蕎麦のアミノ酸を引き出す方法 | 注文の多い蕎麦店

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最近の風潮として作物が美味いとされる基準は野菜にせよ穀物にせよ
「甘味」が重視される傾向があるんですけど。
糖質依存から抜け出した僕にとって作物の「甘味」は決して重要なファクターではなく。
いかにしてたんぱく質を分解してアミノ酸に変えるか?
が作物の旨味の良し悪しを決定づける重要なポイントだと認識してます。

蕎麦に関しても一般的にはでんぷんから変換したブドウ糖の甘味が美味い不味いの最大の要素になってるので。
とにもかくにもでんぷん質の多い蕎麦が美味いということになるのですが。
僕が一番重要視してるのは蕎麦に含まれる微量のたんぱく質をどれだけアミノ酸として引き出せるか?
ということなんですね。

一般的にはうちのような挽きぐるみの蕎麦に含まれるたんぱく質は全体のおよそ12%ほど(抜き実で6%くらい)
蕎麦の8割くらいが食物繊維を合わせた糖質なので甘味が味の基準にされるのは必然的な流れなのですが。
じゃあ残りの1割くらいのたんぱく質を最大限の旨味に変えるにはどうすればいいのかというと。

口に入れる前にいかにしてたんぱく質をアミノ酸に分解しておくか

ということになります。
すると基本的にアミノ酸分解させる方法としては大まかに二つ。
一つは乳酸菌の力を借りて発酵・熟成によりたんぱく質を前もって分解しておくこと。
これがいわゆる熟成蕎麦の原理になるわけですが僕が考えるもう一つの方法は。

微生物の力を借りてたんぱく質を前もってアミノ酸に分解しておくこと

じゃあこの微生物がどこにいるのか?というと・・・

水の中

ということになります。
つまり微生物が生存している水を使って蕎麦を打てば前もってたんぱく質を旨味に変換しておけるのではないか?
というのが僕の発想。
そこで重要になってくるのが水の硬度。

一般的には硬度が低い(軟水)方が蕎麦打ちに適している。
と言われるのですが。
これは分子の大きいミネラル類が少ない軟水の方が打った蕎麦に隙間ができにくいから
イコール繋がりやすい。
というのが理由なのですが。

ミネラルが少ないということはそれらを栄養分とする微生物も生存できる環境にない。
ということなので軟水は繋がりやすい奇麗な蕎麦が打てる反面。

事前にたんぱく質を分解できないので旨味も引き出されにくい

ということになります。
これがミネラルの多い硬水だとアミノ酸変換させやすいので旨味は引き出せるのですが
繋がりにくい無様な蕎麦切りになってしまう。
ということになるのですね。

そうなると熟成や発酵させずに水の力だけで旨味を引き出し且つそこそこ繋がった蕎麦切りを打つためには。
硬度80ppm前後の中軟水がベストだという答えに辿り着きました。
その条件に適しているのが今使ってる亀岡の水や安曇野の水なんですね。

もちろんさらさらの超軟水を使って熟成発酵させれば蕎麦は繋がるし旨味も引き出せる。
ということになるのですが熟成発酵のすぐ先には。

腐敗

が待ち構えてますのでうちみたいにそれほど席が回転しない店にとってはあまりにも廃棄リスクが大きすぎるんですね。
うちは腐敗する前に全部売り切れるぞ!
という自信のある店は超軟水の熟成蕎麦ってのもアリかもしれません。
と言っても他に重要なポイントがいくつかあるのですが企業秘密にしておきます自力で探してみてくださいチュー