、
つまり世界恐慌が始まっているということでしょう。
そんな状況に対処するために、
庶民以下の認識の人間を
一国の経済政策諮問委員に指名する。
もう、完全にイカれています。
イカれた状況にはイカれた姿勢で対処する!
毒を以て毒を制すみたいな?
σ( ゚Д゚)
お前はバカか?
このような世界恐慌において、
対処法は既に歴史が示してくれています。
そう、
積極財政です。
かつての世界恐慌、
高橋是清による積極財政のおかげで、
日本はいち早く恐慌から脱しています。
すでに回答は示されている
のです。
にもかかわらず、
これですよ皆さん。
経済諮問委員なんぞ
関係ありません。
声を上げていきましょう!